パソコン作業ができるカフェを探していた。
どうせなら、吹き抜け天井を持つホテルのラウンジみたいな
しゃれた空間がいい。
「ここに来て良かった。心が踊る自分に出会えた」
と満足しながら紅茶代を払いたい。
音楽や本と同じで、
私にとって必要なこだわりだ。
ヒルトン併設のカフェの予約は取れなかった。
バンジージャンプに挑むような気持ちだったが、残念だ。
こうなったら、別の宿泊施設を探そう。
普段より30分早い電車に乗った。
オフィス街を歩く人は、みんなスーツ姿だ。
大きなシャンデリアのある場所ではないけど、
現実に引き戻されないかしら?
道中は少し不安があった。

店に入ると、
「星」「宇宙」などなど。
ワクワクする活字が私を迎えてくれた。
あたたかなランプが24時間迎えてくれる落ち着いたカフェ「ランプライトブックスカフェ」(略)「旅」と「ミステリー」を中心に、約3,000冊の書籍を取り揃えているそうです。
「わー、めっちゃいい!」
私の子供人格がはしゃぎだす。
ドリンクで済まそうかな。
食事も頼もうよ!これ!
「お会計1000円です」
え、せんえん!?朝から!?

小腹を満たしたことで本に集中できた
仕方ない。全力で楽しもう。
私の後ろでチェックアウトをする旅行客たち。
今から観光に出かけるんだろうか。
町でもキャリーケースを引いて歩く人を眺めるのが、好きである。
心の中で彼らを見送りながら、読書に耽る。
・よしもとばなな『ゆめみるハワイ』
・瀬尾まいこ『その扉をたたく音』
・内田樹『街場の読書論』
結果、よしもとばななのエッセイに惹き込まれ、
amazonで購入した。
1ページ目で感動させ、
スルスル読ませる文章を書くのはさすがである。
失恋と、色褪せぬ思い出。
語りの順番が効果的で、切なさとトキメキが押し寄せる。
喉の奥から何か出そうなほど、感嘆した。
運命の出会いがあったので
1時間もしないうちに、元が取れた。
ブックカフェを出て
初めて利用する銀行を訪れる。
市の重要建築物に指定されている建物は、
ホテルのラウンジのように美しかった。
間違いない。
予定と違っても、
新しいユートピアがあったのだ。

ギリシャ風ホテルに来てしまった…

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アウトプット大好きな文章書き 毒親育ち Twitter:@ruriruri9402【はてな】創作https://andfour.hatenablog.com/entry/about_site【wordpress】https://original-rkive.com/
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