“世界一”大きなこいのぼり 新米女性アシスタントが初めて生配信を経験...緊張で手が震え

“世界一”大きなこいのぼり 新米女性アシスタントが初めて生配信を経験...緊張で手が震え

  • FNNプライムオンライン
  • 更新日:2022/05/14
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全長100メートル、重さ330キロ “世界一”のジャンボこいのぼりが、大空を舞った。

【画像】空高く舞う全長100メートルのジャンボこいのぼり

大型クレーンで吊上げられ、河川敷に大きな影を作りながら、優雅に泳ぐその姿を見ることができたのは3年ぶり。今年は、そこに小ぶりながらウクライナの国旗が風にはためいていた。

約1万人の観客が見守ったこいのぼり、3年ぶりの思いとは・・・

こいのぼりの街・加須の歴史

埼玉県加須市にある利根川河川敷緑地公園では、毎年5月3日に「加須市民平和祭」が開催される。市民が安心して暮らせる社会を作ろうという願いとともに、世界平和への想いが込められていて、30年以上に渡って、続けられている行事だが、おととしと去年は新型コロナウイルスの感染拡大により中止となり、今年、3年ぶりの開催となった。

加須市のこいのぼり産業の歴史は長く、明治時代から続いている。当時は提灯や傘の職人が副業として始めたが、お雛様や季節の「際物(きわもの)」を扱う職人が作ることで、次第にその精度は高まっていった。1923年の関東大震災の後、東京近郊の店が激減したことと、加須の職人が作る品質が評価され注文が殺到し、こいのぼり業者が増えていったと言われている。

ジャンボこいのぼりは1988年に市のPRとして作られ、その後加工・修繕をし、第1回加須市民平和祭で初めて披露された。現在のこいのぼりは世代交代を繰り返して「4世代目」になる。

600キロあった1世に比べると、素材は「綿」から「ポリエステル」になり、重さは半分と軽く、風を受けて、遊泳しやすくなった。

また、現在の4世の下書きや色塗りには、県の認定伝統工芸士である「こいのぼり職人」などの支援のもと、子どもからお年寄りまで3400人以上で作られ、多くの人達の願いや思いが込められている。過去にはハワイやサッカーW杯ドイツ大会の日本代表の初戦の地でも遊泳したことがあり、その活躍の場は国内のみに留まっていない。

子供の頃から加須の「こいのぼり」を見て育ったという加須青年会議所・理事長・遊泳班リーダーの奈良和哉さん(37)は、「子どもの頃に見たジャンボこいのぼりをみんなの力で上げていると思うと改めて感動的、青年会議所は40歳で卒業することが決まっているが、後世にもこの伝統行事を受け継ぎたい。新型コロナウイルスの感染拡大で2年間中止していたが、子どもたちや市民の人たちにジャンボこいのぼりで元気や希望を与えたい。恒久の世界平和とウクライナの人々が無事平和に暮らせるような社会になることを望んでいる」と平和への思いを語ってくれた。

「頑張れー!」子どもたちも全力で応援 3年ぶりに大空へ

大木のような太さのロール状に巻かれた「こいのぼり」がトラックで運ばれてきた。総勢40人の力を結集し、長さ100メートルの「こいのぼり」を広げていく。口の部分に直径10メートルの大きな輪をしっかりと紐で結び、慎重にクレーンに取り付けていく。

「いよいよ」持ち上げるという瞬間、緊張は一気に高まり空気が張り詰める。

ゆっくりとつり上げられたその巨体は、口いっぱいに風を飲み込み、膨らんでいく。

こいのぼり全体が浮き上がるとともに、大空を泳ぎ始めた。風向きや強さが変わるたびあちらこちらに大きく揺れるため、コントロールが難しく、手繰り寄せるロープを握る人の手にも力が入る。「ロープを決して腕に巻き付けないで!!」緊張の中、こいのぼりは上空の風をとらえながら、空へ向かっていく。

実に3年ぶりの晴れ舞台。見てもらうのを心待ちにしていたように、得意げに体を捻りながら、大空を優雅に舞う。鱗がうねりだし、会場からは一斉に歓声があがった。

「頑張れー!」子どもたちも全力で応援していた。

雲ひとつない青空には大きなこいのぼりが映える。その堂々たる雄姿は圧巻の一言に尽きる。

遊泳の成否は、その日の天候が大きな鍵を握っているのは、もちろんのこと、“ある程度”の風がないと元気よく泳いでくれない。かといって風速10メートル以上だと危険が伴い、中止となる。最も好ましい風速は5メートルから7メートルだという。

この日は爽やかな五月晴れで、理想的なコンディションだった。

初めて見に来たという女性は「娘と孫と一緒に来た。主人が平和祭の運営に携わっていて今年で定年だから見に来たが、すごい迫力。空を泳いでいるときはもちろんだが、下ろしたときにより大きさが際立つ」と誇らしげに語ってくれた。

