「みんゴル」1000万DLで考えるリアルとの相乗効果

「みんゴル」1000万DLで考えるリアルとの相乗効果

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2022/06/23
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リリースから5年弱で1000万ダウンロードを達成したスマホゲーム「みんゴル」©Sony Interactive Entertainment Inc. ©2017 ForwardWorks Corporation. Developed by Drecom Co., Ltd.

「国民的○○」というのがいろいろある。ネットを見ると○○には「アイドル」が入ったり、「英雄」「歌手」「美少女」だったりする。「ゲーム」が入れば、「みんなのGOLF(みんGOL)」が該当するかもしれない。

家庭用ゲーム「みんGOL」シリーズのスマートフォン向けゴルフゲーム『みんゴル』の累計ダウンロード数が1000万を突破したことが、5月13日にフォワードワークスから発表された。2017年7月からサービス提供を始めて、5年弱での達成になった。

リアルのゴルフ人口よりも多い数字

この数字を見ていて「みんゴルをやっている人はリアルゴルファーより多い」と思った。このところ、ゴルフ人口の減少が続いて、500万人とも700万人ともいわれている。

コロナ禍になって、新型コロナウイルスの感染リスクが低く、適度な運動になるゴルフが見直され、20万人以上は新規ゴルファーが増えているとみられているが、それでも追いつかない数字。ゴルフをやっていない人が数多くいるのは間違いないところだ。

図らずも、新型コロナウイルスが「ゴルフへの入り口」を作ってくれたのだが、ゴルフを始めるきっかけ、入り口として『みんゴル』も有力候補になる。ゲームを通じて「ゴルフをしている」「ゴルフを知っている」のだから、ゴルフ普及の大事なツールになりそうだ。

開発したフォワードワークスに聞いてみた。同社『みんゴル』総合プロデューサーの川口智基氏は「家庭用ゲームのみんGOLをもっと多くの人に知ってもらいたいと思い、アプリゲームを展開してみようということで始まりました」と言う。

開発に当たっての会議では「ゴルフをしている人、していない人、両方の声を聞きながら新しい機能の追加もしています。みんGOLはショットの気持ちよさが特長ですので、みんゴルでも気持ちよさ、楽しいを体感してもらえるようにしました」という。

「ゴルフをやるきっかけになる」という声も

家庭用ゲームの「みんGOL」シリーズは世界で累計1400万台が販売されてきたという。ただ、これは何度も買い替える人もいるだろう。

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『みんゴル』のプレー画面©Sony Interactive Entertainment Inc. ©2017 ForwardWorks Corporation. Developed by Drecom Co., Ltd.

スマートフォン向けアプリとなると、たぶん1人1回のダウンロードと考えると、同社でいうところの「みんゴルファー」がグロスで1000万人いる。ダウンロードは無料だが、ゲーム内で課金アイテムがある。

ゲームからリアルのゴルフをするようになったというユーザーの声はないだろうか。「きちんとアンケートを取ったわけではありませんが、リアルゴルフに興味を持っている方も増えていますし、ゴルフをやるきっかけになるという声もあります」という。やはり、国民的ゲームは「ゴルフへの入り口」になっているようだ。

ゲーム内ではゴルフ業界とのコラボも行っており、ウェアやギアなど実際のメーカーも登場する。1000万が2000万と増えていく中で、リアルゴルフをしていない人が、リアルもやってみたくなってくれるかもしれない。

『みんゴル』→リアルゴルフという道筋は、可能性のある話。『みんゴル』で登場するアパレルも含めたゴルフ用品の認知もされていくだろう。「ゲームもリアルも盛り上がればいいなと思っています」と川口氏。「ゲームで遊ぶ」ことがゴルフ人口増に結び付くかもしれない。

ゲームだけではなく「ゴルフ場で遊ぶ」のも、今後の「ゴルフへの入り口」として定着させたい企画だ。

3月にゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)が運営するGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスで、小学校の卒業イベントが開催された。茅ヶ崎市内の東海岸小、茅ヶ崎小、松浪小、浜須賀小の6年生約600人が学校ごとに4日間にわたって、ゴルフ場のコースを使ってパターゲーム、アプローチポイントゲーム、フットゴルフ体験などをした。

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パターゲームをプレーする小学生(筆者撮影)

ほとんどの生徒はゴルフ場に来るのも初めて

コロナ禍でこの世代と前の世代は、全国的に修学旅行や運動会が中止や縮小に追い込まれた。同ゴルフ場では「卒業記念イベントとして普段なかなか立ち入る機会がないゴルフ場という非日常な広い芝生の上で、小学校生活をともに過ごした仲間たちとゴルフをしたり思い切り走ったり、楽しい体験ができる半日を計画しました」と開催意図を説明した。

ほとんどの生徒は、ゴルフはもとより、ゴルフ場に来るのも初めて。パターやアプローチ体験では、指導者からクラブの持ち方などから教わった。

フットゴルフというのは、簡単に言うとサッカーとゴルフをミックスした競技だ。サッカーボールをティーイングエリアから蹴って、フェアウェーに置かれたホール(ゴルフでいうカップ)に少ない回数で入れる。日本ではまだ普及途上だが、世界的には認知されていて、ワールドカップも開催されている。

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フットゴルフを楽しむ小学生たち(筆者撮影)

同じクラスで過ごしてきた仲間と芝生の上で遊んだ生徒たちみんなが笑顔になっていたのが印象的だった。

代表して感想を話した女子生徒は「ゴルフは知らなかったけど、将来ここに来てゴルフをやりたいと思った。コロナでいろいろなことが中止になって我慢してきたけど、こんな楽しいことができてよかった」と言う。

また男子生徒は「コロナでなかなかみんなとできない中で、やれてよかった。芝の上というのはあまりない体験だった。将来家族とゴルフをやってみたいと思いました」と話している。

小学生なりの外交辞令もあるかもしれないが、ゴルフ場という未知の世界に踏み込んだのはいい経験だったようだ。コロナ禍という特殊な状況で生まれた企画だが、子供たちのゴルフ場体験は仲間との思い出とともにずっと残るはずなので、「将来のゴルファー」になる可能性もある。

ゴルフ界は日常に戻ってからが勝負

5月になってから東京駅で子供たちの集団を見る機会が多くなった。修学旅行実施が通常に戻ったのだろう。知り合いに聞くと、小学校の運動会も元通りに行われるようになったという。日常を取り戻しつつあるが、子供たちへのこうしたアプローチは、やろうと思えばどこのゴルフ場でもできることでもある。

「コロナバブル」ともいわれて練習場やゴルフ場がコロナ禍で盛況だったゴルフ界は、日常が戻ってからが勝負でもある。ゲームにしろ、遊びにしろ、ゴルフを、ゴルフ場を、知っている人たちはたくさんいる。「ゴルフへの入り口」は、至るところにありそうだ。

大事なのは「遊び」を始まりにしたいということだ。ゴルフ自体ももともとはスコットランドの羊飼いの遊びが発祥ともされている。遊びでまかれた種を見逃さずに、リアルゴルフに呼び込みたい。

(赤坂 厚:スポーツライター)

赤坂 厚

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