天竺鼠「楽しんでもらいたいと思ってない。脳みそ使ってほしいです」

天竺鼠「楽しんでもらいたいと思ってない。脳みそ使ってほしいです」

  • WANI BOOKS NewsCrunch
  • 更新日:2021/01/14
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約1年半振りに開催予定だった単独ライブ『高級ジャンピングボレーライブ』について天竺鼠さんにお話を伺いました(取材は2020年末収録)。残念ながら中止となってしまいましたが、奇想天外なネタの数々が観られる単独ライブにおける、これまでの驚愕エピソードやそれぞれの活動、ふたりの関係性、今後について余すところなく語ってもらいました。

※本記事は『+act. ( プラスアクト )2021年2月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

完成されたものには興味がない

若手時代から斜め過ぎる思考力と表現力で、孤高の存在として注目されてきた天竺鼠。近年、川原克己はアートで、瀬下豊は体を張ったロケで、それぞれとしての活躍も目立っている。そんな彼らが、約1年半ぶりに単独ライブ『高級ジャンピングボレーライブ』を開催する。〔注:公演は中止となりました〕

「自分の楽しいことをやっているだけ」と飄々と語る川原に困惑しながらも、相方の放つ発言一つひとつに爆笑してツッコんでいく瀬下。高校時代の友人から始まったふたりの関係性は今も変わらないよう。撮影中、ふたりともエアマックスを履いていることをカメラマンに指摘されると、瀬下は「恥ずかしいですわ」とはにかんだ。

――約1年半ぶりの単独ですね。昨年開催しなかったのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあったんですか?

川原克己(以下、川原) いや、関係ないですね。今回も怪しい時期ではあるんですけど、特に何も考えずに近々やりたいなと思ったくらいのことです。もしかしたら、(この単独も)なくなるかもしれないしねぇ?

瀬下豊(以下、瀬下) なんちゅうこと言うねん! いつも相方が決めるんで、僕は何も知らないんですよ。

川原 たぶんマネージャーから伝え聞いてるんじゃないですか?

瀬下 いや、言うてこない。もし僕が先々のスケジュールを確認せんかったら、直前まで知らない可能性もありますね。もうずーーっとこんな感じなんです。

川原 大阪から東京に出てくるときも勝手に決めたし、最近だと僕だけ(吉本興業と)エージェント契約したんですけど、それも勝手にしましたし。

瀬下 エージェント契約のことはSNSで知りました。今回の単独も、Twitterにファンの人から観に行きますっていうのがきて、あぁ、あるんやって知りましたね。

――では、川原さん。現時点で今回の単独の構想はありますか?

川原 全くないですね。いつもギリギリになっちゃうので。

瀬下 ほんまにそうで、単独の2~3日前に技術さんたちが、きっかけを確認するためにリハーサルをするんですけど、その時点でまだ決まってなくて当日でいいですか、みたいなことが多いんですよ。

川原 いつもは大阪で(単独を)やってから東京でやるんですけど、今回初めて東京が先なんで、全く仕上がってないものを観られるかもしれないですね。

瀬下 仕上がってないもん観せたらあかん! 今まで大阪の人らには、とんでもないものを観せてたってことやん(笑)。

――ある意味、今まで観られなかったものが観られるっていう、楽しみがあるということですね。

川原 二度としないネタが観られますもんねぇ?

瀬下 いや、どっちに価値付けてるねん!

川原 一番ひどいときは、単独本番のコントとコントの合間で服を着替えてる最中に、最後の漫才、どうしようかって考えたこともありました。まぁ、ギリギリになっちゃうひとつの言い訳として、完成されたものにあんまり興味がないっていうのがあるのかなと。

瀬下 何それ?

川原 かっこよく言ったほうがいいかなと思って。

瀬下 かっこつけてんのばれてるで?

川原 それこそ単独なんて、その日にしかできないことができるもので。テレビに出てる人たちって上手ですし、今時、舞台でもみんな上手にやってますけど、この芸歴で上手じゃない舞台作りっていうのもいいんじゃないかなって。17年やってきたヤツらの舞台が、とんでもなくふわっと終わるのもいいなと思うんですよ。

――(笑)。ということは、これまでの単独でお客さんがシーンとなったり、ざわついたりはざらにあったと?

