医師が語るWithコロナ時代におけるコンタクトレンズの正しい使い方

医師が語るWithコロナ時代におけるコンタクトレンズの正しい使い方

  • @DIME
  • 更新日:2020/10/17
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9月10日は「コンタクトレンズの日」に定められているのをご存知だろうか。同日、一般社団法人コンタクトレンズ協会は記者発表会を開催。コロナ禍におけるコンタクトレンズの使用に関する調査結果と、コロナ禍での眼の守り方やコンタクトレンズとの付き合い方について発表を行った。

本稿の前半ではコンタクトレンズ協会の活動概要と調査結果について、後半では医師による新型コロナウイルス対策への見解と、コロナ禍でのコンタクトレンズの使用について紹介したい。

日本コンタクトレンズ協会の活動内容

1958年に活動を開始した同協会は、「コンタクトレンズ及びそれに関連するケア用品の品質と技術の向上を図ることにより、品質並びに安全性を確保し、適正な流通及び販売のもとに国民の健康な視力と業界の健全な発展に貢献することを目的」としている。最近では、公益社団法人日本眼科医会・日本コンタクトレンズ学会とともに、コンタクトレンズの正しい使用方法についての動画を配信したり、ポスターを配布したりといった啓発活動にも力を入れているようだ。

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9月10日がコンタクトレンズの日になった理由は?

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2017年5月には、業界の健全な発展と消費者への幅広い認知と普及、正しく安全な使用の啓発を目指し9月10 日を「コンタクトレンズの日」に制定。9月10日が選ばれた理由は、「コンタクトの"クト"と"9と10"の語呂合わせ」「コンタクトレンズを人差し指に乗せ、目に装着する動作のイメージが9と10に類似していることから」だという。

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また、10月10日が「目の愛護デー」であることから、この1ヶ月をコンタクトレンズと目の啓発期間として定着させる目的もある。

消費者実態調査から見た コロナ禍のコンタクトレンズユーザーの使用実態

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次に、浦壁昌広会長は同協会が行った調査結果を発表。4月16日の緊急事態宣言以降、学生を除くコンタクトレンズユーザーの44.9%が「在宅勤務が増えた」、35.2%が「時差出勤が増えた」と回答している。

余暇の過ごし方についても、63.5%のコンタクトレンズユーザーが「外出して過ごすことが減った」、69.2%が「外食が減ったもしくはしていない」と回答。それに伴い、コンタクトレンズの使用時間の割合はクリアレンズで-2.3pt、カラーまたはサークルレンズで-2.7pt減少した。多くのコンタクトレンズユーザーが、眼鏡もしくは裸眼で過ごす時間が増えたことがわかる。

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緊急事態宣後には消費者の「節約傾向」が見られたことから、テクニカルレンズなどの高価格帯の商品、おしゃれ用のカラー・サークルレンズの消費に抑制が見られたという。

さらに、眼科を受診しない人も増加し、その理由として22.2%の人が「新型コロナウイルス感染が怖いから」と回答(緊急事態宣言以降)。浦壁会長は本来眼科を受診すべき状態でも、病院に行かない人がいることに懸念を示した。

「新型コロナウイルスは目からも感染する可能性がある」「目からの新型コロナウイルスの感染にはメガネで対策できる」「新型コロナウイルスの拡大期には、コンタクトレンズから眼鏡に変えた方がいい」といった情報が流れた影響も大きい。

眼科感染専門医の見解 コロナ禍でもコンタクトレンズを使用するために

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では、眼の専門家はこのような状況に対し、どのような見解を持っているのだろうか。記者発表会では、近畿大学医学部眼科学教室准教授の江口洋氏が海外での研究結果や論文を引用しながら、新型コロナウイルス対策やコンタクトレンズの使用について解説した。

【医学博士 江口洋氏】
近畿大学眼科学教室 准教授
2016年4月〜2020年4月:日本眼感染症学会理事
2019年4月〜現在:日本角膜学会評議員
2020年4月~現在:日本眼感染症学会評議員

