「朝ごはん、チーズパンとコーンスープにしよう」と私が言うと、「コーンスープには深い思い出がある…」と、コリスが言った。
”コーンスープの深い思い出”について、掘り下げる朝。
「深い思い出ってどんな?」
「室見(むろみ 福岡西区)に住んでたときにいつも飲んでた」
「ああ、そうだね。いっつもコーンスープ飲んでたね。あと、そういえば、新潟行ったときにめっちゃ寒くて、コーンスープで温まったよね」
「そう!ママ、ほんとそうなんです」
あなた誰よ?って口調で話すコリスに笑えた。
*
2019年3月からの1年間、わたしたち家族は東京で暮らしていた。そして2020年3月に、また福岡に戻ることになった。引っ越し前に旅行の計画を立てた。コリスが雪が見たいと言うので、2月の新潟に行った。

2020年2月新幹線で新潟へ
初めての新潟、いつもの通勤、登園服くらいの服装で新幹線に乗り込んだ。
北信越を、新潟を、ナメていた。

新幹線を降りた瞬間に、空気の冷たさに体がザワつき始めた。ええっ、なにこの寒さ。これまで経験したことのない全身を包む冷たい空気……。さむっ。駅のなかでこの寒さ…逃げ込む場所がない。
とりあえず、駅ビルに入っていた無印良品でコリス用のジャンパーを買った。
これでなんとか持ち堪えれるだろうか。
タクシーや電車で移動すれば大丈夫か。
ホテルについても寒くて外に出る気になれなかった。
でも、せっかく雪を見に来たのだから、雪を見に行こう!来月には福岡に引っ越してしまうし……。タクシーで駅を目指す。
雪といえばスキー場!スマホでスキー場を探す。ガーラ湯沢は人が多そうだから、もっと小さなスキー場に行ってみよう。検索の末、ローカル電車に乗って小出駅の近くにあるスキー場に行ってみることにした。

子どもの頃から好きだった渡辺謙さんの故郷だった♡
駅に着いた。誰もいない。タクシー会社を検索してタクシーを呼んだ。

近くのスキー場までと伝えてタクシーで10分ほどのスキー場に降ろしてもらった。
タクシーを降りて、すぐに後悔した。
スキー場はしまってる。誰もいないスキー場に、取り残された。
「早くタクシー呼ぼう!!!」
寒すぎてもう数分もここにいれない・・・というくらい寒い。
寒さが違う!!!芯から寒いってこういうことだ。
タクシー会社に電話して、タクシーが到着するまでの時間、とりあえず雪を見る。
とりあえず、雪だるまつくってみる。
雪を見た、雪だるまつくった、この事実があればもうOK。

タクシーに乗って小出駅に戻った。
駅構内の暖房が効いた部屋で電車を待つ。
寒い寒いとコリスが言う。自動販売機でコーンスープを見つけた。
喜ぶコリス。
コーンスープを飲む姿がなんとも愛おしい。

コリス4歳

おばあちゃんみたいなまるい背中がかわいい

「あったまる〜」
心からこぼれ出たコリスのことばを忘れない。
これが、わたしたちのコーンスープの深い思い出。
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さおりす|正しい道より楽しい道を。最短距離より、寄り道を楽しんで。

一生ワクワク。溺れながら泳ぎ方を学んでいる| Living for today |インタビュー、ライター、写真撮るのが好き|放談カフェ|暇と無駄を大事に生きています|ハンバートハンバート| 稀人ハンター1期生|福岡
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