Jリーグ終盤戦の見どころを福田正博が解説。優勝へひた走る横浜FMとACL争い。残留争いは混沌

Jリーグ終盤戦の見どころを福田正博が解説。優勝へひた走る横浜FMとACL争い。残留争いは混沌

  • Sportiva
  • 更新日:2022/08/06

福田正博 フットボール原論

■現在23節までが終了しているJ1は、この猛暑のなか早くも終盤戦に入っていく。優勝争いは横浜F・マリノスが一歩抜け出たが、ACL出場権争いも含めまだまだ分からない状況。残留争いは多くのチームが関わりそうで混沌としている。ここからの注目点と各チームの状況を、福田正博氏に解説してもらった。

◆【画像】今季J1の得点王候補たち

誰がスタメンでも強い横浜FM

横浜F・マリノスにとっては、3シーズンぶりのJ1制覇に大きく近づく1勝だったと思う。

E-1サッカー選手権による中断明けの7月30日、横浜FMは鹿島アントラーズを2-0で下した。リーグタイトルを争う眼下のライバルとの直接対決で勝ち点3を手にし、その差を8へと広げたからだ。

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鹿島との首位決戦を制し、優勝へ走り出した横浜F・マリノス

もちろん、勝負事は下駄を履くまでわからない。ただ、残りは11試合(7/31時点)あるとはいえ、今シーズンの横浜FMの戦いぶりから考えると、ここから成績がガクッと落ちることは想定しにくい。

攻撃はアンデルソン・ロペスを1トップに据え、トップ下にはE-1選手権の日本代表としてプレーした西村拓真が入る。ただ、横浜FMの攻撃陣は誰がスタメンを張っても、その力はほとんど変わらない。それが今シーズンのこのチームの最大の強みと言っていいだろう。

その最たるものが、アンデルソン・ロペスがツバ吐きにより出場停止処分を受けた5月25日から7月6日までのリーグ戦6試合だった。この間、1トップに入ったレオ・セアラが6ゴールを奪うなど、チーム全体で18得点を奪って6連勝を飾ったのだ。

鹿島戦ではアンデルソン・ロペスがスタメンに復帰し、レオ・セアラは後半30分からの途中出場となったが、ここからしばらく続く夏の暑いコンディションのなかで、この両FWを使い分けながら戦っていけるのは、覇権奪回への大きなメリットだろう。

守備陣は大黒柱だったセンターバック(CB)チアゴ・マルチンス(現ニューヨーク・シティ)が開幕直前に抜けた穴を心配していたが、サガン鳥栖から獲得したエドゥアルドが早々にチームにフィットしたのが大きかった。

攻撃的なスタイルをとるチームだけに失点が極端に少ないわけではないものの、エドゥアルドに岩田智輝と畠中槙之輔を含めた3選手でまわしてきたCBは、これから終盤戦にかけて累積警告などで出場停止があったとしても大崩れはないはずだ。

川崎は王者の意地を見せられるか

追いかける鹿島は、優勝ということに関して言えば、得点ランキングでトップを走っていた上田綺世がベルギーのセルクル・ブルージュへ移籍したのが痛い。ただ、今シーズンからレネ・ヴァイラー新監督を迎えて復権を目指すなかで、常勝クラブだった頃の激しさが戻ってきたのは、来季以降を見据えた時にはプラス材料だ。このまま最後まで走りきって、2年ぶりのACL出場権を手にすると見ている。

そのACL出場権を争うのが、鹿島と勝ち点1差の柏レイソル、勝ち点2差のセレッソ大阪、勝ち点3差の川崎フロンターレ。そして、勝ち点5差でサンフレッチェ広島とFC東京が続くが、ACL出場権のチャンスはこのあたりまでだろう。

このなかで気になるのは、やはり川崎だ。Jリーグ2連覇中の王者は開幕から苦しい試合が続いているが、誤算だったのは攻撃的なポジションに獲得したMFチャナティップがまだフィットしきれていない点だろう。当たり前だが、三笘薫(ブライトン)、田中碧(デュッセルドルフ)、旗手怜央(セルティック)が抜けた穴は、そうそう埋まるものではなかったということでもある。

