<新興国eye>トルコ中銀、4.75ポイントの大幅利上げを決定―通貨リラ急騰

<新興国eye>トルコ中銀、4.75ポイントの大幅利上げを決定―通貨リラ急騰

  • モーニングスター
  • 更新日:2020/11/20
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トルコ中央銀行は19日の金融政策決定会合で、インフレを抑制するため、主要政策金利である1週間物レポ金利を4.75ポイント引き上げ、15.00%にすることを決めた。市場の大方の予想通りだった。市場では2.00-5.75ポイントの利上げを予想していた。

また、中銀は主要政策金利の上下幅(コリドー)の上限となる後期流動性貸出金利も14.75%から19.50%に同率引き上げた。

これより先、エルドアン大統領は7日、トルコ中銀のムラート・ウイサル前総裁を更迭し、後任の新総裁にナジ・アーバル前大統領府戦略予算局長を任命しており、今回の利上げ決定は新総裁の下で初めてとなった。

アーバル氏は15-18年に財務相も務めた閣僚経験者として知られるが、9日の議会で就任演説した際、インフレを抑制し、物価目標の達成と物価安定を中銀の最優先課題とする考えを示している。この議会演説の直後、通貨トルコリラは同日の1日だけで、ドルに対し、4%高となった。その後もトルコリラは上昇を続け、先週の上昇率は約12%に達していた。

今回の大幅利上げ決定直後、トルコリラはドルに対し、2.5%急騰した。

中銀は会合後に発表した声明文で、主要政策金利を大幅に引き上げたことについて、「インフレ見通しに対するリスク(インフレ上ブレリスク)を消し、インフレ期待を抑制し、ディスインフレのプロセス(インフレの鈍化基調)を回復するため、(市場に対する)透明性の高い、かつ、強力な金融引き締め措置を講じることを決めた」としている。その上で、「インフレ率の恒久的な低下が達成されるまで、金融引き締め政策を続ける」、「インフレ率の恒久的な低下は、カントリーリスクプレミアム(国家リスクに対し追加的に求められる上乗せ金利)を引き下げ、また、ドル化の流れを逆転させ、外貨準備高の増大と金融コストの低下を引き起こすことにより、マクロ経済と金融市場の安定に好影響を与える」とした。

前回会合時、「これまでの措置(政府の景気刺激策や中銀の金融緩和、市場安定化の対策)により、経済活動の回復が続いている。強い信用拡大の勢いと金融市場の安定を伴って、景気回復のペースが速まった結果、インフレが加速し始めた。しかし、期待インフレ率やインフレ加速リスクを抑制するための金融政策や流動性対策が講じられ、すでに強い金融引き締めの金融状況が整った」とし、追加利上げの必要性を否定していた。今回の利上げ決定はそれとは様変わりで、利上げを予想していた市場の声を重視する市場寄りの透明性の高い金融政策に転換したといえる。この点に関し、中銀は声明文で、「物価目標に関する透明性と予測可能性、説明責任の原則に従って、物価の安定の達成と維持というわれわれの最大の使命を果たしていく」と明言。さらに、「金融政策の実施にあたり、1週間物レポ金利を唯一の金融政策スタンスを示す指標とする」との考えも示した。

中銀が大幅利上げに踏み切った背景の一つに、トルコリラの下落の進行による輸入物価の上昇がインフレ上ブレリスクとなっていることがある。トルコ統計局が4日に発表した10月CPI(消費者物価指数)は新型コロナのパンデミック(感染症の世界的流行)がピークを過ぎ、景気回復が進む中で前年比11.79%上昇と、9月の11.75%上昇から伸びが加速している。

中銀はインフレ見通しについて、10月28日に発表した最新の四半期インフレ報告書で、20年末時点のインフレ見通しを12.1%上昇、21年末時点のインフレ率は9.4%上昇と予想している。

これは予測の前提となる輸入物価と食品物価の20年と21年の見通しをいずれも前回7月予想時点から加速方向に修正したためで、輸入物価は20年が5.9%低下(7月予想時点は6.2%低下)、21年は5%上昇(同3.3%上昇)となっており、輸入物価は中銀が通貨トルコリラの大幅下落を阻止できず、リラ安が進行したため、輸入物価が押し上げられている。

次回の金融政策決定会合は12月24日に開かれる予定。

<関連銘柄>

iS新興国<1362>、上場MSエマ<1681>

(イメージ写真提供:123RF)

増谷 栄一

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