Netflix新作に「こんまり夫婦」登場の深い意味

Netflix新作に「こんまり夫婦」登場の深い意味

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2021/09/15
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近藤麻理恵さんが贈るNetflixの新しい劇的改造シリーズ『KonMari 〜"もっと"人生がときめく片づけの魔法〜』が8月31日から全世界配信された(写真:Netflix)

Netflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluなど、気づけば世の中にあふれているネット動画配信サービス。時流に乗って利用してみたいけれど、「何を見たらいいかわからない」「配信のオリジナル番組は本当に面白いの?」という読者も多いのではないでしょうか。本記事ではそんな迷える読者のために、テレビ業界に詳しい長谷川朋子氏が「今見るべきネット動画」とその魅力を解説します。

こんまり自宅の撮影シーンからスタート

コロナ禍をきっかけに働き方を見直している人に必見。8月31日に全世界配信された、片づけコンサルタントの「こんまり」こと近藤麻理恵さんのNetflix 新シリーズ『KonMari 〜"もっと"人生がときめく片づけの魔法〜』は家から飛び出し、職場や地域コミュニティが「ときめく片づけ」の新たな舞台。今、なぜ仕事人生を片づける必要があるのか? そんなことを問いかけています。

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大ヒットした前作『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法』が全世界配信されてから約2年半の時を経て、Netflixシリーズに戻ってきた新作はそう、仕事にフォーカスしていることから明らかに前作との違いがいくつかあります。“シーズン2”ではなく、タイトルに“もっと”を加え、スピンオフ的なシリーズであると捉えていいでしょう。

番組の冒頭、「わたし自身が経験したことのない新しいプロジェクトに挑戦したいと思います!」と、近藤麻理恵さんが話す撮影場所はアメリカの自宅。“こんまり夫”の川原卓巳さんとお子さんたちも登場するシーンから始まります。前作にはなかった演出です。自宅で家族総出のインパクトある掴みに人気シリーズの余裕すら感じます。

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“こんまり夫”の川原卓巳(写真左)さんも登場し、アメリカの自宅で近藤麻理恵さんがどのように"ときめき"を生み出しているのかを垣間見ることができる(画像:Netflixシリーズ『KonMari 〜"もっと"人生がときめく片づけの魔法〜』全世界独占配信中)

アメリカではこんまり流片づけ=「Kondo-ing(コンドーイング)」という動詞が一般化されたほど、大きく影響を与えた前作の流れを受けて、基本の整理整頓術は健在です。近藤麻理恵さんが今回もみっちり教えていきます。あの書類はどこ?この道具はどこに仕舞う?といった職場あるあるの悩みに対してアドバイスし、「立てて収納」するといったお決まりの「こんまりメソッド」を具体的に実践しています。そして、たびたび“こんまり夫婦”が登場します。冒頭部分だけでないことに実は深い意味があるのです。

“こんまり家族”が出演する理由を解説する前に、近藤麻理恵さんが訪れた先でどのような片づけの悩みがあったのか。その説明から始めます。今回用意されたのは3つのエピソード。1つ目の主役は栽培園を営む父と息子、2つ目はコーヒーショップを切り盛りするワーキングマザー、最後は第2の人生を歩み始め、教会で奉仕活動する女性です。

悩みはプライベートと仕事の境界線の作り方

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コーヒーショップを切り盛りするワーキングマザーのジョアンナさん(写真左)が主役の回はリモートワークする人にとって整理整頓術のヒントが見つかる(画像:Netflixシリーズ『KonMari 〜"もっと"人生がときめく片づけの魔法〜』全世界独占配信中)

リモートワークの時間が増えた人は、2つ目のジョアンナさんの回はきっと参考になるはずです。自宅をコーヒーショップの事務所と兼ねているジョアンナさんの悩みはプライベートと仕事の境界線をうまく作れないこと。仕事の書類と子どもの描いた絵が同じ場所に積み重ねられています。子どもが小さいうちは珍しいことではありません。後で整理しようと思いつつ、雑然とした状態になりがちです。

「職場では母親失格で、家庭では経営者失格だと感じる」。そうため息交じりに話すジョアンナさんの気持ちに共感できるワーキングマザーの方は多いのではないでしょうか。ワーキングマザーに限らずとも、仕事と生活が入り組みがちであることは、コロナ禍になって初めてリモートワークを体験した方も感じ始めていることかもしれません。

その解決方法として、仕事場の空間を片づけることを推奨していくわけですが、さらに一歩踏み込んで、片づけをきっかけに根本的な問題を見出していきます。どのエピソードにも共通する流れで、これこそ今回のシリーズタイトルの“もっと”を象徴するもの。面白みでもあります。

前作の配信開始後、近藤麻理恵さんのもとにさまざまな「こんまりメソッド」体験談が寄せられたそうです。その中に「自宅だけでなく、職場も片づけたい」「人間関係も片づけたい」という意見があり、それが今回のシリーズの企画につながっていきます。近藤麻理恵さん本人にもこの経緯を確認し、このとき、家族で出演した理由も明かしてくれました。

「単なる片づけという側面ではなく、片づけは人生の一部だと思っています。だから、片づけることによって“ときめく”感動をどのようにして磨くことができるのか、人生にどのように活かすことができるのか。お見せしたいと思い、家族揃って出演しました」

片づけが終わった後にやってくる普段の暮らしのなかで、どうすれば、“ときめく”ことができるのか。これを今回とことん追求するために身をもって伝えたというわけです。

この10年の間に自身の生活も大きく変化した

近藤麻理恵さん自身もこの10年の間に毎日の暮らしが変化したことが大きかったようです。結婚し、子どもを3人授かり、片づけのことしか考えていなかった独身の頃と比べると、「家庭生活を重視するようになっていった」と言います。

「思えば、以前は片づけ一筋の仕事人間でした。それが、暮らしの中で家族にとって“ときめく”ような毎日にするにはどうしたらいいんだろう。片づけによって毎日の暮らしをより丁寧にしていきたいと思うように至りました」

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家から飛び出し、職場や地域コミュニティが「ときめく片づけ」の新たな舞台。職場でよくある片づけの悩みを「こんまりメソッド」で解決していく(画像:Netflixシリーズ『KonMari 〜"もっと"人生がときめく片づけの魔法〜』全世界独占配信中)

ワークライフバランスが今作のまさにテーマ。今回登場した3組も仕事好き人間という共通点があります。でも、大事な家族との生活や関係性も大事にしたい。そんな悩みに近藤麻理恵さんも共感できるからこそ、仕事と暮らしが密接につながった片づけを勧めることに説得力が増していると思うのです。

何より番組を通じて伝えたかったのは「自分の場合は?とご覧になっていただいた方に片づけのアクションを起こしていただき、人生を見つめ直すきっかけを作ってほしい」という想いだったそうです。実際に番組を見て、まずは片づけ欲が高まるかどうか。試す価値はあると思います。

(長谷川 朋子:コラムニスト)

長谷川 朋子

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