平安時代初期に征夷大将軍が築いたとされる国の史跡「徳丹城」を舞台にした小説 町内在住の作家が込めた思い 岩手・矢巾町

平安時代初期に征夷大将軍が築いたとされる国の史跡「徳丹城」を舞台にした小説 町内在住の作家が込めた思い 岩手・矢巾町

  • IBC岩手放送
  • 更新日:2023/11/22

「目立たないように。誰かと揉めないように。輪を乱さないように。そうやって生きてきたのが私だ。そんな私が、人生で初めて『タガが外れる』という現象を体験したのは、想いを寄せる歩空先輩のせいだった。」これは、岩手県矢巾町を舞台にした小説「私の世界に徳丹城はない」の一説です。

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28日に小説の第1部が発表されるのを前に、執筆した町内在住の作家、綿世景さんを交えた挿絵のイラストなどの準備が急ピッチで進められています。

この小説は、矢巾町で地域活性化に取り組むNPO法人やはば協働センターが、初めて企画したプロジェクトで作成されたものです。

(NPO法人やはば協働センター 水本 考 理事長)
「徳丹城の活性化の話題づくりのために映画や小説を作って、それが話題になれば若者の聖地巡礼の聖地になってくれるのではないかと考えて、そこからストーリーを作ってくれないか、小説を書いてくれないかとお願いした経緯がある」

徳丹城は平安時代初期813年頃に、征夷大将軍の文室綿麻呂によって造られた城柵とされています。1969年に国指定の史跡となり、2006年の発掘調査では全国的にも珍しい木製の兜が出土しました。地域の歴史や大切な史跡を小説という形で広くPRしようという狙いです。

(作家 綿世 景さん)
「思い切って1200年前の話にすれば徳丹城を舞台に書けるが、そうすると若い人たちはとっつきにくいと思うので舞台は現代にして、徳丹城をキーにするということでいろいろ考えた結果SFを作品の中に混ぜて、ある日突然、徳丹城が無かった世界に変わってしまうんですね…」

題材は徳丹城ですが、舞台となっているのは、あくまで現代の矢巾町です。町内にある不来方高校をモデルにした高校1年生の主人公・志田紗夏(しだ・さやか)と、紗夏が思いを寄せる先輩との恋物語。そこに地域の歴史が絶妙に組み合わされています。

建物の柱の跡が杭として示されている現在の徳丹城跡を小説の中ではこんな風に表現しています。「私たちが住む矢巾町の、西徳田には徳丹城と呼ばれる城の史跡がある。国道沿いを花巻方面へ走ると歩道橋があり、その歩道橋の先に見晴らしの良い原っぱが広がっている。何を隠そう、そこが我らが徳丹城跡だった。何もない場所と言えば何もない場所ではあるけど、ここに大きな城柵があったと思うと、一種の神聖さを感じられる。」

小説を書いた綿世さんも、普段から散歩コースとしてよく訪れるといいます。

「なんとなくここに座るのが好きで、よく書いている当時はここに座っていろいろ考えていました。ここから見える南昌山がすごく好きで。」

物語の中には国道にかかる歩道橋やヒマワリ畑、駅前の屋台村ヤハバルなど、町内のスポットが登場します。

(作家 綿世 景さん)
「一回きりの青春なので思いっきり楽しんで欲しいなという気持ちで書きました。(小説を読むと)矢巾と言う街を好きになると思います。もっともっと。」

矢巾町の魅力がつまった小説「私の世界に徳丹城はない」は、4部構成で、28日に第1部がインターネットで公開されまるのを皮切りに、約1か月ごとに1部ずつ公開されていく他、それぞれのダイジェスト版を冊子にして町内の各所で無料配布する予定です。

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