
【マイアミ・長浜幸治】WBC日本代表の牧原大成内野手(30)が17日(日本時間18日)、ソフトバンクの育成で同期入団した米大リーグ・メッツの千賀滉大投手(30)との“再会”を期待した。大会出場を熱望しながらもかなわなかった千賀の思いも胸に、侍ジャパンの世界一に向けて全力を尽くす決意を新たにした。
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育成出身の主力としてソフトバンクを支えてきた「黄金3人衆」が米国で集結するかもしれない。牧原大は「千賀から『(米国での)日程を一応教えて』と言われた。もしかしたら会えるかもしれない」と、実現を待ちきれないかのような笑顔を見せた。
牧原大にとって育成ドラフトで2011年にともに入団した千賀の存在は大きい。甲斐を含めた同学年の同期生として互いに競い合い、成長してきた。12年4月に千賀が支配下登録されると、後を追うように同年6月には牧原大も支配下入り。走攻守を兼ね備えた万能性を発揮し、出場機会を増やしていった。昨季は9月25日のロッテ戦で千賀と甲斐のヒーローインタビューが終わった後に2人から呼ばれ、本拠地ペイペイドームを一周。「同期愛」の強い絆を披露した。
今回も鈴木の代替選手としてメンバー入りが決まった際には「2人(千賀、甲斐)はずっと代表に選ばれていたので、いつか自分も、というのはあった。千賀もいてくれたら一番良かったですけどね」と口にしていた。準々決勝・イタリア戦に勝利し、米国行きが決まった後には「千賀に追いつけたかなと思います」と満面の笑みを浮かべた。
戦いの場が米国に移ったことで“電撃プラン”の現実味は十分だ。メッツのキャンプ地はフロリダ州のポートセントルーシーで、マイアミから北に約180キロ。千賀は右手人さし指付け根の腱(けん)の炎症で11日のオープン戦登板を回避したが、16日のナショナルズとのオープン戦では3回を3安打1失点、5三振の投球を披露するなど、順調な調整を続けている。
千賀は前回のWBCで大会優秀選手に選ばれ、メジャーへの憧れを抱くきっかけとなった。「このスーパーチームで戦いたかった」と口にしながらも、栗山監督が米挑戦1年目であることや故障のリスクなどを総合的に判断し、招集を断念した形となった。甲斐を含めた「育成トリオ」で世界一を目指すことはできなかったが、その思いを牧原大が引き継いでいる。
今大会では守備固め、代走として全5試合に出場し、11日のチェコ戦では初安打となる適時打を放つなど、限られた出場機会ながら結果を残し続けている。「とにかく代表のため、日本のために役に立ちたい」。世界の舞台に立った「ユーティリティー侍」は、頂点を目指す侍の一員として力を出し切る覚悟だ。



西日本スポーツ