北朝鮮に一蹴された文在寅大統領の片思いは実るか?

北朝鮮に一蹴された文在寅大統領の片思いは実るか?

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  • 更新日:2021/01/14
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2018年の南北首脳会談では金正恩委員長(肩書きは当時)は文在寅大統領との蜜月を演出していたが・・・(写真:代表撮影/Pyeongyang Press Corps/Lee Jae-Won/アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

1月5日に北朝鮮・平壌で開催された第8回朝鮮労働党大会において、最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が「総書記」に就任した。父親の故・金正日(キム・ジョンイル)氏が用いた権威ある肩書を引き継いだ形となる。「党を代表し領導する首班として、全会一致で推戴された」と朝鮮労働党中央委員会の機関紙『労働新聞』は報じている。

「総書記」就任を受け、北朝鮮に片思い中の文在寅大統領はどのようなラブコールを送るのであろうか。

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中国にまで見放された金正恩総書記

2011年末に金正日氏が急死し、後継者となった金正恩氏は、翌2012年に朝鮮労働党中央委員会の第一書記に就任した。その後、2016年に委員長を名乗るようになり、今度は総書記である。今回の金正恩総書記誕生は、対米交渉の頓挫や国際社会からの制裁、新型コロナウイルス対応で苦境に直面していたことによる、苦肉の策であったという見方が強い。

現在、北朝鮮の経済は非常に困窮している。2020年10月には、海外にいる北朝鮮の外交官の給与が未払いとなった。さらに、中国の銀行に北朝鮮のハッカーが襲撃をかけ、数億ドルを盗んだという疑いまで浮上。中国を激怒させている。この件については中国も怒り心頭に発しているようで、2020年10月の中朝の貿易統計は165万9000ドルと前月比92%減、前年比98%減(出典:中国税関総署)と異常な数値を叩き出している。

北朝鮮では正月に国民に物資を配るのが恒例となっているが、今年は中国製菓子の配布がなかったそうだ。今まで友好国であった中国の製品さえも入ってこない。北朝鮮は外貨はもちろん、物資もない状態である。

世界が北朝鮮を再び見放していく中、相変わらず一方的なラブコールを送っているのが、韓国の文在寅大統領だ。

文在寅大統領は1月11日に発表した新年の辞で、「韓半島の平和と繁栄が国際社会にも役立つということを南北は手を携えてともに証明しなければならない」と語った。北朝鮮の金正恩総書記が、党大会で戦術核など対南打撃用兵器の開発を公に指示し、「北南関係は板門店宣言以前に戻った」と宣言した状況下にもかかわらず、である。

文大統領はまた、「韓半島平和プロセスの核心動力は対話と共生協力」だとして「いつであろうと、どこであろうと会い、非対面の方式でも対話できるという我々の意志は変わらない」とも語った。

脱北者の息子、文在寅の悲しき性

これは有名な話だが、文在寅大統領は北朝鮮からの避難民の息子である。両親と姉が、朝鮮戦争の最中に米国の貨物船に乗り、韓国へと脱北してきたのだ。父親は、巨済島捕虜収容所で労働者として働き、母親は鶏卵売りの行商で生計を立てた。家は非常に貧しく、トウモロコシのお粥の給食が一日の食事のすべて。月謝が払えず授業中に教室から追い出されたこともあったそうだ。

そんな生い立ちからか、彼は北朝鮮に非常に執着している。

文在寅大統領は、大統領選挙の前から北朝鮮に対して融和的な姿勢をとることをアピールしてきた。大統領就任後、自ら挙げていた公約は見事に失敗続きだが、対北朝鮮への片思いだけは全くぶれることがない。彼の中で軸がずっしりと通っているようだ。

2020年5月31日、韓国の脱北者らが作る民間団体が、南北軍事境界線付近から北朝鮮に向け、金正恩体制を批判するビラおよそ50万枚を、水素ガスで膨らませた大型風船を用いて飛ばした。この中には、金正恩総書記の妹である金与正氏の卑猥なアイコラも含まれており、それを見た本人が大激怒した(このアイコラは、日本のネット上にあったアイコラで、股を広げた金与正氏を文在寅大統領が覗いているというものだった)。

金与正氏は韓国政府に対する最初の報復措置として、6月9日に南北間の通信連絡線の遮断を決定した。その後、13日には軍事行動を示唆、16日には開城にある南北共同連絡事務所を爆破している。2018年の板門店首脳会談の結果として設置された南北首脳間のホットラインは、一度も稼働したことがないまま木っ端微塵となった。

韓国の脱北者らが行ったこのビラ撒き行為に対し、金与正氏が「南朝鮮はくずたちの茶番劇を阻止する法律でも作らなければならないだろう」などと激烈な談話を発表。それを受けた文在寅大統領はすぐさま行動に移す。

12月14日に南北関係発展法を一部改正し、北朝鮮に対する「ビラ散布」を禁止する法律(以下、「ビラ散布禁止法」)を本会議で可決した。文在寅大統領は、対北朝鮮のこととなると、尋常ではない速さで法律まで改正させる。

文在寅大統領をフリ続ける北朝鮮

今回の党大会報告で金正恩総書記は、防疫協力や北朝鮮の開発観光など文在寅政権の対北提案を一つひとつ挙げて「非本質的問題」と一蹴。金剛山観光地区内にある韓国側施設について「運び出せ」とまで発言している。

非核化への言及はなく、「核」ばかり少なくとも36回も言及し、戦術核・巡航ミサイルなど対南打撃用兵器の開発を指示した。さらに、北朝鮮は改正された労働党規約の「祖国統一」の部分に「強力な国防力で軍事的脅威を制圧する」という文言を挿入までしている。

しかし、文大統領は新年の辞で、「今年は南北が国連に同時加盟して30年になる年」としたうえで、「朝鮮半島の平和と繁栄が国際社会にも役立つことを、南北は手を取り合ってともに証明しなければならない。戦争と核兵器のない平和な朝鮮半島こそが、民族と子孫に残すべき私たちの義務だ」と述べた。

恋愛成就には、相手の考えや意見にしっかりと耳を傾けることが鉄則である。文在寅氏が大統領に就任して早4年。今年は彼の恋が成就する年となるか。

羽田 真代

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