「一票の格差」訴訟 「合理的な選挙制度を構築」と評価 「違憲」は1人のみ

「一票の格差」訴訟 「合理的な選挙制度を構築」と評価 「違憲」は1人のみ

  • 産経ニュース
  • 更新日:2023/01/25
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合憲となり、最高裁前で報道陣らへの説明に応じる弁護士ら(中央)=25日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

令和3年10月の衆院選を巡る「一票の格差」訴訟で、最高裁大法廷が25日、「合憲」の判断を示した。人口に比例した議席配分方式「アダムズ方式」に基づく新たな区割りなどを「合理的な選挙制度」と評価。単なる弥縫(びぼう)策ではなく、安定的に格差拡大を抑止できる仕組みだとした。

最高裁はこれまで、最大格差が2・13~2・43倍で推移した平成21、24、26年の選挙を3回連続で「違憲状態」と判断、是正を求めてきた。

これを受けて国会は、28~29年の選挙制度改革で、各都道府県への定数配分は10年ごとの大規模国勢調査を基にアダムズ方式で行い、調査から5年目には国勢調査の結果に基づく格差が2倍以上になった場合、2倍未満になるよう区割りを改定するとする新制度を設けた。

暫定措置として、選挙区定数を「0増6減」するなどした結果、29年選挙では最大格差2倍を超えた選挙区がゼロとなり、最高裁で「合憲」に。

ただ、29年選挙と同じ形式で行われた令和3年選挙では地方から大都市圏への人口移動で格差が再び2倍を超え、平成29年選挙でゼロだった格差2倍超の選挙区は29に急増した。

こうした状況などから、全国14の高裁・高裁支部に計16件起こされた今回の訴訟では「合憲」9件、「違憲状態」7件と判断が拮抗(きっこう)していた。

今回の判決で、最高裁はまず、過去の判例に沿って「投票価値の平等は選挙制度を決める絶対の基準ではなく、国会に広範な裁量が認められている」と判示。その上で、平成29年選挙の区割りについて「合理的な選挙制度の整備が既に実現されていた」と評価した。

最大格差が1・98倍だった平成29年選挙の最高裁判決では、裁判官15人中4人が「違憲状態」「違憲」と判断。これに対し、今回は2・08倍と格差が拡大したにもかかわらず、「違憲」としたのは1人にとどまった。

反対意見を述べた学者出身の宇賀克也裁判官は「有権者には等価値の投票権が付与されており、立法者は一票の価値の格差がない状態をデフォルトとして制度設計をしなければならない」として違憲だと指摘。一方で、国会が「投票価値の不均衡を縮小するための努力を重ね、今後も不断の見直しを行うことを宣言していることは評価されるべきだ」として、選挙自体は無効とすべきでないとした。

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