
今年の2月に塙町で起きた強盗殺人事件について、75歳の祖母を殺害し、キャッシュカードなどを奪ったとして、19歳の孫が逮捕された。
少年法の一部が改正され、罪を犯した18歳・19歳については「特定少年」とし、起訴となった場合には、実名での報道も可能となる。
検察の判断が注目される中、この特定少年について考える。
今年2月、塙町真名畑の住宅で起きた強盗殺人事件。
この家に住む、菊池ハナ子さん75歳を鉄パイプで十数回殴って殺害し、キャッシュカードや通帳を奪ったなどとして、強盗殺人や窃盗など3つの容疑で矢祭町の19歳の男が逮捕された。
殺害された菊池さんの孫にあたる。
孫の男は「金に困っていた」と供述していて、菊池さんから奪ったキャッシュカードで、およそ300万円を引き出し、交際相手へのプレゼントや車のパーツなどを購入したとみられている。
そうした中、今月9日に家庭裁判所で開かれた少年審判で、「安易に金を得たいとの思いから、動機はあまりに短絡的で酌量の余地はない。被害者の長男も厳しい処罰を望んでいる」などとし、刑事処分が相当として、検察へ男の身柄を送り返す、逆送の判断が下された。
男は現在19歳、少年法の改正で、罪を犯した18歳と19歳は「特定少年」という位置づけになる。起訴された場合には実名での報道ができるようになった。
福島地方検察庁の判断の期限は5月18日。
ここで、少年法の改正によって、17歳以下の少年と18歳・19歳の特定少年では、どのような違いが生じるのかを確認する。
警察に逮捕された場合、少年も特定少年も、少年法のもと家庭裁判所に送られる。
家庭裁判所は、20歳未満は更生を重視し、保護処分を原則としている。
ただ、今回の事件のように、刑事処分を下すため、事件を検察に送り返す「逆送」という対応もある。
この逆送に関して、少年と特定少年の違いが出てくるわけで、特定少年は逆送される事件の対象が拡がる。
これまでの少年法だと、対象となる犯罪は、殺人など、故意に人の命を奪ったものに限られていたが、特定少年については強盗や放火、強制性交なども対象に加えられる。
それに加えて、今回の事件のように、起訴後の実名の報道も可能となった。
これまでも他の都道府県では、検察が実名を公表して、特定少年の実名報道が行われたケースがある。
先月は、山梨県で起きた放火殺人事件で、19歳の男の実名を公表し、大阪・寝屋川市で男性が刺されて死亡した事件でも、大阪地検が、19歳と18歳の男の氏名を公表している。
私たちメディアも、事件を巡る様々な側面をできる限り取材して、実名か匿名かを判断する責任があると感じる。
福島中央テレビ