
この記事をまとめると
■ひと昔前、Tバールーフと呼ばれる構造が流行した
■ボディ剛性を稼ぎながらもオープンカーカー感覚を味わえるということで人気だった
■いまではボディ剛性が向上したことにより採用される新型車はほぼない
いまや絶滅危惧種のTバールーフ!
1970年代から90年代にかけて、国産モデルにも多く設定されていた「Tバールーフ」。これはオープンカー並の解放感を味わいつつも、ボディ剛性を確保するために生み出されたもので、アメリカで高まった安全基準に対応するために生まれたと言われている。
現在はオープンモデルでも安全基準に対応できるようになったため、すでに過去のものとなりつつあるが、今回はそんなTバールーフを採用した国産車を振り返ってみたい。
日産 フェアレディZ(S130型)
日本はもとよりアメリカで圧倒的人気を誇るフェアレディZ。その2代目モデルのS130型にモデル途中で追加されたTバールーフモデルが国産車として初のTバールーフ車となった。

これは言うまでもなくオープンカーやサンルーフの需要の高いアメリカからの要望が影響していたことは明白で、フェアレディZには4代目のZ32型まで継続してTバールーフ仕様が設定されていたのである。
日産 エクサ
着せ替えができるリアセクションを持つという最大の特徴を、日本仕様では封じられてしまったエクサは、全車でTバールーフが標準となっていたモデルだ。

というのもエクサは元々北米地域で売ることに主眼を置いたモデルであり、デザインも北米のデザインスタジオが手がけており、当然ながらリヤセクションの着せ替えも北米では問題なくOKとなっていたのである。
軽自動車でもTバールーフは存在した!
トヨタ MR2
国産量産車として初のミッドシップレイアウトを採用したMR2もTバールーフを採用していたことで知られる1台で、初代だけでなく2代目モデルにも継続してTバールーフが設定されていた。

ただし、デビュー当時はTバールーフの設定はなく、ノーマルルーフとサンルーフのみとなっており、Tバールーフが追加されたのはデビューからおよそ2年後の大幅改良のタイミングだった。
スズキ・カプチーノ
軽自動車としては現在のところ唯一Tバールーフを楽しめるのが1991年に登場したスズキ・カプチーノとなる。

といってもカプチーノの場合はTバールーフ状態にした上でセンター部分も取り外すことができ、最終的にはリヤウインドウ部分をボディに格納してフルオープン状態にすることもできるため、あえてTバールーフ状態で走行するケースは少ないかもしれない。
このように一時期は比較的存在していたTバールーフだが、前述したようにオープンカーでも安全性が確保できるようになったという点のほか、脱着の手間がかかることや分割位置が多いことで雨漏りのリスクが高いことなどもあって廃れてしまったようだ。
小鮒康一