ファイザーの新型コロナワクチンが感染性の高い変異株の一部に効果ありという報告

ファイザーの新型コロナワクチンが感染性の高い変異株の一部に効果ありという報告

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  • 更新日:2021/01/13
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製薬会社のファイザーとバイオテクノロジー企業のBioNTechが開発した新型コロナウイルスmRNAワクチン「BNT162b2」が、イギリスや南アフリカで発生が確認された新型コロナウイルスの変異株にも機能すると報告されています。

Neutralization of N501Y mutant SARS-CoV-2 by BNT162b2 vaccine-elicited sera | bioRxiv

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.01.07.425740v1

Comprehensive mapping of mutations to the SARS-CoV-2 receptor-binding domain that affect recognition by polyclonal human serum antibodies | bioRxiv

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.12.31.425021v1

Pfizer-BioNTech vaccine appears effective against mutation in new coronavirus variants, study suggests | CBC News

https://www.cbc.ca/news/health/pfizer-biontech-vaccine-appears-effective-against-mutation-in-new-coronavirus-variants-study-suggests-1.5865885

2020年12月に南アフリカとイギリス、ブラジルで新型コロナウイルスの変異株が流行していることが報告されました。この変異株は従来の新型コロナウイルスと比較して感染力が強く、南アフリカでは総感染者数が100万人を突破。さらに2021年1月にはすでに変異株が日本に流入したことが発表されています。

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「新型コロナウイルスの変異株」がイギリスで流行の兆し、新たな変異株について専門家が解説 - GIGAZINE

この変異株に対して、既に開発が始まり一部は緊急使用の承認も下りている新型コロナウイルスワクチンは効果を持たないという指摘もある中で、変異株の特定を主導したリチャード・レッセル氏は「変異株に既存のワクチンが効かない可能性は低い」という見解を示していました。

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「新型コロナウイルス変異株に既存のワクチンが効かない可能性は低い」と専門家が説明 - GIGAZINE

ファイザーとテキサス大学医学部は未査読の論文で、ファイザーが開発に関わったmRNAワクチン「BNT162b2」による中和抗体は、イギリスや南アフリカ、ブラジルで発見された変異株にも機能することが明らかになりました。

新型コロナウイルスワクチンの抗原は、ウイルスの表面にあるスパイクタンパク質です。このスパイクタンパク質は単なる飾りではなく、ウイルスが宿主細胞の受容体に結合するためのものであり、ウイルスの感染性にも大きく影響します。

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今回イギリスや南アフリカで発見された変異株には、「N501Y」というスパイクタンパク質に関わる部位で突然変異が見られました。しかし、実験の結果、少なくともN501Y部位が突然変異してもBNT162b2による中和抗体が作用することがわかったと研究チームは報告しています。ファイザーの研究者であるフィル・ドーミツァー氏によれば、BNT162b2の中和抗体が遺伝子の変異部位によって異なる16種類の変異株に対していずれも有効であると確認できたとのこと。

ただし、フレッド・ハッチンソンがん研究センターの研究チームは、スパイクタンパク質の形成で最も重要なE484Kが変異した遺伝子を別のウイルスに挿入させたところ、このウイルスに対する中和抗体の効果が10倍程度低下したと報告しています。南アフリカで見つかった変異株とブラジルで見つかった変異株はこのE484Kに変異が見られるタイプで、特にブラジルで見つかった変異株は「B.1.1.248系統」と呼ばれるグループのもので、スパイクタンパク質の12カ所にアミノ酸の置換が見られています。研究チームは、このE484K部位の突然変異が抗体の有効性を下げている原因である可能性が高いとみています。

また、国立感染症研究所によれば、ブラジルではB.1.1.248系統の変異株による再感染症例の報告があるそうです。この報告で確認された変異株は、2021年1月にブラジルからの渡航者からで発見された新規変異株とは同一ではないものの、B.1.1.248系統でE484Kの突然変異が認められたウイルスだったそうです。

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国立感染症研究所は、E484K変異株に対するワクチンの有効性についてさらなる研究が求められると述べ、「変異株であっても、個人の基本的な感染予防策は、従来と同様に、3密の回避、マスクの着用、手洗いなどが推奨される」としています。

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