
◆オープン戦・ソフトバンク4-2DeNA(19日、ペイペイドーム)
ソフトバンクの上林誠知外野手(27)が開幕スタメン中堅奪取へ一歩前進した。オープン戦とはいえ、負ければ最下位転落の危機で、8回2死満塁のチャンスに決勝の右前2点打。「チャンスになったらもっとがっついて」という藤本監督の期待に早速応えてみせた。ライバルの牧原大はWBCで不在。好機で結果を出した男が、開幕までの残り5戦もアピールを続ける。
負ければオープン戦最下位転落の危機から、一振りでチームを救った。同点の8回2死満塁。上林が2球で追い込まれてから右腕三浦のチェンジアップを捉え、右前に運ぶ勝ち越し2点打とした。オープン戦初となる適時打に一塁上で安堵(あんど)の笑みを浮かべた。
「オープン戦だったけど、何とか打ちたい気持ちが強かった。本番でもああいういい場面で打てたら。今日は運が良かった」
試合前時点でオープン戦の3打点は全て本塁打。得点圏では10打数1安打と苦しんでいた。18日のDeNA戦では3回無死三塁のチャンスで積極性を欠いて二ゴロに倒れた。試合前には、藤本監督が「いい状態は続いているけど、チャンスになったらもっとがっついてもらいたい」と奮起を促していた。
上林は早速応えた。2回無死一、二塁、先発の左腕東の初球を振りにいった。これは空振り。結局右飛に倒れたが「多分いろいろ考えてしまっているときは手も出しにくい。頭をスッキリさせておくことが一番重要」と語る。終盤の好機に生かした。
右アキレス腱(けん)断裂からの復活を期す今季。オープン戦全体では打率3割3分3厘、2本塁打、5打点と絶好調をキープしている。WBC組の牧原大が不在の間、中堅の定位置争いで視界良好とした。藤本監督も「初球からいいスイングをできているし、追い込まれてタイムリーを打てたのは自信にしてもらったらいい。調子を継続して、いい形で開幕に入ってくれたら」と称賛した。
開幕まで残り5戦。10年目の27歳は、かねて「自分を使いたいと思わせることしか自分はできない」とアピールを誓う。開幕戦のスターティングラインアップに名を連ねる準備はできている。(鬼塚淳乃介)
西日本スポーツ