精神的負担が激増?コロナ禍で米国では多くの医師が医療現場から離脱

精神的負担が激増?コロナ禍で米国では多くの医師が医療現場から離脱

  • @DIME
  • 更新日:2020/11/21
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医師のキャリアにもCOVID-19禍の影響

米国の救急医、Brad Cotton氏には、救急医療の最前線での仕事が性に合っていた。

しかし今年3月、全米の病院が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者であふれ始めた時、彼はその危険な職場を去る決意をした。

「私は現在も救急医としてフルタイムで働いているが、以前の職場よりはるかに低リスクの環境にいる」と語るCotton氏は米国救急医学会のフェローでもある。現在66歳だ。

同氏だけではなく、米国の多くの医師が医療の現場から離れたり、遠隔医療に特化した診療に切り替えつつある現状が、全米医師財団(The Physicians Foundation)の調査で明らかになった。

この調査は、米国の3,000人以上の医師を対象として、COVID-19が医療や医師の精神面に与えた影響を調べる目的で実施された。

全体が3つのパートに分かれ、パート1は「医師の診療と患者への影響」、パート2は「医師の幸福感(wellbeing)への影響」、パート3は「医療制度への影響」。これらのうち、これまでにパート1と2の結果が公表されている。

それによると、COVID-19パンデミック以降に医師の8%が診療行為を終了し、さらに4%が1年以内の終了を予定していた。

また大半の医師は、パンデミック中に収入が減少したことを報告していた。全米医師財団の会長であるGary Price氏は、「パンデミックが医療環境を激変させた」とコメントしている。

調査結果からは、医師の精神的負担も見てとれる。パンデミックによって医師の半数が、言いようのない怒り、涙もろさ、不安を経験し、約30%が絶望を感じ、8%は自傷の念慮さえ抱いたと報告されている。

さらに薬物やアルコールに関心を寄せたり、メンタルヘルス上の助けを求めた医師もいた。また、バーンアウト(燃え尽き状態)を経験したとする医師の割合は、過去2年間で40%から58%へと上昇していた。

Price氏は、「このような医師のフラストレーションの最大の要因は、マスク着用や社会的距離の保持といったルールを守らない市民がいることだ」と指摘している。

前出のCotton氏の転職を最後に後押ししたのは、米国救急医学会が3月に発行した、年配の医師や健康上のリスクのある医師に注意を促す文書だった。同氏の年齢と家族構成などを照らし合わせると、同氏がハイリスク者に該当することは間違いなかった。

医師のバーンアウトや転職は、医師不足の懸念を引き起こしている。Price氏によると、医師は一般労働者の定年年齢以上に働く傾向があるが、最近は早期退職を検討する医師が増えているという。

さらに、米国の医師の半数以上は50歳を超えている現状から、「仮にパンデミックが起こらなかったとしても、今後10年間で医師不足が次第に悪化することは分かっていた」と同氏は語る。

今年7月、米国医科大学協会は、2033年までに米国で最大13万9,000人の医師が不足するとの予測を発表した。

Price氏は、医師不足によって特に地方の住民の負担がより大きくなり、例えば診療の待ち時間が長くなったり、必要な移動距離が長くなる可能性があるとしている。このような状況の打開策になりそうなのが、遠隔医療だ。

アイオワ州の医師、Steven Gordon氏(70歳)は、さまざまな医療現場を経験してきたが、今回のパンデミックにより遠隔医療に切り替えた。

「私は医師という職業が好きで、やめたくない。しかし私の年齢では、もしCOVID-19に罹患した場合に失うものが大きすぎる」と同氏は語る。

そして、多くの医師が診療をやめたり感情的に苦しんでいる状況を理解できるとし、自身は「いつかまた対面診療に戻りたい」と事態の好転に期待している。(HealthDay News2020年10月13日)

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(参考情報)
Press Release
https://physiciansfoundation.org/research-insights/the-physicians-foundation-2020-physician-survey-part-2/

構成/DIME編集部

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