パリ・サンジェルマンはメッシ、エムバペ、ネイマールのMMNでCLを獲れるのか。システムの最適解はいまだ見つからず

パリ・サンジェルマンはメッシ、エムバペ、ネイマールのMMNでCLを獲れるのか。システムの最適解はいまだ見つからず

  • Sportiva
  • 更新日:2022/01/17

欧州サッカー最新戦術事情
第7回:パリ・サンジェルマン

日々進化していく現代サッカーの戦術を、ヨーロッパの強豪チームの戦いを基に見ていく連載。第7回は、パリ・サンジェルマン。メッシ、エムバペ、ネイマールの強力攻撃陣で悲願のチャンピオンズリーグを獲りたいが、守備面とのバランスを考えたシステムの最適解には、まだまださまざまな意見がある。

◆【図】パリ・サンジェルマンほか、2021-22シーズン 欧州トップ10クラブ最新フォーメーション

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MMNの同時起用で、パリ・サンジェルマンはCLの頂点に立てるか 【史上最強クラスのトリオ】

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リオネル・メッシ、キリアン・エムバペ、ネイマール。これほど強烈なアタック・ラインは例がない。

ガレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウド(BBC)のレアル・マドリードは強力だった。バルセロナのMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)も猛威を振るった。けれども、パリ・サンジェルマンのMMNはそれらを上回る破壊力を秘めている。

ところが、3人を並べてチームとしてどうプレーすべきかの最適解は、まだ見出していない。現時点でも3人揃えば破壊力抜群なのは確かで、スペースさえあればいつでも得点を生み出せる力は持っている。3人とも1対1ではまず止められないので、誰かが前を向いただけで相手守備陣の数的有利はないも同然になるからだ。誰かが1人外してパスをつなげば、あとは玉突き的に崩せてしまう。

ただ、今のところMMSの優位性はそこまでにとどまっている。

リーグアンでは、3人+アンヘル・ディマリアという形が使われていて、右にディマリア、メッシをトップ下に置き、中央と左をエムバペとネイマールが互換しながら使う。攻撃力は最大化されるが、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でこれをやることはないだろう。力量差のある相手を強引に叩き潰し、試合をショーアップするためのやり方だと思う。

MMNだけでも破壊力は十分なので、それ以上攻撃に傾倒するのはCLでは危険すぎる。そもそも3人を並べるだけでも、守備をどうするのかという課題があるのだ。攻撃は最大の防御という考え方で押しきれるほどCLは甘くない。

【キーマンはネイマール?】

MMNの戦術上のキーマンはネイマールだ。これはバルセロナのMSNと同じである。

バルサの第一ヴァイオリンはメッシだった。最後に守備をする選手だ。右ウイングのメッシが守らないのでMFは右側へスウェーしていく。その時に大きく空く左のスペースへ下がるのがネイマールの役割だった。

前線にメッシとスアレスを残した4-4-2の守備セットが基本で、もう1人引く必要がある時は、スアレスが引く。メッシに、攻撃時にパワーを使わせるという優先順位ははっきりしていた。

MNSが最初からそうだったのではなく、当初はメッシ、スアレス、ネイマールはそれぞれのエリアでの守備をしていたのだが、時間の経過とともにメッシに守備をさせない方式が固まっている。パリ・サンジェルマンは今のところMNSの初期に似ているが、時間の経過とともにバルサと同じになるとすれば、ネイマールが同じ役割をこなすことになるのだろう。

ネイマールをセンターフォワードとして残し、エムバペに左サイドを担当させるのは可能だが、最もスピードのあるエムバペを引かせるのは得策ではない。メッシが中央、ネイマール左、右もできるエムバペが右サイドという配置は無難だが、左のほうが得意なエムバペを右に回すのがよいかどうかはよくわからない。

プレースタイルはメッシとネイマールがライン間に下りる動きが多いのに対して、エムバペはサイドに開く。3人の初期配置がどうであれ、ネイマールとメッシがライン間で受けてエムバペが裏という攻め込みルートは変わらず、相手にとっては前に出られるのも引かれるのも問題を抱えるので脅威になる。

4-3-3の場合の守備は、リバプール方式に近い。MMNは中央3レーンの守備を行ない、大外レーンへの配球に対しては3人のMFがスライドする。リバプールほど前線の外切り守備が定着していない完成度の低さはあるものの、MMNを前線近くに残しやすいのはメリットだ。

MFの3センターはマルコ・ベッラッティ、ジョルジニオ・ワイナルダム、アンデル・エレーラ、イドリッサ・ゲイエ、レアンドロ・パレデス、ダニーロ・ペレイラの6人が選択肢になる。

【解決のヒントはフランス代表】

このなかでは、ベッラッティがコンディションさえ問題なければファーストチョイスだ。中盤のコントロールとプレッシングの両面に卓越した存在で、MMN以上に不可欠の選手と言える。

ベッラッティと組む残り2人は誰が出ても運動量、インテンシティ、テクニックを兼ね備えていて、MMNを支えるには理想的な陣容になっている。この点はかつてのバルセロナやレアル・マドリーよりも強固だろう。

4バックはアクラフ・ハキミ、マルキーニョス、プレスネル・キンペンベ、ヌーノ・メンデスでほぼ決まり。GKもケイラー・ナバス、ジャンルイジ・ドンナルンマのどちらもワールドクラスである。

簡単に言えば、7人で守って3人で攻める。バランス的にはリバプールと似ているけれども、前線3人の守備力が比較にならない。ハイプレスが極めてあてにならないのは明白であり、したがってビルドアップに長けた相手には引かざるをえない。DF4、MF3の7人ブロックで守りきれるかどうか。もう1人、2人を加えるならMMNの誰から下げるのか。

そもそもMMNを守備ブロックに入れる行為は高級マグロを煮て食うようなことにならないか。抜群のアタッカー3人を擁しながら、彼らが抜群の守備者でないがゆえに、彼らの真価を担保できないジレンマがあるわけだ。

解決方法として考えられるのは、セルヒオ・ラモスを起用した3バックかもしれない。

ラモス、マルキーニョス、キンペンベを並べれば中央は無類に固くなる。ボランチ2人で中盤を賄うのは大変だが、どのみち引かされて7人で守るなら、3-4または5-2のブロックのほうが守備は強くなる。7人で守って3人で攻めるなら割りきって引く。より強固な守備にする手はある。

フランス代表はネーションズカップでこの方式で解を見出した。ベンゼマ、エムバペ、アントワーヌ・グリーズマンの3人の攻撃力を残しつつ、いかに強力な相手に対して守備を構築するかで迷っていたが、5-2-3が最適解となって優勝した。

これなら、パリ・サンジェルマンがより強固な守備で、MMNの自由を両立させられる可能性は高いだろう。

西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

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