子どもたちの喜ぶ声が響き、笑顔が溢れる空の下は穏やかな空気に包まれていた。こいのぼりの雄姿は、たくさんの人々の努力と思い、そして情熱の賜物だ。

「この空はつながっている」平和祭に訪れた約1万人の思いが恒久の世界平和に繋がってほしい。

ー端午の節句に飾る「こいのぼり」ー 英語訳・ウクライナ語訳

5月5日“端午の節句(TANGO NO SEKKU)” 子供の日に鯉の姿に染めた旗(工芸品)を空に掲げる日本の伝統行事。 川の流れに逆らい滝を登る鯉のように、子供の成長を祈って日本で毎年開催される。 ことしは、ウクライナの平和と子供たちの成長を祈り、掲げられた。

〈英語訳〉 May 5 "TANGO NO SEKKU" A traditional Japanese event that raises a flag (craft) dyed in the shape of a carp on Children's Day. It is held every year in Japan to pray for the growth of children, like a carp climbing a waterfall against the flow of a river. This year was raised in prayer for peace in Ukraine and the growth of children.

〈ウクライナ語訳〉 Свято «KOINOBORI» 5 травня ( TANGO NO SEKU) на честь дня дитини в Японії є традиція піднімати в небо прикрасу з паперу чи тканини, прикрашену під рибу короп. Це свято проводять щороку в Японії, щоб молитися про зростання дітей, наче коропи, що піднімається за течією річки до водоспаду. Цього року молитва була присвячена миру в Україні та зростанню українських дітей.

【撮影後記】

私は、音声や照明などを担当するビデオエンジニアとして働いている20代女子だ。

今の職場にきて半年、「カメラマン企画」への参加は2回目だが、企画立ち上げ段階からは初めての経験だ。どんな機材を使うのか、どのくらいの人数で現場に向かうのか・・・。その状態から創り上げていくのは想像していたより遙かに大変で、先輩達の話について行くだけで、必死だった。

企画は徐々に形になり全貌が見えてきたときには、私の中で不安と楽しみが入り交じっていた。

今回は「ジャンボこいのぼり」が大空を泳ぐ様子を生配信するという企画、現場で撮影するクルーとリアルタイムで送られてくる映像を配信するチームに分かれ、何度も入念に打ち合わせが行われた。

撮影は、報道取材で使うTVカメラに加えて機動性の良いスマホやデジカム計6台で行った。

遠方・近接からのみならず、取材車のキャリア上やクレーン車の近くの定点カメラなど様々なアングルに機材を設置した。

「どのカメラの映像が生で配信されているか」の情報を共有するため、全員が無線で、本社と中継連絡を行った。「今から配信開始します」という指示が耳の中に聞こえたときには、緊張が走った。自分の収録した音声や映像がそのまま生配信されると思うと、普段何気なく写真や映像を撮っているスマホでさえも手が震えた。どんな映像が求められているのかがわからず、最初は指示に従うことさえもままならなかったが、次第に「どの画角から撮れば綺麗か」「どうすればこいのぼりの大きさが際立つか」がなんとなく掴めてきた気がして、いろいろ体勢や高さを変えながら撮影に挑んだ。

ジャンボこいのぼりは、後ろに下がっても下がってもカメラの画角に収まらないほどの大きさで、ひたすら上を見上げながら撮影に臨む。想像以上の迫力と大きさにただただ圧倒され、思わず見とれてしまった。

実際に自分の撮った映像が生配信で使われたときは、絶対に映像がブレないように息を止めたりするなど、自分なりに試行錯誤したことに、達成感を感じたとともに、素直にうれしかった。

生配信ということで、普段より責任の重さを感じずにはいられなかったこの取材だが、上手くいったこともそうでなかったことも全て、自分にとっての大きな糧となった。帰りの車の中で、先輩カメラマンの1人が「複数人でひとつのものを撮っていると、みんな見せ方は違ってくる。でもその方向性は同じ。だからそれぞれの画に解釈の違いはない」と言っていたことが印象に残っている。視聴者が何を見たいか、現場から何を見せたいか、そのベクトルが一致しているからこそ出来る業なのだと感じた。改めて現場で取材することの難しさと奥深さ、この仕事の大変さを身に染みて感じた。そして、チームでひとつのものを創り上げていく楽しさにも触れることができた気がする。

この仕事には明確な「正解」というものはない。しかし、その中で「求められているもの」を汲み取り、取材に臨まなくてはならない。まだまだ未熟で課題もたくさんあるが、日々の業務の中でもアンテナを張っていたい。そう感じさせてくれた取材だった。

例えどんなに離れていても「伝える」ことができるのが映像表現の魅力だと思う。住んでいる国や言葉が違っていても、映像を見ている人の心に何かを残すことができるはずだ。

世界の人々が平和に暮らせますように。こいのぼりに寄せた想いが、きっと届くと信じている。

執筆:撮影中継取材部 藤田唯可
・撮影編集 山根昭一
・撮影 三浦修、山下高志
・撮影音声 藤田唯可

撮影中継取材部

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