夫の死で「銀行口座凍結」...生活費が引き出せなくなった妻のヤバすぎる末路

夫の死で「銀行口座凍結」...生活費が引き出せなくなった妻のヤバすぎる末路

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/06/10
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口座を凍結させていただきました

葬儀費用が100万円、未払いの医療費が20万円、電気代が月5000円、固定資産税が15万円……。おカネの支払いを求められるたび、冷や汗をかく。田口久子さん(77歳・仮名)が3年前に体験した出来事だ。

「夫が亡くなり、地元の信用金庫でおカネを下ろそうとしたときのことです。ATMにキャッシュカードを入れると、『お取り扱いできません』と表示され窓口に行きました。すると『旦那様が亡くなったと伺い、口座を凍結させていただきました』と言われたのです」

夫婦で暮らしていくためのおカネのほとんどすべてが、この口座に入っていた。田口さん自身の口座に振り込まれるのは、国民年金が月に6万円ほどしかない。

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総決算に向けた準備が足りないと、残された家族が必ず困ること—それが口座凍結だ。

「口座凍結を解除するには、遺産分割協議書を作る必要がありました。ところが、財産は私と長男が相続するはずでしたが、次男が『自分にも財産を寄越せ』とごねだして、遺産の分け方を決めるのに難航したのです。息子たちに『生活費がないから早く決めて』とは言い出せず……」(田口さん)

死後、遺産をどうやって分けるかが確定するまでは、銀行は口座を凍結する。家族の誰かが勝手に預金引き出し、トラブルになるのを防ぐ必要があるからだ。

凍結を解除するにはまず、遺産分割協議書を用意する。そのうえで、亡くなった人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、すべての相続人の戸籍謄本と印鑑登録証明書など、多岐にわたる書類を集めて提出しなければならない。

夫を失って精神的に弱っている中、2ヵ月、3ヵ月とダラダラと時間が過ぎていき、やがて自分の預金口座の底が見え始める—。

こうした事態を避けるために、'19年7月から「預貯金の払戻し制度」がスタートした。これを利用すれば、遺産分割協議の途中であっても、金融機関ごとに最大150万円を出金できる。

口座凍結問題を打開する新制度かと思いきや、専門家の評価は厳しい。税理士の木下勇人氏は語る。

「手続きが非常に面倒なんです。亡くなった人の除籍謄本、払い戻しを希望する人の印鑑登録証明書が必要になるうえに、相続人全員の戸籍謄本も必要になる。相続が揉めていれば、仮払い制度を使うのにも難航することになります」

では、どうすれば家族を困らせずに済むのか。答えはたった一枚の紙、遺言書を書くことだ。

「『預金を妻に相続させる』といった簡単な内容であっても、遺言書さえあれば口座凍結を解除することができます。それに故人の意思が示されることで、残された家族も『もっと遺産を寄越せ』と言い出せなくなる。ひいてはそれが、口座凍結で残された妻を困らせる事態から救うのです」(司法書士の速水陶冶氏)

さらにもう一つ、やっておくべきことがある。自分自身の古い戸籍謄本を集めておくのだ。

「銀行で名義変更をするには、故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本も必要になります。亡くなったのが東京都中野区だったとしても、その前に戸籍があったのが名古屋市中区だと分かれば、現地に足を運ぶか郵送で戸籍謄本を取ることになる。

前の本籍地がどこか分からない場合、1ヵ所ずつ遡りながら、戸籍を集めることになる。それだけで1〜2ヵ月はかかります」(木下氏)

古い戸籍謄本であれば内容が書き換わることがないため、原則、期限なく使うことができる。家族を口座凍結で苦しませないために、自分の戸籍謄本は今のうちに集めておきたい。

『週刊現代』2021年5月1・8日号より

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