「息子、大きな存在だった」 精華大生刺殺事件15年で母が手記

「息子、大きな存在だった」 精華大生刺殺事件15年で母が手記

  • 産経ニュース
  • 更新日:2022/01/15
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事件から15年を迎え、叡山電鉄出町柳駅で情報提供を呼び掛ける千葉大作さんの母、淳子さん(右)=15日午後、京都市左京区(渡辺恭晃撮影)

平成19年に京都市左京区の路上で、京都精華大マンガ学部1年の千葉大作さん=当時(20)=が刺殺された事件は15日、未解決のまま発生から15年を迎えた。母親の淳子さん(62)=仙台市=が、産経新聞の取材に書面で心境を寄せた。

--事件から15年がたった気持ちについて

10年になる頃までは、何年たっても1、2年前のような気がしていました。当時、小さかった大作の弟も大作の年齢を超え、ようやく時間がたっていると思うようになりました。時間の経過とともに、一般の方々の関心が薄らいでいかないよう願っております。

--犯人に対して思うこと

大作が何をしたというのですか!

どうして殺されなければならないのですか!

犯した罪と向き合うべきです。自首して、大作にわびながら命を終えてほしい。息絶えるまで心からわびてほしいと思います。

--事件発生時は

どうか助かってくれることを繰り返し祈りました。(京都に向かう)新幹線の電光掲示板のニュースに大作の名前が出ても、見えない力に祈り続けました。こちらの世界に戻してくださるよう、とにかく祈りました。

--どんなことをして過ごしてきた

長い時間かけていたのは、大作の作品をファイルに入れることでした。鉛筆で描いたものがほとんどで、鉛筆の粉が落ちて消えて無くなることが心配で、スプレーで定着させることをしていました。大作の描いたものを見て一枚一枚を守ることは、気が紛れた時間だったと思います。

--大作さんとの思い出で記憶に残っていること

大作が小学4年生までは、毎週のようにお菓子や簡単なのり巻きを持って出かけました。ウサギを飼っていたので、連れて一緒に出かけることもありました。ウサギが大作を大好きなので、まとわりついて離れない写真も残っています。

高校の送り迎えをしたことは3年間で数回しかなかったのですが、帰りは坂道で、自転車で2時間近くかかることもありました。「近くにいるから乗って帰る?」とメールすると、うれしそうな返事が返ってきました。洗車場での待ち合わせで、用事が長引き2時間くらい大作を待たせたにもかかわらず、「本読んでたから」と怒りもせずに待っていてくれました。今でもその洗車場を通るたびに、待ちくたびれた様子も見せずに待っていてくれた大作を思い出します。

--大作さんとの最後の会話は

仙台で成人式が終わった後、皆と会いたいが次の日授業が始まる…と、どちらもどうしても出たくて困っていました。京都に戻るときに高速バスのバス停まで見送り、車を走らせていると、後ろの座席から一緒に来た弟のすすり泣く声が聞こえました。見送ったばかりなのに「大作に会いたい」といいます。大作にメールで知らせると、「おれも頑張るから頑張ろうね!と伝えといて」と返事がありました。

--現場や出町柳駅周辺を訪れて感じることは

大作の気持ちを思うと、現場は触れたくないところです。しかし15年もの間、たくさんの方々にご供養していただきました。(漫画冊子などを)配布してくださる姿を大作が空の上から見て、うれしくて涙しているだろうと思いをはせると、感謝の気持ちが強くなります。

--大作さんはどんな息子だった

芯が優しく強いです。思い浮かべると、優しい笑顔が浮かんできます。失敗したり、うっかりすることもあったりしますが、一生懸命さが伝わってきます。大作の下の子供たちのことは、大作がいてくれたのでどことなく安心しておりました。大作がどれほど大切な存在か、生前から十分分かっておりましたが、人を慕い、人の気持ちに寄り添い受け入れながら、相談に乗ってくれる大作は、家族ひとりひとりの将来の生き方、進み方に大きな影響を与えるほど、とても大きな存在だったと日々感じております。

精華大生刺殺事件 平成19年1月15日午後7時45分ごろ、京都市左京区の路上で発生。自転車で帰宅途中だった千葉大作さんが、何者かに胸や腹など十数カ所を刺され死亡した。直前に千葉さんを怒鳴りつけていた男の情報が寄せられており、京都府警は容疑者と断定。男が自転車に乗っていたことから、現場付近が生活圏とみて捜査を進めてきたが、有力な手掛かりは得られていない。犯人は当時20代で身長170~180センチ、27~28センチの靴を履いていたとみられる。情報提供は下鴨署捜査本部(075・703・0110、0120・230・663)。

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