はじめに江口氏は、世間に広まっている”ある誤解”について考えを述べた。武漢の眼科医が、新型コロナウイルスに感染し亡くなったニュースは記憶に新しい。しかし、眼科医が感染したことにより、あたかも「新型コロナウイルスは目から感染しやすい」というような内容の記事が世界に発信されてしまったという。

このことは医学情報誌Lancet(ランセット)にも「目から感染する可能性を無視はできない」と紹介されたが、そこには「武漢市の眼科医が目から感染した」との記述はなかった。さらに、その話題が触れられたのはLancetのcorrespondence(編集後記)部分で、科学的に検証された内容を載せる欄ではないとのこと。

新型コロナウイルスの感染 実は「目から」は証明されていない

江口氏によれば、新型コロナウイルスの感染経路として一番多いのが飛沫感染、そして接触感染がそれに続くが、飛沫感染よりはかなり少ない数だという。

「目から感染するかは、完全に否定はできていません。しかし、新しい微生物が人間のどこかから絶対に感染しない、感染するということを科学的に証明するのは理論上不可能です。(中略)確実に目から感染するということを証明した論文は出ていません。やはり口や鼻に飛沫が入るという感染経路が多いと考えるべきでしょう。」と述べ、飛沫・接触感染対策として「何よりもマスクと手指衛生(手を洗うこと)」と強調した。

「眼鏡がコロナを防ぐ」は本当?

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では、先ほど紹介した調査結果にあったように、眼鏡はコロナ予防に効果があるのだろうか。それについて江口氏は次のように語る。

「飛沫は空気中に数時間漂います。全くないよりは眼鏡で少しはブロックできることもあるかもしれませんが、その可能性は非常に低い。ほぼないに等しいと考えられます。(中略)イギリスのコンタクトレンズ学会が出した論文では、『コンタクトレンズが新型コロナウイルスの感染リスク高める根拠も、メガメが新型コロナウイルス感染を防ぐ根拠は全くない』と述べられております」

病院に行って感染しない?コンタクトレンズ装用は問題ない?

今、眼科を含め病院の受信者は減少傾向にある。これについては「個人的な意見ではありますが、眼科はおそらく比較的安全な場所ではないかと思います。他の科が危険と申し上げたいわけではありませんが、眼科医は古くから日常的にアデノウイルス結膜炎の感染対策を行っています。新型コロナウイルスよりも感染対策が難しい、厄介なウイルスです。(アデノウイルスは)目に入るとほぼ100%発症すると言われています。眼科では、コロナ以前から院内感染対策を徹底しているんです」と、眼科の安全性について意見を述べた。

目に不調を感じたら早めの受診を 安全にコンタクトレンズを使用するために

眼科の安全性を強調した上で江口氏は、「この眼科受診チェックシートで、どれか一つでも当てはまる場合は、一度眼科へ相談してほしい。度数(見え方)の変化がある場合は早めに受診をし、見え方に変わりがない場合でも、定期検査には行ってもらいたい」と話す。

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加えて、マスク・手洗い・三密回避など基本的な感染症対策を行いながら、安全にコンタクトレンズを使用するためには、以下のことを徹底して欲しいと述べた。

・コンタクトレンズ装着前後の手洗い
・レンズの使用期限を守る
・レンズケースも清潔に保つ
・眼科での定期検査

特に、在宅時間が増えている今、パソコン・スマホ・タブレット端末の使用時間が増えている人も多いはず。それに対しても江口氏は、「集中して何かを見ている時は、瞬きが減って乾燥しがちで、ドライアイになる可能性もあります。ゴロゴロ、充血、ピントが合わないなどの症状が出ていても、それが何の疾患によるものかはわからないので、ご自身で判断せずに、眼科の先生に相談し的確な診断をしてもらいたい」と見解を示した。

今回の記者発表会の取材を通じて、「正しく対策を行えばコンタクトレンズの使用に問題はないこと」「新型コロナウイルスの対策としてはマスク、手指衛生の優先度が高いこと」「定期的な眼科受診が目の健康のために欠かせないこと」が見えてきた。コンタクトレンズユーザーの方は、新型コロナウイルス対策だけでなく、ぜひ目の健康への配慮も忘れずに行ってほしい。

取材・文/久我裕紀

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