
豊昇龍(寄り切り)阿炎
6日目に単独トップに立った碧山は1敗と好調な佐田の海と対戦。碧山は立ち合いから突き放して前に出ようとするも、佐田の海にうまく下からあてがわれて、攻め込めない。我慢できず引いたところをつけこまれて初黒星を喫した。
碧山は「相手が下からしつこく攻めてきて、悪い癖の引きが出てしまった」とガックリ。全勝力士が消え、優勝争いはますます混沌としてきた。
横綱、大関の調子が上がらず、優勝ラインは11勝ぐらいまで下がる可能性もある。そうなると後半に波に乗って勝ち込む力士にチャンスが出てくるが、誰が浮上してくるのか。
そういう意味で4勝2敗同士の関脇阿炎と小結豊昇龍の三役対決に注目した。過去の対戦は豊昇龍の2戦2勝。阿炎のモロ手突きを抜群の運動神経でかわしているという印象だ。
立ち合い、阿炎のモロ手突きを左にずれながら立って肩口でかわし、右を差した豊昇龍。阿炎は仕方なく左上手を取って振り回すが、豊昇龍の下半身は崩れない。豊昇龍が徐々にいい形となり、最後は頭をつけて寄り切った。
豊昇龍は立ち合いについて、「相手の一歩目の突きを受けないように少しずらして立ちました。対戦が決まったときにこういこうと考えていました」と語る。先場所はモロ手突きをまともに受けて、ペースを握られてからの逆転だっただけに考えた立ち合いだった。
体重も141キロまで増え、体格は叔父の元横綱朝青龍と変わらなくなってきた。「体重は意識して増やしています。いきなりじゃなく、順調に増えているのでいいんじゃないですか」と動きには影響がない。
「体の動きは悪くないので、一日一番と思って頑張ります」と気合の入った表情で引き揚げた。
優勝争いを整理すると、1敗で平幕の碧山と佐田の海の2人。2敗で照ノ富士、豊昇龍、大栄翔、玉鷲、隆の勝、翔猿、一山本の7人。大勢いる3敗力士にも勝ち込んでいけば、チャンスがありそうで、まったく先がわからない優勝争いとなった。
文=山口亜土
相撲編集部