選挙27連敗、記録更新のN国党。それでも続ける「ステルス立候補」や奇策に要注意

選挙27連敗、記録更新のN国党。それでも続ける「ステルス立候補」や奇策に要注意

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2021/04/08
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立花隆志のYouTubeチャンネルより

◆連敗記録更新のN教(旧称N国)党

3月28日の伊賀市議選で、NHKから国民を守る党、改め、NHK受信料を支払わない方法を教える党の公認だった門田節代が落選したため、選挙の連敗記録は「27」に伸びた。当落のボーダーラインは1098票だったことを考えると、350票しか取れなかった門田節代は大惨敗だ。かなり前から街頭に立ち、当選するための地道な努力を続けてきたはずなのに、まったく勝負にならなかったのだから、N教党に期待する人はいなくなってしまったと言っていいだろう。

次回は、4月11日に行われる群馬県の太田市長選に町田紀光が立候補する予定となっており、またしても連敗記録を伸ばしそうな情勢だ。町田紀光はこれまで桶川市議選や参院選の栃木県選挙区などに立候補しているが、いずれも落選に終わっている。

ただ、4月18日の富山市議選には、熱烈なN教信者の堀孝童が立候補してくる予定で、こちらはほとんどN教党の党員たちと変わらないぐらいに活動しているにもかかわらず、無所属で立候補してくるため、事情を知らない人がうっかり投票してしまう可能性がある。先日の千代田区議補選に立候補した加陽麻里布がそうであるが、最近はあえて公認をもらわずにステルスで立候補してくるケースもある。富山市と言えば、映画「はりぼて」の舞台にもなった政務活動費のちょろまかし問題で前代未聞の辞職ドミノが起こった地である。くれぐれもよく調べてから投票に行っていただきたい。N国系候補者の悪質なところは、表向きは市民のために働くと言っていても、誰一人、まともに働いていると評価できそうな議員はいないのである。そもそも刑事事件として問われている立花孝志の行動を手放しで絶賛している時点で、物の善悪の判断がつかない人間たちだということだ。

◆東大阪市議の嶋谷昌美に当選無効の判決

NHKから国民を守る党から立候補し、東大阪市議選で当選を果たした男に、また居住していたとは認められないとして、当選無効の判決が下されることになった。定められた法律すら守らない人間たちが、また議員としての資格を持ち合わせていないのに議員として活動し、市民の税金を無駄にしていた。

東大阪市議の嶋谷昌美は、3月25日に大阪高裁から「当選無効」とする判決を下された。判決によると、嶋谷昌美は投票前に1ヶ月以上、川西市の住居で女性と一緒に暮らしていたと認定。東大阪市での電気、ガス代が著しく低かったことに触れ、「夏場の選挙でエアコンなどを控えたとは考えられず、本拠は東大阪市ではなかった」と結論づけられた。

N教党は、これまでにも新宿区議の松田美樹が、生活の拠点が夫と暮らす東京都練馬区にあったとして、新宿区選挙管理委員会から「当選無効」の判断を下されている。本来は議員の資格がなくなっているはずだが、この決定を不服として選挙管理委員会を提訴したことで、最高裁の判決が下されるまで議員として活動することになった。今のところ、東京地裁でも、東京高裁でも、選挙管理委員会の判断を支持し、「当選無効」の判決が下されているが、最高裁まで争っているため、松田美樹は今も議員であり続け、議員報酬を受け取っている。議員の資格のない人間が議員になり、年間1000万円近い議員報酬をもらい続けているということである。

遵法精神に乏しい「NHKから国民を守る党」は、法律を司る士業の『司法書士』までもが居住要件を満たさずに立候補している。2019年5月の足立区議選では、現在、東京司法書士会の理事である加陽麻里布が、駅前のカプセルホテルを住所にして立候補。加陽麻里布に投票された5548票がすべて「無効票」として扱われ、有権者を欺く形になった。こちらも足立区の判断を不服として裁判を起こし、最高裁まで争った末に「敗訴」となっている。

こうした居住要件を満たさずに立候補してくるNHKから国民を守る党の悪質な動きは、2018年6月の立川市議選に立候補し、当選してしまった久保田学にも見ることができ、当時、「居住実態がほとんどない」と記した私の告発記事に対し、立花孝志が「そう書いたからには、証明しなければならないのはオマエだ。ないことを証明するのは『悪魔の証明』と言って、オマエに居住実態を証明することはできない。オマエはこの裁判で負ける」と息巻いて、本当に裁判を起こしてきた。

