
建設×ドローン、農業×ドローン、物流×ドローンなど、ドローン関連市場は急拡大している(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
物価高なのに収入が上がりづらい中、副業に熱い視線が注がれている。気になるのは、どのようなスキルに需要があるのか。注目はドローンの操縦士だ。AERA 2023年3月20日号の記事を紹介する。
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本業での大幅な収入アップがなかなか叶わない中、副業への注目は高まる一方だ。ビッグローブが行った「2023年の働き方に関する意識調査」(20~50代)によれば、「2023年に副業をしたいと思う」人は、3人に1人。リスキリングに取り組みたいと考える人も55%いるという結果に。
それでは、どんなスキルをリスキリングで身につけるのがいいのか。
ChatGPTなどのAI技術を使いこなし、習得していくことも、令和の時代に生きる収入源になるかもしれない。だが、視線が注がれているのはそれだけではない。たとえば「手に職」スキルとして注目を集めているのが、ドローンの操縦士だ。
昨年12月に、国家資格として「無人航空機操縦者技能証明」制度がスタート。それまでは民間資格があるのみだった。22年6月には航空法が改正され、ドローンを飛ばすには機体の登録、飛行許可の申請、飛行計画の登録なども必要になった。
■27年度に8千億円市場
こうしたドローンを取り巻く法律・制度の変化は、一見、ハードルが上がったように見えるが、安全な体制を作り上げ、今後さらに活用が進んでいく準備が整ったともいえる。
実際、ドローンパイロット育成のためのスクール事業など、周辺市場は需要が増え続けている。インプレスの「ドローンビジネス調査報告書2022」によると、ドローンビジネスの市場は、21年度時点で2308億円の規模だが、27年度には8千億円規模へ拡大すると見られている。
「以前は上空から写真や動画を撮影したりといった用途が多かったのですが、ここ1、2年は点検系と農業系の作業が増え、半分以上を占めています」
と説明するのは、ドローンに関する情報発信を行っているGMOメディアのドローンスクール検索サイト「コエテコドローンbyGMO」編集部の高橋範恵さんだ。高層マンションの外壁点検、電力会社の高圧線の点検など、これまではゴンドラなどを使い、大がかりで危険を伴う作業だったが、ドローンを使えば人を介在させずに安価に効率よく遂行できる。
こうした現場では、ドローンのオペレーターがまだまだ足りていない現状があるという。
高橋さん自身、昨年12月に民間管理団体JUIDAのドローン操縦ライセンスを取得した。2日間の合宿と6時間のオンライン自習で見事合格した。が、副業で仕事につなげられるかというと、難しさも感じている。
「すぐに現場に出られるかというと、知識も技術もまだまだ足りていません。例えば農薬散布に使うドローンは大きなサイズのもので、それらのドローンの操縦に特化したスクールなどもあります。仕事にしたい分野に特化した技術を身につけて、経験を積んでいく必要があります」(高橋さん)
■マリオカート上手い人
建設会社などは自社でドローン人材を育成している企業も多いが、とはいえ人材不足で市場の成長に伴った供給はされていない。柔軟な雇用形態で人材を確保しようとする動きが出てくれば、副業にもチャンスはある。
ところで、ドローン操縦に向いているのはどんな人なのか。
「指先を使った繊細な動きが問われる面はあるので、ゲームでコントローラーをよく使っている人は、やっぱり上手いなと感じます。マリオカートをよくやっている人とか(笑)。一方で、それは練習すれば身につく技術でもあるし、うまく飛ばせるだけでは決して十分ではありません。天候や風速、周波数などドローンを飛ばすときに何に気をつけないといけないのか、安全管理の知識が必須です」(同)
(編集部・高橋有紀)
※AERA 2023年3月20日号より抜粋
高橋有紀