
記者会見で解党を表明した永野党首(左端)と「チキなん番長」ら=宮崎県延岡市役所で2023年5月24日午後3時54分、重春次男撮影
ご当地グルメでまちおこしを進めてきた宮崎県延岡市の市民グループ「延岡発祥チキン南蛮党」が、7月8日の「チキン南蛮の日」に開催するイベントを最後に14年間の活動を終えることになった。記者会見で「解党」を明らかにした永野時彦党首(54)は「延岡が発祥の地と認知され、一定の成果を上げることができた」と語った。
チキン南蛮党は、延岡市内の洋食店で1965年ごろに提供されたのが始まりとされる鶏料理「チキン南蛮」を全国に広めようと、地元の有志らが2009年に結成。11年からはB級グルメを競う全国イベントに3年連続出場し、1日に1万食以上を売り上げた。
地域から全国に支持は徐々に広がりを見せた。13年には「チキン南蛮」が三省堂の国語辞典に宮崎名物として登場。17年は党が申請して日本記念日協会が「なんばん」の語呂合わせから、7月8日を「チキン南蛮の日」に登録した。
地元でも党員らがマスコットキャラクターの「チキなん番長」とともに小学校を訪問し、食育活動を進めるなどして地盤を固めた。現在は、記念日の前後に学校給食のメニューにも採用され、週末には提供する市内の飲食店で行列も見られるほど勢力を拡大した。
24日には延岡市役所で党関係者3人が記者会見し、解党の理由などを説明。これまでボランティアで活動してきたため党員の負担も大きく、全国的な認知度が上がってきたこともあり、解党を決めたという。永野党首は「これからは市民や飲食店の皆さんがチキン南蛮を誇りに盛り上げてほしい」と述べた。
党主催の最後のイベントとして、7月8日は市内でチキン南蛮ゆかりの地を巡るウオークラリーを開催。クラウドファンディングを活用してチキン南蛮の歴史などをまとめた本の出版も計画している。【重春次男】
毎日新聞