Adoが語る世界の歌姫・ウタ 「人間臭いところは、自分とも少し似ている」

Adoが語る世界の歌姫・ウタ 「人間臭いところは、自分とも少し似ている」

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  • 更新日:2022/08/06
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ライブシーンは大迫力。YouTube「ウタ日記」では日常も垣間見える(c)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

最新映画「ONE PIECE FILM RED」で歌姫・ウタの歌唱キャストを演じる。世界中の人々を魅了する歌姫の心の内にAdoさんが見いだしたものとは。AERA 2022年8月8日号の記事から紹介する。

【画像】ウタの歌唱キャストを演じるAdo*  *  *

──世界の歌姫・ウタの歌唱キャストを演じるのは、気鋭のシンガーとして活躍するAdo。インターネットから生まれた「歌い手」の自分が、メジャーシーンを駆け抜ける作品に携わる日が来ることは、想像もしなかったという。

幼い頃からテレビをつければアニメが流れていて、街中にはポスターやグッズがあふれている。周りにも、ワンピース好きの少年少女がたくさんいました。いつも面白い仕掛けをしていることは知っていましたが、とても大きな作品ですし、ボカロシーンで活動する自分が関わることはないと思っていました。

だから、最初にお話をいただいたときは、洋服のワンピースと勘違いして、頓珍漢な返事をしてしまいました(笑)。海賊のほうだとわかったときも、思わず「嘘だっ!」って返してしまうくらいびっくりしました。

■ネガティブな感情も

──素性を隠しながらも、その歌声で世界中を熱狂させるウタの姿は、Ado自身とも重なる。だが、初めてウタを見たときは、「自分とは真逆な存在」だと感じた。

ウタはすごくカラフルで、とても可愛い女の子です。性格もお茶目で元気で。私自身は、普段から悲しみや怒り、憎しみから生まれるパワーを歌うことが多いんです。だから、ウタに私の声が乗っていいのか……と心配というのが正直な感想でした。

ただ、ストーリーや脚本、生い立ちを知るうちに、ウタの中に眠る芯のようなものも感じました。悲しみや怒りといった人間に欠かせないネガティブな感情も、ウタは全部あらわにしている。歌姫って神聖で輝かしいイメージがありますが、ウタは人間として輝いているんです。ネガティブな感情や怒りの感情も持っている、そんな人間臭いところは、自分とも少し似ていると感じます。

──劇中では、主題歌「新時代」を始め7曲を歌唱する。中田ヤスタカやMrs. GREEN APPLE、秦基博など豪華アーティスト陣が楽曲を提供した。

ワンピースらしいと感じる楽曲はもちろん、みなさんが「歌姫」という言葉からイメージするものとは少し離れていると思うほど激しい怒りを描いたロックな曲もあって、まさに新しい歌姫だと感じました。

普段は強い歌を歌うことが多いので、「世界のつづき」(折坂悠太)のようなバラードを表現するのは難しくもありました。ただ、見せつけるような強さではなく、誰かの支えになるような強さや優しさもあると気づいて、自分の表現の幅も広がりました。

歌詞に関して言うと、「私は最強」(Mrs. GREEN APPLE)の2番のサビ終わりのフレーズには度肝を抜かれました。「見事なまでに私は最恐」と歌うのですが、タイトルの「最強」と違って、最も恐れるものという意味の詞が当てられているんです。その部分の曲調が大げさに変わるわけではないけれど、1文字違うだけで怪しげな雰囲気が漂い始める。フィルムレッドのストーリーにもつながっていて、ウタがただの歌姫として登場したわけじゃないことがわかります。

──ワンピースは今年で連載25周年を迎え、物語は最終章に突入する。Adoにとって、その魅力はどこにあるのか。

まず、作品自体にロマンがありますよね。今の現実世界では起こりえない海賊という世界観があって、キャラクター一人ひとりが魅力的です。それぞれにストーリーがあって、信念を持っているのもかっこいい。

■一人の人間として立つ

ちゃんと信念を持つというのはとても難しいことで、生きていると、意見も考え方もころころ変わってしまうし、いい方へラクな方へと流れてしまいがちです。でも、ワンピースのキャラクターたちは、ルフィであっても敵であっても絶対に自分というものが揺らぎません。当たり前のことだと思うかもしれませんが、私たちが生きている世界でそうやって立っている人って、数えたら案外少ないのかもしれないと思います。そういった姿はとても尊敬しています。

ウタも同じで、一人の人間としてそこに立っているんです。歌を通して、追い風のように奮い立たせてくれたり、時には怒りや悲しみ、憎しみといった恐怖の感情をも表現する。きっと、次元を超えて、私たちの現実でも素晴らしい歌姫になると思っています。楽曲はもちろん、劇場でも作品を堪能してもらえるとうれしいです。

(編集部・福井しほ)

※AERA 2022年8月8日号

福井しほ

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