なぜハイブリッド車はバッテリーをふたつ搭載? 寿命や交換費用の目安はどれくらい?

なぜハイブリッド車はバッテリーをふたつ搭載? 寿命や交換費用の目安はどれくらい?

  • くるまのニュース
  • 更新日:2021/09/16

ハイブリッドシステムにはさまざまな方式がある

1997年に世界初の量産ハイブリッド車としてトヨタ「プリウス」が登場して以来、いまではハイブリッド車が広く普及しました。

ハイブリッド車はガソリンエンジンとモーターを組み合わせ、環境に配慮した走りができるとあって、人気になっています。

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ハイブリッドの代表格 トヨタ「プリウス」のエンジンルーム

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ハイブリッド車にはモーターを動かす駆動用バッテリーが搭載されていますが、実はヘッドライトやナビ、オーディオ、エアコンなど電装品を動かすための補機バッテリーも搭載されているのです。

ふたつのバッテリーにはどのような役割があるのでしょうか。

ハイブリッド車は、駆動モーター用のバッテリーとして、モバイルバッテリーなどにも使用されているニッケル水素バッテリーやリチウムイオンバッテリーなどをフロア下などに搭載。

2021年7月にフルモデルチェンジしたトヨタ新型「アクア」は、「バイポーラ型」と呼ばれる出力の大きい新型バッテリーを搭載したことで、EVモードでの走行を増やすことに成功しました。

また、ハイブリッドには「パラレル方式」と「シリーズ方式」があり、この両方を組み合わせた「シリーズ・パラレル方式」という3種類の方式が存在。

パラレル方式は、おもにエンジンが主動力源を担い、ゼロ発進や加速時にモーターの動力が補助的に働くハイブリッド方式のこと。感覚的にはガソリン車に近いタイプです。

シリーズ方式は、エンジンは発電用に限定され、モーターが動力源となるシステム。

そして、その両方の性質を組み合わせたシリーズ・パラレル方式は、ゼロ発進や低速走行はモーター、通常走行はエンジン、急加速などパワーが必要な場合は両方でというシステムになっています。

ちなみに、軽自動車などに多く採用される「マイルドハイブリッド」は、駆動力を積極的に生み出す電気モーターではなく、「モーターの機能を持たせた発電機」を搭載したシステムといえます。

また、最近注目を集めているのが「プラグインハイブリッド(PHEV)」です。外部からの充電を可能とするプラグが装備されたハイブリッド方式のことで、比較的大容量のバッテリーを搭載してモーター駆動による走行距離が長いのが特徴です。

しかも長距離走行でバッテリーの電力を使い切ったとしてもエンジンを使って走行し続けることができます。

これらのハイブリッドシステムの根幹に関わる駆動用バッテリーだけでなく、ハイブリッドシステムやヘッドライト、ナビ、オーディオなどの電装品を動かすために、通常のガソリン車などに搭載されている12Vの補機用バッテリーも搭載されています。

そして補機用バッテリーが上がるとハイブリッド車は動かなくなってしまい、通常のガソリンエンジン車と同じく、ブースターケーブルなどを繋いでジャンプスタートさせる必要があります。

さらに、ハイブリッド車で注意すべきことは、ほかのクルマのバッテリー上がりしてしまったとき、ジャンプスタートの救援側に回れないということです。

ハイブリッド車の補機用バッテリーは電力量が少なく、ガソリン車のようにエンジンをかけてオルタネータを動かして発電することができないのです。

実際、トヨタなどのハイブリッド車の取扱説明書には「できません」と明記されています。

つまり助けてはもらえるけれど、自らはほかのクルマを助けることができないということです。

今後さらにハイブリッド車が増えると、いずれは誰も助けることができなくなるという状況が発生しないともいい切れません。

救援車がいなくてもジャンプスタートできるクルマ用モバイルバッテリーの車載が必須になってきそうです。

駆動用・補機用バッテリーの交換はどうする?

ハイブリッド車の駆動用バッテリーと補機用バッテリーの寿命や交換費用などはどのくらいなのでしょうか。整備士歴30年を誇るベテラン整備士のTさんに話を聞いてみました。

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バッテリー交換

「補機用は構造的には一般的なガソリンエンジン車などと同じ12Vの鉛バッテリーです。保証期間は2年となっているケースが多く、寿命も2年程度と考えておけば問題ないと思われます。

ただしハイブリッド車の場合は補機用バッテリーも専用品でなければいけない点に注意が必要です」

ちなみに価格は2万円前後+工賃となっているそうです。また、たいていのハイブリッド車の補機用バッテリーはトランク内に設置するケースが多く、取り付けには専用の知識と手順が必要です。

そのためネットで安く買ってもDIYで交換できないケースが多発。結局は最初からプロに任せたほうが予算を抑えられることが多いといいます。

「補機用バッテリーもさまざまなセンサーと連動している関係で、車載コンピュータのログ(記録)を手順通りにリセットする必要があります。

安さに釣られて多少ネットで購入できても、自分でDIYするとエラーコード連発でエンジンやシステムが作動せず、結局はディーラーか整備工場でキャリブレーション(いわゆる初期化)をしてもらわないといけなくなります。

ただディーラーで購入する純正品は値段が高いのがネックです」(整備士 Tさん)

そしてハイブリッド車の駆動用バッテリーも、交換自体はディーラーや整備工場などで新品に交換できるのですが、かなり高額になるといいます。

ちなみにプリウスでは、新車から5年間または10万km走行時点のいずれかの早い方までの保証が付いていますが、それを超えても交換しないケースも多いようです。

「たとえば20プリウス(2代目)で駆動用バッテリーの本体価格が17万円から18万円、30プリウスは20万円強の本体価格です。これに交換作業(数万円)の工賃がプラスされます。

ちなみにトヨタのサービスマニュアルによると、新型になるほど本体のバッテリー価格は高くなっていますが、そのぶん作業性は上がっているようで、作業時間の目安は30プリウスが2時間、50プリウスは1.5時と記載されています。

駆動用バッテリーの新品はかなり高額なので、費用を抑えるなら、良質な中古バッテリーモジュールを組み直したリビルト品を使うという手もあります。

新品のような耐久性は保証されていませんが、そのぶん費用はグッと抑えることができますので、予算やあと何年乗りたいのかによっては十分考えられる選択肢です」

ただし、ネットなどで格安で販売されている粗悪品などには手を出さないほうが無難です。専門知識を持った安心できるお店で相談するのが良さそうです。

※ ※ ※

ハイブリッド車はその構造が複雑で、維持やメンテにもそれなりに気を遣う必要があります。

とくに補機用バッテリーは通常のガソリン車以上に消耗する可能性も高いので、定期的に電圧チェックなどをしておきましょう。

くるまのニュースライター 金田ケイスケ

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