本来ならMF大島僚太にチームを引っ張ってもらいたいところだと思うが、故障がちでそれがかなわないのが苦しい。8月7日の第24節では、横浜FMとの一戦が控えている。川崎らしい勝ち方ができれば再浮上の機運も出てくるだけに、この一戦で王者が意地を見せられるかは注目していきたい。

残留争いに目を向ければ、勝ち点26で京都サンガ、名古屋グランパスがいて、それに続く勝ち点25に湘南ベルマーレと北海道コンサドーレ札幌がつけている。その下の勝ち点22の15位と16位がガンバ大阪とジュビロ磐田。勝ち点21の17位と18位がヴィッセル神戸と清水エスパルスだ。

監督交代の清水。補強が目立ったG大阪

このなかでとりわけ厳しく映るのが磐田だ。リーグ前半戦は得点力で勝ち点3を何度か手にしたが、その攻撃を相手に研究されて通じなくなっている。そのうえ守備が脆弱なため、引き分けの勝ち点1を積み重ねるのも難しくなっている。今夏は清水やシント=トロイデンでプレーしたDFの松原后を獲得したが、どこまで効果をもたらすか。

もうひとつの静岡県勢の清水も、現在最下位と苦しい状況だ。リーグ前半から低迷しただけに監督交代があり、6月からはブラジル人のゼ・リカルド監督が率いているが、まだ劇的な変化は出ていない。ただ、C大阪を退団したMF乾貴士がチームに加わり、7月31日の鳥栖戦では後半に3ゴールを奪って引き分けに持ち込んだ。

乾のような攻撃へのモチベーションが高い選手が加わったことで、もともと清水に揃う個の能力が高い選手たちが覚醒する可能性はある。

神戸はJリーグ再開初戦の柏戦は黒星を喫したものの、不振のトンネルの出口は見え始めている。ただ、シーズンで一度つまずいたチームはそう簡単に立て直せないのもサッカーの難しさだ。8月13日に札幌戦、9月3日に京都戦、9月10日に名古屋戦と、現在11位から15位に位置しているチームとの連戦に勝利できれば、残留の道は大きく開けていくだろう。

湘南の前半戦は、内容では勝っていても不思議ではない試合がありながら勝ち点を伸ばせなかった。しかし、6月半ばからの6試合は3勝3分けとして順位を上げてきた。ここからの戦いのポイントは、E-1選手権の日本代表に選出されたFW町野修斗だろう。彼が攻撃でどれだけ結果を残せるか。それ次第ではもっと上位に進出できる可能性はあると見ている。

ガンバ大阪にとって痛かったのは、5月から6月にかけての4連敗と、7月の3連敗だ。気がつけば降格圏がすぐの位置まで落ちてしまった。

今夏はポルトガルのエストリルでプレーしていたFW食野亮太郎を買い戻し、ベルギーのベールスホットでプレーしていたFW鈴木武蔵も獲得。鹿島からMFファン・アラーノ、東京ヴェルディからU-21日本代表のMF山本理仁も加えた。ただ、新戦力を獲得しても、それがチーム力になるには時間がかかる。そこをどれだけ即興性のある補強に変えられるかが、今後の残留争いの明暗になりそうだ。

猛暑のなかの連戦に耐えられるか

名古屋も今夏の補強を見ると、自分たちが危険水域にいることを自覚しているようだ。長谷川健太監督が昨季まで率いたFC東京からFW永井謙佑を獲得したのをはじめ、しっかり守って素早く攻撃するサッカーをやるための人材を集めた。

こうしたサッカーは得点数は増えないが、ワンチャンスをモノにしやすくなるため、下位で苦しむ時には手堅い方法ではある。ただ、それが来季以降につながるかと言えば疑問もあるし、名古屋ほどの予算規模を持つクラブがこういった形になるのは、Jリーグにとっては寂しいことだとも思う。

今シーズンは11月からワールドカップが控えているため、スケジュールは前倒しになっていて最終節は11月5日。8月も基本的には各チームとも毎節、試合がある。この暑さのなか週1ペースで試合を続けていく厳しさに、選手たちがどこまで耐えられるのか。

これが秋口を迎えた時にライバルより上に行っているかを決めると言っても過言ではないだろう。選手層のところも含め、どのチームが夏場を乗りきる戦いをするかをしっかり見ていきたいと思う。

text by Tsugane Ichiro

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