[ブリュッセル 25日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は、EUの天然ガス需要が向こう1年間で減少し、減少幅はEUが今年ロシアから輸入する見込みのガスの総量を上回るとの見通しを示した。ガス需要減が域内のインフレ圧力緩和に貢献している形だ。

欧州連合(EU)欧州委員会は、EUの天然ガス需要が向こう1年間で減少し、減少幅はEUが今年ロシアから輸入する見込みのガスの総量を上回るとの見通しを示した。写真はルウ=サン=ピエールで昨年11月撮影(2023年 ロイター/YVES HERMAN)
ロイターが閲覧した23日付の資料によると、欧州委のシムソン委員(エネルギー担当)は、省エネ政策によってEUのガス消費が600億立方メートル減るとの見方を示した。これはEUが今年ロシアから輸入する見込みのガスと液化天然ガス(LNG)の総量を上回る規模となる。
EUの2022年8月─23年3月のガス需要は、ここ数年の同期平均と比べ18%減少。減少率はEUが掲げる削減目標の15%を上回った。ロシアによる供給停止を受けた緊急対策や、企業の生産活動縮小、暖冬でエネルギー消費が抑制されたことが背景にある。
資料では、ロシア産化石燃料依存からの脱却を目指す「リパワーEU」計画に触れ、「この計画に基づいて行動したことで、ガス需要の削減規模は過去最大となった」と説明している。
ロシアによるウクライナ侵攻前は、EUによるロシア産ガスの年間輸入規模は約1500億立方メートルだった。