瀬下 おおいにあります。ファンだけ来てるのに、すーっごい変な空気になって。

川原 10分のコントを3回連続でやったことがあるんですけど、3回目をやってるとき、僕らのことを好きで観に来てる人たちなのに、みんな気持ち悪~いっていう顔で観てました。1回目はあれだけウケたのに3回目で引いてるみんなを見て、あぁ、僕はこれがやりたかったんだなって。

瀬下 俺は二度とやりたくないよ! 3回目やってるとき、げぇ吐きそうやったんやから!

川原 まぁ、僕はお客さんに楽しんでもらいたいとは思ってないので。自分が楽しくて、あわよくば楽しめたお客さんはラッキーだねっていうくらいなんですよ。

瀬下 ちょっと......なんなん、その感覚。

好きなものを作ってテレビに出られたらラッキー

――天竺鼠さんって、どうやってネタを作ってるんだろうと。特に漫才をどうやって作ってるんだろうと不安……あっ、不思議に思ってました、でした。すみません、3回同じコントをやった話を聞いて、感じた思いを口に出してしまいました。

瀬下 ふはは! わかりますよ、僕はその気持ち。僕も最初はひもとこうとしてたんですけど、初期段階でわからんものはわからんでいいんかなって。例えばお寿司のコントなんて、僕はどこにおってどこで行なわれてることなんか、未だにわかってないんですよ。(自分が演じてるのは)小学生だってことはわかりますけど、どの場所で起きてるなんなのかはわからない。カオスです(笑)。

川原 お寿司のネタ、僕は凄くベタでわかりやすいと思ってるんですけどねぇ。まぁ、それぞれの捉え方があるから絵画を観ている感じで楽しんで、今まで使ったことがない奥にあるそれぞれの脳みそを使って頂けたらなと。じゃないと、お金とか時間がもったいないから。

瀬下 ははは! お金出してくれてるもんね、たしかに。

川原 そうそう。美術館とか、ぱっと回って帰る人いるけど、もったいないじゃないですか。僕は1枚の絵を1時間かけて観るのが好きで……。(自分たちの作るものは)ぐちゃっとした絵ですど、頑張って脳みそ使って元を取ってほしいです。

――若手のころから切り口や見せ方が斬新なネタをするなかで、観ている人に受け入れられるかどうかみたいなところで、苦労されたこともあったんじゃないかと思うのですが。

川原 今も受け入れられてないですよ。ネタ番組に呼ばれたとき、担当の人からどのネタしたいですかって聞かれて3~4つ挙げるんですけど、テレビではできないですねって言われますから。

瀬下 よう聞くわ、それ言われてるの。

川原 僕のなかでは普通なんですけど、例えばヨガの格好してる人が、奇声上げながらヨガマットで4分間しばき合ってるネタとか。なんでケンカしてるかは最後までわからなくて、途中、ヨガマット取られたひとりがどこかへ行ったとき、もうひとりは瞑想して。

瀬下 ヨガのポーズ、しっかり取ってな?

川原 そう。けど、テレビとしてはそれを4分間続けられると怖い……。なんでケンカしてるのかっていう理由とかオチを求められるんですけど、僕はいらないと思っているので、ないんです。そこに向けてネタを作ってないので。

――そう断言するようなきっかけが、何かあったんですか?

川原 最初から自分が面白ければいいやって好き勝手に(ネタを)作ってたんですけど『キングオブコント』の決勝に1~2回行って。そのとき、あぁ、こんな感じのネタを作ったら決勝行けるんやと思ったので、それに向けて作ったんです。たしかにウケるんですけど、自分のなかで全然面白くなかったので、好きなものを作って、たまたま賞レースの決勝とかテレビに出られるならラッキーくらいの気持ちでいようと思うようになったんです。

天竺鼠さんへのインタビュー記事は、1月12日発売の『+act. (プラスアクト) 2021年2月号』に全文掲載されています。

〈高本 亜紀〉

NewsCrunch編集部

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