「正論を振りかざす人」はダメではない! なんでもハラスメントにしたがる風潮に違和感

「正論を振りかざす人」はダメではない! なんでもハラスメントにしたがる風潮に違和感

  • オトナンサー
  • 更新日:2022/05/14
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「ロジハラ」の問題点は?

最近、「ロジハラ」という言葉を耳にすることが増えました。ロジハラとはロジカルハラスメントの略語で、正論で相手を追い詰めることを指します。例えば、上司がミスをした部下に対して、「なんでミスしたの? ちゃんと説明して!」と迫ることはロジハラにあたるというわけです。上司が部下の顔色を見なければいけない「大変な時代」になりました。

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不可解なロジハラブーム

筆者は、昨今のロジハラブームに違和感を覚えています。正論をぶつけて優位に立とうとすることが「ロジハラ」だと言われていますが、上司と部下は、仕事の責任も範囲も異なります。職責や役務は、上司ではなく会社が決定するものです。職責が上位であれば指導が強くなることは当然ですが、これを問題視されては、上司は職務を全うできません。

なぜなら、仮に、部下にミスの責任があったとしても、正論を言って、本音で指導することができなくなるからです。部下が「上司に強い指導を受けてショックを受けました。これロジハラです」と主張した時点で、部下が上司を追い詰めていることになってしまうのです。名づけるなら、「逆ハラ」(部下が上司を追い詰める)ということでしょうか。

強い指導を受けたからといって、なんでもハラスメントにすることはいかがなものかと思うわけです。これでは、円滑なコミュニケーションが取れなくなってしまいます。本当にバカバカしいと言わざるを得ません。

もちろん、セクハラやパワハラは別です。例えば、「セクハラ」は職場において労働者の意に反する性的な言動が行われ、拒否すると不利益を受けることを指します。「パワハラ」は同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えることです。

ロジハラはパワハラに近いニュアンスですが、「セクハラ」「パワハラ」とは異質なものだと考えます。筆者も会社に勤務しているとき、上司にミスをとがめられたことがあります。また、部下をかなり強く叱ったこともあります。これもロジハラなのでしょうか(苦笑)。次に、正論を振りかざす理由について考えてみましょう。

正論を振りかざす理由とは

よくある説として「正論を振りかざす人はプライドが高く、自分の意見や考えを押し付ける」というものがあります。相手を下に見ていることが多く、上から自分の意見を押し付けることが好ましくないというのです。筆者は「何をおっしゃいますか」と申し上げておきます。

上司が自分の意見や考えを正しいと思うことは当然でしょう。自分が言っていることが正しいと思うからこそ、部下に分かってもらいたいという心理で言っているのです。組織であれば、部下は上司に従うのが当然です。このように考えれば、世の中で言われているロジハラの多くが、実はなんら問題のない行為であることが分かります。

それでは正論が好ましくない場面とはどのような場面を指すのでしょうか。ここでは正論の使い方について考えてみましょう。

正論が好ましくない場面

不祥事や事故があった際に、役員や関係者が、不祥事や事故の実態を知っていながらゴルフに出掛けていたり、旅行に出掛けていたり、宴会をしていたなどという記事を目にしたことはありませんか?

「これは慰労の一環です。ゴルフは半年前から決まっていたことで健康管理を目的にやっています。問題があるとは考えていません」

この内容が事実でも、一般の人には居直りとも取れる印象を与えてしまうでしょう。建前でも、「会社のコンプライアンス部門に実態調査の指示を出しました。結果が分かり次第、報告したいと思います」と公表しておけば、問題が大きくなることはないはずです。

2018年の自民党議員の宴会「赤坂自民亭」も同じような理屈です。西村康稔官房副長官
(当時、以下同)らがツイートしたもので、安倍晋三首相、岸田文雄政務調査会長、小野寺五典防衛相ら自民党議員が仲むつまじく杯を上げている写真が投稿されました。しかし、このとき、日本では豪雨災害の危険が高まっていました。

未曽有の水害が起き始めているときに、首相、防衛相ら政府与党の首脳が酒盛りをしていたのです。仮に「定期的な会合で、予定が決まっていた」と主張したとしても、批判が集まるのは当然のことでした。正論や持論は、時と場合によってはマイナスイメージを与えてしまいます。

正論を振りかざすときに注意すべきこと

私がある会社の役員をしていたときのエピソードになります。営業部の部長がメンバーを鼓舞するために、受注が決まる度に、細かい数値達成の状況や、営業努力をねぎらうメールを全社に送信していました。

しかし、会社には営業部門以外のさまざまな部署が存在します。別部門(システム部)の部長が「そのような送信は部内にとどめてほしい。おのおの、部門の役割は異なるし、全社メールは自部門の成果を披露するものではない」と忠告してきたのです。

しかし、その内容に対してすかさず社長が「あなたの主張は正論だと思います。ただし表現としては最低です。あなたは上司が部下をねぎらうための行動をどのように思っているのですか」とたしなめました。社長の対応は絶妙だったと思います。

もし、あなたが面倒なことに巻き込まれたくないのなら、影響度をシミュレーションする必要があります。「この発言をしたらどうなるか」をシミュレーションするのです。それが正論でも、好ましくない結果になりそうなら、別の方策が必要になるということです。注意深くなることで、くだらないロジハラブームに流されることもなくなるはずです。

コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員 尾藤克之

尾藤克之(びとう・かつゆき)

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