imecとGF、アナログ技術を用いたIoTエッジ向け低消費電力AIチップを開発

imecとGF、アナログ技術を用いたIoTエッジ向け低消費電力AIチップを開発

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/07/14
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ベルギーの独立系半導体ナノテク研究機関imecとファウンドリGLOBALFOUNDRIES(GF)は、新しい人工知能(AI)チップを共同開発したことを発表した。また、imecは同チップのデモを7月9日(米国時間)に開催したimec Technology Forum USA 2020にて披露した。ちなみに同フォーラムは本来、SEMICON Westの併催行事として行われる予定であったが、同展示会がバーチャル開催となったため、時期をずらしてベルギーよりオンラインライブの形で開催された。

インメモリコンピューティングに最適なメモリは? - VLSIシンポジウム2020

同チップは、imecのAnalog in Memory Computing(AiMC)の考え方を基に、GFのアナログ22FDX(22nm FD-SOI)プロセスを用いて試作されたもので、アナログドメインのインメモリコンピューティングハードウェア上でディープニューラルネットワークの計算を実行するように最適化されており、これにより低消費電力デバイスにおける最先端の推論が可能になるため、スマートスピーカーから自動運転車まで、幅広いエッジAIデバイスに適用可能だとしている。

最大2900TOPS/Wのエネルギー効率を達成しているとのことで、低消費電力デバイスにおける最先端の推論を可能にすると研究チームでは説明しており、この技術はスマートスピーカーから自動運転車まで、幅広いエッジAIデバイスに適用可能だともしている。
デジタルコンピューティングの制約をアナログで乗り切る

デジタルコンピュータ時代の初期以来、プロセッサはメモリから切り離されてきた。大量のデータを使用して実行される操作では、同様に多数のデータ要素をメモリストレージから取得する必要がある。

これは、フォンノイマンボトルネックとして知られているデジタルコンピューティングの問題点である。この制限は、特に大きなベクトル行列の乗算に依存するニューラルネットワークでは、実際の計算時間を覆い隠してしまう可能性がある。これらの計算はデジタルコンピュータの精度で実行され、かなりの量のエネルギーを必要とする。しかし、ベクトルマトリックスの乗算をアナログ技術を活用して、より低い精度で実行することで、ニューラルネットワークの演算を低いエネルギーで実現することができることが期待されている。
IoTエッジで機械学習を実行するアクセラレータ

こうした課題を実現することを目指し、GFを含むimecの機械学習プログラムのパートナー各社は、SRAMセルでアナログ計算を実行することによりフォンノイマンのボトルネックを解消する新しいアーキテクチャの開発に挑んできた。

今回開発されたGFの22FDXで構築されたAnalog Inference Accelerator(AnIA)は、高いエネルギー効率を備えており、特性評価テストでは2900TOPS/Wの電力効率を示したという。これにより、小さなセンサや低電力のエッジデバイスでのパターン認識を、従来のデータセンターでの機械学習ではなく、エッジに搭載さいたこのアクセラレータで実行できるようになるという。
エネルギー効率の将来目標は10000TOPS/W

imecの機械学習のプログラムディレクターであるDiederik Verkest氏は「AnIAチップの試作は、AiMCの検証に向けた重要な一歩である。アナログインメモリ計算が可能であることを示すだけでなく、デジタルアクセラレータよりも10〜100倍優れたエネルギー効率を実現できることを示すこともできた。imecの機械学習プログラムでは、既存のメモリデバイスと新しいメモリデバイスを調整して、アナログインメモリ計算用に最適化している。これらの有望な結果により、目標である10000TOPS/Wを実現させるという野心を持って、このテクノロジーをさらに発展させていきたい」と述べている。
22FDX AIチップはGFのドレスデンFab1で試作

GFのコンピューティングおよび有線インフラストラクチャの製品管理担当副社長であるHiren Majmudar氏は「GFはimecと緊密に協力して、低電力かつ高性能の22FDXプラットフォームを使用した新たなAnIAチップの試作に成功した。このテストチップは、22FDXがエネルギー集約型のAIおよび機械学習アプリケーションの電力消費を削減する方法を業界に実証するための重要なマイルストーンになる」と述べている。

なお、AiMC機能を備えた22FDXプラットフォームは、独ドレスデンのGF Fab1の300mm生産ラインにて開発が進められており、GFでは、AI市場で差別化できる半導体チップの実現に向け、AiMCを実際に22FDXプラットフォームに実装できるようにする予定だとしている。

服部毅

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