
AdobeStock
女性ホルモンのエストロゲンが急激に減ることで起こるさまざまな更年期症状。エストロゲンを食べ物など何かの形で補えるとよいですよね。エストロゲンを直接食べ物で補うことは難しいのですが、エストロゲンに似た働きをする成分をもつ食品はあります。今回は、女性ホルモンと似た働きをする食べ物について紹介します。
植物性エストロゲンが女性ホルモンに似た働きをする
先日講座でこのような質問を受けました。
食べるだけで女性ホルモンがアップする食品はありますか?(50代女性)
更年期には、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが急速に低下します。エストロゲンにはさまざまな働きがあり、肌のハリや潤い、粘膜の潤いを保ったり、血管の健康、骨の強さなどにも関係しています。しかしエストロゲンが急激に低下することで、「更年期症状」と呼ばれるさまざまな不調が起こりやすくなります。その種類は200とも300とも言われるほどさまざまであり、症状の強さも生活に支障を来す人もいれば、あまり症状のない人もいたりと、人それぞれです。
冒頭にいただいた質問のように、残念ながら食べ物を通じてエストロゲンを増やすことはできません。ただ、エストロゲンに似た働きをする食品が、更年期の不調を改善する手助けをしてくれる可能性はあります。それが「植物性エストロゲン」です。
植物性エストロゲンは「フィトエストロゲン」とも呼ばれ、女性ホルモンに似た働きをします。今回はこのエストロゲンに似た働きをするフィトエストロゲンを含む食品を5つご紹介します。
植物性エストロゲンの多い食品①豆腐、納豆、味噌などの大豆製品
植物性エストロゲンを多く含む食品で代表的なのが、「大豆」です。大豆製品は日本では日常的によく食べられていますね。豆腐、きなこ、大豆、納豆、味噌、豆乳などがあります。
大豆製品に含まれるイソフラボンが女性ホルモンと似た働きをします。さらに、この大豆に含まれるイソフラボンから、腸内で「エクオール」という物質を生成できる体質の人には、より効果的だということが研究で示されています。

実際、日本人は大豆を積極的に摂取するため、更年期症状を感じる割合が低いとされています。ただ、不調をがまんしている人も多いせいで、割合が低くなっている可能性はあります。
植物性エストロゲンの多い食品②フラックスシード(亜麻仁)
2つ目はフラックスシードです。アマ科「アマ」の種子で、「アマニ(亜麻仁)」とも呼ばれます。
「亜麻リグナン」というポリフェノールの一種がエストロゲンと似た働きをすることがわかっており、また、抗酸化作用も高い食品です。
植物性エストロゲンの多い食品③カボチャの種
3つ目はカボチャの種、パンプキンシードです。カボチャの種にもリグナンが豊富です。また、カルシウム、鉄分、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルも多く含まれています。
カボチャの種はドイツで薬用ハーブとして認可され、医療品として使われています。園芸用に使われる「おもちゃカボチャ」と呼ばれる品種の種が用いられます。

植物性エストロゲンの多い食品④クランベリー
4つ目はクランベリーです。真っ赤な種子で、トライフルーツやジャムなどで食べることが多いです。
クランベリーに含まれるポリフェノールの一種である「レスベラトロール」は女性ホルモンのような作用をするとされており、そのほかにも抗酸化作用を持つ成分が豊富です。

植物性エストロゲンの多い食品⑤イタドリ
5つ目はイタドリです。山菜の一種で、日本中あちこちに生えています。アクが強く、調理に手間がかかりますが、炒めものや天ぷらとして食べる地方もあります。

日本では、漢方薬の「虎杖根(こじょうこん)」として使用されており、クランベリーと同様、ポリフェノールのレスベラトロールが含まれています。
今回は、女性ホルモンに似た働きをする成分をもつ食べ物を5つ紹介しました。健康的な食事習慣は、更年期の不調の改善の基本になります。決まったものばかりをとるのではなく、こうした食品も上手に取り入れるように工夫して、体調管理をしていきたいですね。
永田京子
NPO法人 ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。著書「女40代の体にミラクルが起こる!ちぇぶら体操(三笠書房)」、「はじめまして更年期♡(青春出版社)」。
永田京子