バルサが陥った自滅のループ。OBから「終わり」「戦力不足」と厳しい声

バルサが陥った自滅のループ。OBから「終わり」「戦力不足」と厳しい声

  • Sportiva
  • 更新日:2021/02/24

2月21日、バルセロナは本拠地カンプノウでカディスと対戦し、終盤に追いつかれて1-1の結果に終わった。昇格組にも勝ち切れず、首位アトレティコ・マドリードとの勝ち点差は8で、リーガ・エスパニョーラ優勝は厳しくなってきた。

「果てしなく続く自滅」

【写真】メッシら海外サッカートップ選手の華麗なるパートナーたち

スペイン大手スポーツ紙『アス』の見出しは強烈だ。チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦の第1戦、同じく本拠地でのパリ・サンジェルマン(PSG)戦で1-4と大敗したことを揶揄していた。

ここ数年、バルサはCLの正念場で一敗地にまみれてきた。

2016-17シーズンにはユベントスに3-0(2試合合計、以下同様)、2017-18シーズンにはローマに3-0、2018-19シーズンにはリバプールに4-0、そして2019-20シーズンはバイエルンに2-8と惨敗しているのだ。

PSG戦は、"たまたま"大敗したわけではない。

「バルサは老いた。サイクルの終わりだ」

かつて、デビューしたてのリオネル・メッシとバルサでポジションを争った元フランス代表リュドヴィク・ジュリの言葉は重い。バルサは"自滅のループ"を続けるのか――。

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PSG戦大敗に続き、昇格組のカディスに行き分け、うなだれるリオネル・メッシ

「(ロナルド・)クーマン監督が(ジェラール・)ピケを起用したことを批判する記事を読んだが、そうせざるを得ない状況があった。バルサには十分な戦力がなかったんだ。パリにはケガ人が出ても、代わるだけの選手がいた」

レジェンドのひとり、リバウドは、PSG戦大敗の理由を簡潔に語っている。

ジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長は、サンドロ・ロセイ元会長に輪をかけて、バルサをいたぶる放漫経営を続けてきた。戦力として稼働していないフィリペ・コウチーニョに1億4500万ユーロ(約180億円)、ウスマン・デンベレに1億4000万ユーロ(約165億円。当初は1億500万ユーロだったが、出場数ごとのインセンティブで増えていった)の移籍金を支払い、金庫を空に。あろうことか有力な若手選手を売却し、1800万ユーロ(約23億円)で獲得したのが"毒にも薬にもならない"FWマルティン・ブライスワイトという茶番だ。

チーム改革は急務だったが、ここ数年、主力の顔ぶれは変わっていない。今シーズン、アヤックスから新たに加入したセルジーニョ・デストはクーマンの秘蔵っ子だが、PSG戦では戦犯に近かった。ラス・パルマスから加入した18歳のペドリは希望の星だが、的外れな補強は多い。強化のずさんさを象徴する選手がいる。

2020年1月、700万ユーロ(約8億7000万円)でパルメイラスから移籍してきたブラジル人MFマテウス・フェルナンデスは、「幽霊選手」と風刺されている。契約後、すぐにバジャドリードへレンタルされたが、ケガも多く、ほぼ出場機会はなし。今シーズンは入団会見も行なわれず、売りに出されたが、バルサどころか1部レベルの選手ではなく、結局、引き取り手が見つからなかった。

背番号19の幽霊を作ったのは、昨シーズンまでのスポーツディレクター、エリック・アビダルだ。

パルメイラスのリザーブチームの練習を見て、アビダルはマテウスにほれ込んだという。交渉力が低いだけでなく、スカウティング力もなかったのだ。昨シーズン途中には突然エルネスト・バルベルデ監督を解任。不振の責任を選手にかぶせ、「自分の仕事をしてほしい」とメッシの怒りを買った。

もっとも、前任のスポーツディレクター、ロベルト・フェルナンデスも似たようなものかもしれない。実はネイマールが退団後の2017年夏、1億ユーロ(約125億円)でキリアン・エムバペ(PSG)を買い取れる機会があったが、デンベレにそれ以上の大金を費やしたのだ。結果論とは言え、バルサの敗北は自明の理だった。

クーマンはぜい弱な守備にテコ入れをし、再建を目指した。しかし、堅いディフェンスを実現するだけの選手は存在しなかった。そもそも、バルサというクラブが「攻撃こそ最大の防御なり」を極めることで成立してきた。その点、クーマンもバルサの監督としては限界があるのだろう。

PSG戦でチームは混乱の極みに達していた。最強時代を戦ってきたピケは誇りが傷つけられたのか、前線の選手にやり場のない怒りをぶつけた。

「もう少しキープもできないのか。もう5分も攻められ続けて、走りっぱなしだぞ、クソったれ」

怒鳴りつけられたアントワーヌ・グリーズマンも、負けずに返した。

「落ち着けよ。叫ぶのをやめろ。俺たちだって走っているんだ」

怒号が飛び交うのは、スペインサッカーでは日常的で、特別なことではない。しかし状況の切迫さもあって、その口論はメディアに象徴的に切り取られた。

バルサは、出口の見えない迷路にいる。

「バルサのトップチームを監督として率いるのは夢だ」

シャビ・エルナンデス(アル・サッド監督)は言う。彼こそが、バルサを救える唯一無二の指揮官だろう。求められる資質をすべて備える。バルサに対する思いが深いだけでない。現役時代からピッチでバルサを体現。アンス・ファティ、リキ・プッチ、イライス・モリバ、ニコ・ゴンサレス、アルナウ・テナスなど、ラ・マシア(下部組織)組の力を引き出せるはずだが......。

今年3月に予定される会長選挙で新体制が発表され、シャビ監督誕生も噂されるが、有力会長候補が「シャビを監督ではなくGM打診」という話もある。さらにクーマン監督が2年契約で、契約解除には莫大な違約金が必要となる。どう転ぶかわからない。何よりエースのメッシはシーズン終了後、PSG移籍の可能性が高まっている。

3月3日にはスペイン国王杯のセビージャ戦、3月10日にはPSGとの第2戦が行なわれる。どちらも第1戦は劣勢だった。もし1週間で2つのタイトルを失うことになったら――。バルサは自滅のループを抜け出せるか。

小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

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