「年金加入記録」は確認を

暖かい日が増え、春ももうすぐに感じられますね。桜の開花時期も迫ります。
今回は「ねんきん定期便」について解説します。
送られてきてもあまり見ることがない、もしくはどこを見てよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、実はすごく大事なことが書かれているのです。
年金の相談を受ける中で、ねんきん定期便の記載内容を確認することで内容の相違に気づいたこともありました。
くわしく見ていきましょう。
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【写真】ねんきん定期便の確認ではここを見るべし!漏れが発生しやすいポイントとは
1. ねんきん定期便は大きく分けて2種類ある
毎年、誕生月に自宅に届く「ねんきん定期便」には、大きくわけて2種類あります。
1つ目が、35歳、45歳、59歳に送られてくる封書型、もう1つがハガキ型です。
封書型は「節目の年に送られてくるので、しっかりと確認してくださいね」ということで詳細まで書かれています。定期的に確認ができるようになっています。
封書型では今までの国民年金の納付状況、厚生年金の加入状況を確認できます。
国民年金は納付、免除、未納などの記録が記載され、厚生年金は標準報酬月額、標準賞与額、保険料納付額が記載されています。
厚生年金について、小さな数字がたくさん記載されている「これまでの厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況」ですが、標準報酬月額や標準賞与額とは概算の給与やボーナスの支給額を表します。
保険料納付額は、自分で納めた厚生年金の保険料額のことです。
2. ねんきん定期便のハガキタイプは年齢に応じて2種類
はがきタイプのねんきん定期便はメールシーラータイプになっており、50歳以上と50歳未満で送られてくる内容が違います。
ハガキの3倍の大きさになっています。
2.1 50歳以上の方

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
表面の左に住所や宛名が記載されています。
中央には、上段に照会番号、中段に65歳から受け取る金額、70歳、75歳まで繰下げた金額が記載され、下段にこれまでの保険料の納付額が記載されています。
右側には、最近1年間の納付状況が記載されており、ここで最近1年間の納付状況や標準報酬月額、標準賞与額を確認できます。
お勤めしていても、ここに記載がなければ厚生年金には加入していないということです。

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
裏面の上段には、「2. これまでの年金加入期間」が記載されています。国民年金の納付や第3号被保険者の状況、厚生年金などの加入状況を確認できます。
中段には、「3.老齢年金の種類と見込額」が記載されています。
ここに年金額の数字が記載されている方は、老後のそれぞれの年金が受け取れますが、記載がない方は加入期間が足りないなどの理由により、受け取ることができません。
ここで大事なことなのですが、この場所に記載されている数字は、この「ねんきん定期便」が作成された時期の年金の加入状況、給与・賞与が60歳まで続いた場合の金額が記載されています。
したがって、ねんきん定期便が作成された後に、給与が下がった、仕事を辞めた場合にはこの金額が下がります。注意しましょう。
2.2 50歳未満の方

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
表面は50歳以上の方と大きく変わりありません。
下段にこれまでの加入実績に応じた年金額(昨年)、これまでの加入実績に応じた年金額(今年)と65歳から受け取る金額、75歳まで繰下げた金額金額が記載されています。
50歳以上の方にあった、「2.これまでの年金加入期間」は、裏面に記載されています。

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
50歳未満の裏面は、「1. これまでの保険料納付額(累計額)」「2. これまでの年金加入期間」ともに50歳以上の方と同じです。
違うものは、「3. これまでの加入実績に応じた年金額」です。
50歳以上の方は、60歳まで同じ働き方、同じ給与の場合の推計の金額が記載されていましたが、50歳未満の方は今までの実績額となります。
3. ねんきん定期便で必ず確認したいところ

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
まず、封書型、ハガキ型ともに「これまでの年金加入期間」を確認しましょう。
国民年金を納付しているのに少ない、厚生年金に加入していたのに記録が少ない、これだけでも記録の漏れが見つかるかもしれません。

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
次に確認したいものは封書型の方ですが、これまでの「年金加入記録」のページにある国民年金や厚生年金、共済年金の加入記録をチェックしましょう。
ここに、③お勤め先の名称や④資格を取得した年月日、⑤資格を失った年月日、⑥加入月数などが記載されているのですが、ここである程度、お勤め先などを確認することができます。
私が年金相談を受けたときに年金の加入漏れを見つけるのが、この部分です。
特に履歴の漏れを確認したいのは、④資格を取得した年月日、⑤資格を失った年月日に間がある場合です。

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」をもとに筆者作成
株式会社AAAを退社し、株式会社BBBに転職した際は年金記録に空白の期間がないのですが、株式会社BBBを退社し、株式会社CCCに入社する間に空白の期間があります。
この場合、この方は国民年金を払っていたかもしれませんし、別の企業で働いていたかもしれません。
この間に年金記録があると将来の年金記録につながるため、面倒に思うかもしれませんが、確認するだけでも安心できるでしょう。
4. ねんきん定期便の記載内容が間違えている時は
もしねんきん定期便の間違いに気づいたときは、封書型の場合は同封してある返信用封筒に記載し返送するか、年金事務所に提出してください。
年金記録の修正に時間がかかりますので、早めに連絡しておくことで、次回の送付の際は修正できているかもしれません。
自分では記憶の中で確認できると思いますが、配偶者の年金記録や親御さんの年金記録は、本人でないとわからないと思います。
5. ねんきん定期便で大切なこと
ねんきん定期便は誕生月に送られてきますので、年に1回は確認しましょう。送られてこない場合は、住所変更ができていない場合もあります。
最近ではねんきんネットを使って、WEB上で確認もできます。
年金加入記録の漏れがあるかもしれませんし、婚姻前の記録が漏れている方もいらっしゃいます。アルバイトでも派遣社員でも、厚生年金に加入している場合も多いのです。
将来もらえる老後の年金ですが、該当すれば遺族年金や障害年金にも影響します。
漏れを見つける時期は、老後の年金を気にする50代の方で多いのですが、亡くなった後に本人に厚生年金の記録などを確認することができませんので、夫婦や親子で確認するのも良いでしょう。
自分のため、家族のための年金なので、できるだけ早く「ねんきん定期便」は確認しましょう。
参考資料
日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
香月 和政