ストリートファイター的なデザインを採用
2023年のバイク市場を占う上で重要なモデルが多数出展されたイタリア・ミラノでのEICMA(国際モーターサイクルショー)2022。そこでスズキがアドベンチャーモデルの新顔「Vストローム800DE」とともに発表したのが、ここに紹介する「GSX-8S」です。こちらはオンロード向けのモデルですが、2台はエンジンだけでなくフレームも共用されています。

ショートタイプのマフラーに鋼管のシートレールなど“あえて見せる”デザインで独自の存在感を放つスズキのストリートファイター「GSX-8S」
搭載されるエンジンは、ともに776ccの並列2気筒。クランク軸に対して90°に一次バランサーを2軸配置するというユニークな機構(量産車としては世界初)を採用することで、振動を抑えながら軽量・コンパクト化を実現しています。
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最高出力は82.9psで最大トルクは78Nm(ともに欧州仕様)。クランクはトラクション性能に優れた270度を採用しています。
一見すると、「Vストローム800DE」とフレームまで共用しているとは思えないのは、「GSX-8S」のデザインに理由があります。マフラーはショートタイプで、鋼管のシートレールやエンジンなどを“あえて見せる”デザインで、独自の存在感を放っています。
LEDライトが縦に2灯並んだフロントフェイスは「GSX-S」シリーズに共通するもので、ヨーロッパで人気のストリートファイター的なルックスです。アップタイプのハンドルに短く切り落としたようなテールカウルのデザインも、ストリートファイターの文脈に沿ったもの。街中をキビキビ走るようなシーンが思い浮かぶデザインといえるでしょう。
●日本の4メーカーが競う激戦区に投入
「ミドルクラスのストリートファイターに位置づけられる『GSX-8S』ですが、実はこのカテゴリーはものすごい激戦区なんです」
そう話すのは、2輪車など乗り物関連の記事を手がけるライターの増谷茂樹さん。
「カワサキの『Z650』やヤマハの『MT-07』といったモデルは人気ですし、ホンダは先日『CB750ホーネット』を発売するとアナウンスしています。いずれも戦闘的なフェイスデザインで、文字どおり激しい戦いになりそうです」(増谷さん)
アグレッシブに見えるデザインを採用した「GSX-8S」ですが、スズキによると「ライダーの年齢やスキルを問わず、多様なライディングを楽しめる」バイクを目指したとのこと。
新設計の2気筒エンジンも最高出力よりトラクション性能を重視した設計であり、実際に乗ってみれば見た目によらずエントリーライダーやリターンライダーにも扱いやすいマシンに仕上がっているのかもしれません。
いずれにしても、日本の4メーカーがしのぎを削る激戦区に投入されるモデルだけに、日本仕様のスズキ「GSX-8S」は戦略的な価格設定になる可能性が大。今後の発表が待ち遠しいところです。
●製品仕様(欧州仕様)
・サイズ:2115×775×1105mm
・ホイールベース:1465mm
・シート高:810mm
・重量:202kg(装備重量)
・エンジン:776cc水冷並列2気筒DOHC
・タンク容量:14リットル
VAGUE編集部