ところが、この裁判の顛末は非常にマヌケだ。久保田学が多忙を理由に立川に住んでいた証拠を出さなかったばかりか、裁判に必要な資料を忘れ、裁判官の目の前で、傍聴席に座っていた立花孝志から資料を受け取り、その立花孝志が動画で「これはスラップ裁判だ」と言い出し、ご丁寧に「スラップ裁判」とは「裁判の勝敗ではなく、被告の経済的困窮を狙ったものだ」とドヤ顔で解説していたため、全国的にも大変珍しい「スラップ裁判(訴権の濫用)」が認められ、原告の久保田学が被告の私に対して78万円を支払うように命じる判決が下された。なお、立花孝志が主導して控訴したのだが、東京高裁は支払う金額を94万円に増額する判決を下している。ちなみに、この判決は法曹界でも鮮烈なものだったため、業界誌では特集が組まれ、司法学生たちの教材として使われるようにもなってしまった。

それでも、当時の立花孝志の影響力は凄まじいものがあり、YouTubeで何度も「ちだいはデマを書く人間だ」とアピールされたために、私は世の中からすっかり「デマ野郎」として扱われ、今も十分に名誉を回復していない。

◆「パチンコ党」の次は「諸派党」にする

立花孝志が、また「ピコーン!」と、ひらめいてしまった。

つい先日まで「パチンコ党」を作り、6月の尼崎市議選に候補者を擁立すると息巻いていたが、どうやら立候補してくれる人は見つかっていないらしく、今度は「堀江政経塾」の講師となり、「諸派党」を作るというプランを明かしていた。

「諸派党」とは、幸福実現党や国民主権党、つばさの党(旧・オリーブの木)といった「諸派」とされる政党の人たちに声をかけ、「諸派党」として一つになり、参議院で議席獲得を目指すというプランのようだ。立花孝志がこれまで「ホリエモン新党」やら「ゴルフ党」やら「パチンコ党」やらを作ってきたのは、すべて「諸派党」につながっていたという説明だが、どこからどう見ても「ピコーン!」と思いついてしまっただけにしか見えない。

現在、立花孝志率いるN教党は、選挙で「27連敗」している。いくら参議院で1議席を獲得した実績があると言っても、いまや立花孝志に対する評価は「27連敗」がすべてを物語っており、幸福実現党にしろ、国民主権党にしろ、「諸派党」として手を組むより、自分たちで立候補した方がよっぽど票を取れるし、知名度アップにつながる。そもそも「パチンコ党」から立候補してくれる人すら見つからないのに、「諸派党」と手を組んでくれる政治団体があるのだろうか。せいぜいN教信者が独自に立ち上げた超マイナーな政治団体がいくつかある程度ではないだろうか。

◆自分が払った金の回収を始める立花孝志

立花孝志は今、森友学園に“寄付”をしたはずの8400万円を自分の手元に取り戻し、籠池泰典理事長の保釈金500万円も回収。およそ1億円弱のお金を取り戻すことに成功している。しかし、N教党や立花孝志は裁判を起こしまくり、さらには刑事裁判も抱えていることから、弁護士や司法書士にそれなりの支出をしており、コールセンターの人件費を含め、ランニングコストが膨大にかかっていることから、この1億円弱のお金も数ヶ月でなくなってしまう計算である。

新たな金脈を模索するため、福永活也弁護士と組んで「誹謗中傷」をネタに裁判を起こし、ある人には300万円を請求すると宣言しているが、裁判が決着するまでにはまだまだ時間がかかる上に、仮に満額の300万円を取れたとしても、そんなものは焼け石に水である。

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上杉幹事長を標的にした請求(立花孝志のYouTubeチャンネルより)

そこで、立花孝志が熱心に取り組もうとしているのが、幹事長の上杉隆を訴えることである。日々、上杉隆のことを知る人に話しかけては、上杉隆のネガティブなエピソードを集めている立花孝志。

