キッチンにあるのが当たり前と思っているものを見直すことで、使いやすくなったり、家事ストレスが減ったりすることがあります。整理収納アドバイザーの木村充子さんは、50代になって、炊飯器、トースター、コーヒーメーカーと3つの家電を手放しました。小さなキッチンが格段に使いやすくなり、暮らしの楽しみが増えたそう。心境の変化を語ります。

3つの家電を手放し、すっきりした筆者の家のキッチン
築25年のキッチンが使いにくかった2つの理由

筆者は10年前に築15年の小さな中古戸建を購入。夫と娘ふたりの4人家族で暮らしてきました。キッチンの広さは3.5畳。広さは十分あるのに、なぜか使いにくさを感じていました。その理由は以下の2つです。
●コンセントがL型コーナーにしかなかった

キッチンのカウンターはL字コーナー型。料理をするスペースはこのコーナー部分だけなのに、コンセントもここにしかないため、電子レンジ、炊飯器、トースター、コーヒーメーカーをところ狭しと並べていました。
●シンクがムダに大きい

シンクは、25年前に家が建った当時流行していたジャンボシンク。シンクの標準幅が60~90㎝なのに対して、わが家のものは100㎝あり、調理スペースを狭くしています。
備えつけの水切りカゴと同サイズのまな板も付属されていましたが、使った道具を洗いながら料理をしたい筆者には、まったく出番がありませんでした。
炊飯器を処分して土鍋に。料理しやすいキッチンになった

あるとき、実家から炊飯用の土鍋を譲り受けました。さっそく使ってみたところ、蒸らす時間を合わせても、20分ほどでおいしいごはんが炊き上がるではありませんか。
土鍋でごはんを炊くのは難しそう、と思っていましたが、意外と簡単。そこで炊飯器を手放し、土鍋でごはんを炊く習慣に変えました。
このことでキッチンに大きな変化が起こりました。コーナー部分に炊飯器ひとつ分のスペースが増えただけで、格段に料理がしやすくなったのです。
トースターとコーヒーメーカーも手放し、すっきりしたキッチンに

炊飯器がひとつないだけでこれだけ料理がしやすくなるならと、思いきってトースターとコーヒーメーカーも手放しました。現在コーナー部分に置いているのは電子レンジだけです。
ちなみにパンをトーストするときは、魚焼きグリルを使っています。焼いている間は目を離せない不便さもありますが、慣れてしまえばまったく問題ありません。
3つの家電を手放したら、暮らしに楽しみが増えた
炊飯器、トースター、コーヒーメーカーを手放したあとも、使ってみたいと思うキッチン家電はありました。しかし、筆者にとっては便利な家電を使って料理することよりも、料理をするときのスペースが広いことのほうが重要なので、購入には至りませんでした。
また、3つの家電を手放したことで、スペースが広くなったこと以外にも、よかったことがありました。
●丸洗いできて簡単に清潔さをキープできるようになった

炊飯器を使っていた頃も、内ブタと内釜は使うたびに洗っていました。しかし、細かいパーツは洗うのが面倒なので、数回に一度しか洗っていませんでした。トースターも、取りきれないパンくずが残っていて、決して清潔とはいえませんでした。
その点、土鍋も魚焼きグリルも丸ごと洗えるので、毎回気持ちよく使えます。
●上達する楽しみがある
土鍋ごはんは、水加減と火加減の組み合わせ次第で、おいしさが変わってきます。水温やお米の種類を変えてみると、味の違いが微妙に変わることにも気づくように。自分なりに工夫して、上手に炊けたときのおいしさは格別です。

コーヒーも、ハンドドリップでおいしく入れるための試行錯誤を、日々楽しんでいます。
子育て期のように時間に追われて、料理をすることから解放された50代の今。必要だと思っていたものを処分することで、キッチンが使いやすくなっただけでなく、暮らしに楽しみを見つけることができました。
あるのがあたりまえだと思っていたものを見直してみると、新しい発見があるかもしれません。
木村充子