2億円のマクラーレン「エルヴァ」を公道試乗! フロントガラスのないオープンカーなのに快適でした

2億円のマクラーレン「エルヴァ」を公道試乗! フロントガラスのないオープンカーなのに快適でした

  • VAGUE
  • 更新日:2022/01/14

約2億円のオープンボディを日本の公道で試す

乾燥重量1300kg以下。最高出力はなんと815ps。21世紀になってから生産されたマクラーレン製ロードカーの中でもっとも軽量なカーボンファイバーボディ製のマシン。それが「エルヴァ」だ。

最大の特徴はトップレスモデルであること。後にフロントガラスの設定も追加されたが、発表当初はそれすらもなかった。いずれにしても常時オープンカー。そのためインテリアには特別な素材が採用され、快適性と機能性の両立を図っている。また、車体の空力に併せて専用にデザインされたヘルメットや、ミルスペックの強化ゴーグルも用意されている。

【画像】伊勢志摩スカイラインをマクラーレン「エルヴァ」で走る!(9枚)

世界限定149台。そんなマシンを公道で試すチャンスなどそうそうあるものじゃない。しかも舞台は貸切りのワインディングロード。サーキットではない道で高いパフォーマンスを解放する絶好のチャンスである。

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AAMSのおかげでヘルメットやゴーグルがいらない、開放的なコックピットでワインディングでの走りを楽しめた(C)McLaren Automotive

試乗の5分前になって、朝から降り続いていた雨が突然止んだ。途端に雲が割れ、青空が顔を覗かせる。今がチャンスとばかり、2億円のロードスターをトップレスゆえ雨宿りしていた建物の軒下から引っ張りだすべく、バタフライナイフのように開くディヘドラルドアを跳ね上げてコクピットに滑り込んだ。ロードスター専用モデルのため、ボディ剛性確保のためにサイドシルはかなり高い。

●経験のないほどの軽さ

雨が止んだとはいえ、路面は未だウェット。所々ドライ路面もあるとはいうものの、それゆえもっとも危険な状態であるともいえる。ドライとウェットのまだらな路面状況でプロのドライバーがスーパーカーをスピンさせてしまう場面を何度も見てきた。まずは慎重にアクセルペダルを踏み込んで、パワーの出方とクルマの動き方、そしてもちろん路面コンディションを確かめるようにして走りだす。

試しにステアリングホイールを左右に振ってみた。軽い! ドライバーの周りに重量の存在をほとんど感じないとでもいおうか。車体全てが腰の周りにベルトのように巻きついているような錯覚を覚える。こんなクルマは初めて、だ。否、あえていうならばフォーミュラーカーに近い感覚、とでもいえば少しはその感覚が伝わるだろうか。もちろんフォーミュラーカーに比べればかなりメタボではあるけれど。

しばらく低速走行を続けてみて分かったことが他にもある。乗り心地がかなりいいことだ。マクラーレンといえば「MP4-12C」でスーパーカー界に”乗り心地改革“をもたらした第一人者である。そのうえロードスターだからある程度良いであろうことは想像していたけれども、見事にそれを超えてきた。快適装備などまるで見当たらないレーシングカーのようにスパルタンな内外装の雰囲気からは予想もつかないコンフォートさ。これなら毎日乗ったっていい。事情が許すのであれば。

2億円の「エルヴァ」のアクセルペダルを本気で踏んでみたら

晴れ間がさらに広がって気温も上昇し、急速に路面も乾きつつあったので、さらに良くなるのを待つため、もうしばらく右足を堪えさせるドライブを続けた。確かめたいこともあったのだ。エルヴァの注目装備のひとつ、AAMS=アクティブ・エア・マネジメント・システムである。時速40kmを超えたあたりから作動するという。ルーフ&ガラスレスのこのクルマに少しは快適なドライブを提供するアイテムらしい。

果たしてノーズの中ほどから視界を遮らない程度の壁が迫り上がった。すると前からの空気の流れがはっきりと変わって、ちょうどエアカプセルのような状況がキャビン周りで形成される。風をまるで感じなくなるというと嘘になるけれども、向かい風の勢いは確かに弱まったように思えたし、コクピット周りに発生するノイズのボリュームもいくらか下がったように感じられた。レーシングカーコンストラクターとして世界にその名を馳せるマクラーレンだけあって、空気の流れを操ることは得意中の得意というわけだろう。

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リアビューは「720S」よりも「675LT」や「GT」に似たデザインとなっている。バンパーサイドにある縦型のエアロパーツは、空力によってボディを擬似的にロングテール化し、エアロダイナミクスを高めている(C)McLaren Automotive

路面コンディションがかなり良くなった。日向では思う存分に踏めそうだ。815psの片鱗を味わってみようじゃないか。意を決しアクセルペダルを踏み込んだ。

●笑い続けるほかないほどの一体感

異次元の加速。言葉をなくしてしまう。路面の上に接地して走っているという感覚があっという間に薄まった。腰に巻いたベルトが前からの強烈な力で引っ張られたかのように飛び出す。それでいて飛んでいるようかというと、そうではない。

マシンは素晴らしく安定しており、怖さは微塵も感じない。空気をキレイに切り裂いてどこまでも加速し続ける。ある速度域に達するとカーンと空気が悲鳴をあげたような音がした。あれはエアカプセルの弾ける音だったのか。コーナーが迫る。ブレーキ性能は効きもフィールもロードカーのレベルを遥かに超えていた。

加減速とくればお次はハンドリングだ。マシンは腰に巻いたベルトのようだと書いた。速度を上げてもその感覚は変わらず、さらにいうと鋭敏さを増す。ハンドルを回すと即座に身体ごと旋回する。超クイックだが、不思議と気持ち悪くない。ドライバーを中心にしてクルマ全体が一体となって曲がっていくからだろう。

加減速と旋回をリズム良く続けていける。ドライバーはもう笑い続けるほかない。多少路面が濡れていてもコントロールできる妙な自信が湧き始めたところでエルヴァを停めることにした。これ以上、危険な領域へ入っていかないための理性がギリギリ働いたのだった。

西川淳

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