YouTubeでは、上杉隆とのやり取りをこっそり録音していたものを勝手に公開。「上杉隆に子供が4人いるのは事実だ」などと言い出し、それまで二人三脚で政党運営をしてきた幹事長を背中から撃っている。どうやら「上杉隆はこんなに悪い人だったので、それまで払った報酬は返還してもらう」という方向にシフトしているのだが、これもまた回収できるかどうかがわからない上に、回収できたとしても微々たる金額で、もはや、当たれば大儲けのパチンコ台に次から次へと紙幣を突っ込む「闇金ウシジマくん」に出てくるオジサンと同じだ。

立花孝志が裁判所の前で撮影した動画によると、上杉隆に起こした裁判の請求額は264万円。立花孝志はだいたい弁護士を立てずに裁判を仕掛けてくるため、立花孝志の負担額は印紙代の1万9000円ほど。しかし、訴えられた上杉隆が弁護士を立てずに戦うとは思えないため、もし弁護士に依頼しようと思ったら、ざっくり50万円ぐらいの着手金を余儀なくされ、さらに50万円ほどの成功報酬を支払うことになるため、だいたい100万円ぐらいの出費になってしまう。これが立花孝志の手口である。立花孝志と関わる人間は、たとえ仲間であっても立花孝志の機嫌を損ねたら訴えられる。こんなに面倒臭い話はない。立花孝志と付き合うこと自体がリスクにしかならないのである。

◆N教党がターゲットとして狙う層とは

世の中には、どう考えても怪しさ満点の新興宗教から壺を買ったり、どう考えても怪しさ満点のネットワークビジネスに手を出し、友達を勧誘しようとしてしまう人たちというのが一定数いる。

99.9%の人が引っかからない怪しいネットワークビジネスでも、およそ0.1%の確率で引っ掛かる人がいるのなら、ビジネスとしては成立するのである。だから、N教党は「国政政党」でありながら、まともな人を相手にする戦略を取っていない。立花孝志が取りに行っているのは、世の中に一定数いる次のような人たちである。

例えていうのであれば、小学生でも理解できるような「新型コロナウイルスは蔓延すると、たくさんの人が死んでしまう病気である」という基本的なことを理解できないぐらい人たちがターゲットだ。だから、第4波の大きな山が心配されている中、厚労省の職員23人が送別会を開いていた問題について、立花孝志はYouTubeで「厚生労働省の人間たちは新型コロナウイルスがたいした病気ではないことを知っているので、あえて送別会をやっている」という陰謀論を展開している。こんな珍説に「なるほど!」と思ってしまう人はよっぽど頭が悪いが、残念ながら一定数、本当に「なるほど!」と思ってしまう人は存在する。彼らのこそがN教党の新たな信者候補である。

彼らは立花孝志の新型コロナウイルスの話に共感し、立花孝志の動画を繰り返し見て、やがて洗脳されてしまう。立花孝志が正義のために活動しているように見えてしまうのだ。しかし、実際のところは、いままで筆者が報じてきた通りの人物である。N教信者になる前に、立花孝志の言っていることは疑った方が良い。

◆「悪を倒すために戦う立花」という演出

最近の立花孝志は、幹事長だった上杉隆を叩くことに熱心だ。身内であろうと仲間だろうと叩けるものは叩く。これが立花孝志の特徴だ。なぜ、味のしなくなったガムをいつまでも噛み続けるかのごとく、上杉隆のことを叩き続けるのか。それは、一部の信者にとっては叩き続ける限り、立花孝志に「正義」があるように見えるからである。

立花孝志にとって最も大事なのは「自分が正義のヒーローで、悪を倒すために戦っている」という構図である。実際のところは、正義のヒーローでも何でもなく、ただ迷惑行為やモラルに欠けた行為を繰り返すオジサンでしかないので、そんな幻想に騙されてしまうのもどうかと思うが、何の手続きも踏まずに、いきなり仲間だった幹事長に264万円の損害賠償を求める裁判を起こすような、常識を持つ社会人なら絶対にやらないようなことを簡単にやってのけるところに「天才」だと感じてしまうN教信者がいるのだ。

今もN教党は0.2%ぐらい支持されているという情勢調査もある。だから、みんなが騙されないように、しっかり真実を伝えていくことが大切だと考えている。

<取材・文/石渡智大>

【石渡智大】

普段は選挙ウォッチャーちだいとして日本中の選挙を追いかけ、取材。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「チダイズム」にて公開中

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