愛車で「韓国旅行」!? 実際どんな感じ?
愛車で旅行するのはクルマ好きにとって幸せな時間です。国内を旅行するのは容易ですが、愛車を海外まで運んで旅行したという人はあまりいないかもしれません。
そんななか、日本から愛車を海外に持ち込んで旅行を楽しんだという投稿が話題になっています。

トヨタ「マークX」で韓国に!? (写真:尾久の人(@X_584)さん・ナンバーは要望により無加工)
尾久の人(@X_584)さんは愛車のトヨタ「マークX」とともに2023年2月27日から3月8日にかけて長期旅行を敢行。行き先は、海の向こうの韓国でした。
【画像】なぜ”足立ナンバー”の「マークX」が韓国に!? めちゃ楽しそうな旅行を画像で見る(25枚)
その旅行の様子を写真とともにTwitterに投稿し、韓国到着時には、以下のコメントともに釜山港へ上陸するマークXの写真を掲載しています。
「おはよう韓国。マークXと共に釜山港に上陸しました。足立ナンバーで行く6泊7日の韓国ドライブ、スタートです!!」
この投稿は100万回以上の表示がなされ、日本を含め韓国のユーザーからも「憧れの旅!」「ようこそ韓国へ」「お気をつけて」「ご安全に!」など応援するコメントが40件以上寄せられています。
今回の旅行を計画したキッカケについて、尾久の人さんは以下のように話します。
「日本のナンバープレートで現地を走れる事は以前から知っていましたが、行く時間がなかった。今回転職にあたり長期の休みを確保できたので実行してみる事にしたのです」
愛車で海外旅行は勇気がいる行動とも言えますが、上陸した時は「島国である日本のナンバーを付けた車でユーラシア大陸を走るという事で、とても不思議な気持ちでした」と、親しんできた愛車で海外旅行ができたことに感慨深い思いがあるようです。
しかし、実際に海外で運転するとなると交通ルールの違いや万が一トラブルなどが起これば、異国の地であることにより大きな問題に発展する可能性もあります。今回の旅行では何が大変だったのでしょうか。
尾久の人さんは、日本国内と韓国の交通ルールとの違いが大変だったといいます。
「赤信号でも右折可能で、逆に青信号では左折できないという事です。青信号に加えて左折矢印が出ている時だけ左折可能なので、その辺を間違えないように意識していました」と、交差点における右左折方法についての違いに苦戦されたようです。
また、「日本のナンバーという事で警察から2回職務質問を受けました」とのことで、やはり韓国においても日本のナンバーを表示したまま走行することはあまり馴染みがないようで、警察なども少し違和感を覚えるようです。
しかし、これについては、「2回ともフレンドリーなお巡りさんでパスポート等の確認をされて終わりでした」とそれほど大事にはならずに済んだ模様。
このように予想外のトラブルもつきまとうのが海外旅行ですが、「愛車で」旅行することで得られることもあったといいます。
「韓国で日本車専門ショップを営む方からメッセージをもらい訪問しましたが、そこのお客さんも日本車や日本文化が好きだという方ばかり。
日本語が上手な方もいらしたのでとても楽しい時間を過ごすことができ、クルマ好きに国境はない、と感じた1日でした。
また、旅行では北朝鮮に近い高城(コソン)統一展望台など多くの観光地を回りましたが、写真撮影などで声をかけられた際に日本から来たことを伝える『楽しんでね!』と友好的に接してもらいました」
両国間では近年、様々な感情が入り乱れているようですが、実際に現地を訪問することで新たな発見や出会いにつながるようです。
さらに、同じ「クルマ好き」であれば文化や国境に関係なく、同じ趣味を持つものとして楽しい時間を過ごすことができるのかもしれません。
実際に、尾久の人さんの投稿を見た韓国のユーザーから差し入れや手紙をもらったことも明かしています。
愛車で海外旅行するにはどのような準備が必要?
愛車のマークXで韓国旅行を経験した尾久の人(@X_584)さんですが、手続きはどのように行ったのでしょうか。

投稿を見た韓国の方から温かい差し入れも(写真:尾久の人(@X_584)さん)
諸手続きについて尾久の人さんは以下のように説明します。
「船会社とは出航の半月ほど前からやり取りを開始して、一時輸出に関する書類を3通やり取りしました。
同時に国際免許と、韓国での車検証代わりになる『登録証書』という書類を取得しました。輸送費は燃油調整費込みで9万7000円。そのほか、現地での自賠責加入や諸手続きに日本円で3万円ほどかかったので、その辺は多めに余裕を見ておいた方が良いです」
大阪から韓国・釜山へ向かう「パンスタードリーム」を運行しているサンスターラインの公式サイトによると、クルマを積載して韓国へ向かう場合は、所有者が渡航者本人もしくは家族(夫婦・親子)の場合で、自動車検査証に「自家用」「乗用」と記載があり、バイクの場合、125cc以上のものであれば可能とされています。
そのほか、JAFの公式サイトによると、旅行などで自家用の自動車や二輪車を一時的に輸出入する際に通関手続きを簡略化する「自動車カルネ」を発行しているようです。
自動車カルネが利用できる国は、アフリカ14カ国、アジア・中東の19カ国、南北アメリカ9カ国、オセアニア2カ国となっており、欧州ではカルネが必要ないことも明記されています。
利用できる条件として、日本で登録され車検が切れていないこと、必ず日本へ持ち帰ること、カルネ名義人本人が渡航すること、滞在国への持込期間がその国の定めた期限を超えないこととなり、ラリーなどの競技参加や複数の国をまたいで旅行する場合も利用が可能としています。
さらに、カルネを利用して外国にクルマを持ち込む場合は日本のナンバープレートをアルファベットに変更した国際ナンバープレートを装着する必要があるようです。
韓国に向かう場合はこれらの手続きが簡素化されており、カルネや国際ナンバープレートは不要とされています。
また、運転免許証は基本的に国際免許を取得しなればなりませんが、日本の運転免許証(有効期限内)を所持していれば、都道府県ごとの指定警察署や運転免許試験場、運転免許センターで交付が可能です。
発給される日数は場所により異なり、例えば運転免許試験場や運転免許センターでは基本的に即日交付が可能ですが、警察署で手続きを受ける場合は地域によりバラつきがあるようなので、事前に準備を済ませておいたほうが良さそうです。
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一見するとハードルが高そうにも思える愛車との海外旅行ですが、諸手続きを済ませることで隣国の韓国にはそのままの姿で旅行できるようです。
現地で様々な思い出や出会いとともに、より愛車を好きになるキッカケとなるかもしれません。
一方で、旅行にトラブルはつきものであり、手続きのほかにも長距離を走行するためのクルマの整備や現地のルールや文化の違いについて、しっかりと確認しておいた方が良さそうです。
くるまのニュース編集部