「おすすめされた生命保険が高い!」問題。共働き夫婦にとっての正解は?【共働き夫婦のお金の増やし方】vol.3
共働き夫婦の“お金あるある悩み”を解決する連載がスタートしました!「共働きなのにお金が貯まらない」「家を買うならペアローン?」「想像以上に教育費用がかかって将来不安」「夫婦でお金の話ができない」「忙しくて家計管理ができない」……親にも聞きづらい〈お金知識の基本のキ〉から、共働き夫婦の悩みをたっぷり聞いてきたベテランFP山中伸枝さんに教えていただきます。第三回は、「おすすめされた生命保険が高い!でも払うべきなんすですよね?」問題。どう考えればいいのか、山中先生が教えてくれました。
前回の記事はこちら
「家賃がもったいないから家を買いたい」……〈賃貸or持ち家〉問題。令和の答えは?
【今回のお悩み】
「保険ショップで勧められた生命保険が高くてびっくり。でも、やっぱり必要だから仕方ないのでしょうか? 何が正解なのかわかりません!」
「大丈夫! みんなに共通の正解はないけれど、窓口で聞くべき最強の質問を伝授します」(山中先生)
――そもそもなんですが、生命保険って入らないといけないものですか?じつはそんなことはありません。保険は、必要なときに、必要な保障を得るためのもの。口コミで人気だったり誰かに勧められたものが、必ずしも自分のニーズに合っているとは限りませんし、そもそも加入する必要がない人もいるでしょう。相談者さんの「何が正解かわからない」というのもその通りで、誰にとっても正解といえる商品なんてないのです。高ければよくて安ければイマイチ、というのでもありません。自分のケースではどのくらいの保障が必要なのか(それを知る秘策は後ほど)がわかれば、おのずと決められます。保険には2種類あることを知っていますか?まず1つは国の保険。お給料から社会保険料が天引きされていると思いますが、その時点で保険料を払っていることになります。みなさん、意識していないだけで、もうすでに国の保険に入っているわけです。もう1つが、相談者さんが加入しようとしている民間の保険。国の保険だけでは足りない場合に、こうした民間の保険で補うことになります。これ、意外と盲点ですよね。民間の保険に入ろうとして保険料が月々1万5000円だったら、うわぁ高いなと思うでしょうけど、そもそもお給料からは毎月約15%の社会保険料が引かれているのです。月給30万円の人だったら約4万5000円! かなり高額な保険料を払っていると考えると、何かあったときに公的な保険でどのくらいカバーされるのか、知りたくなってきませんか? そのおおよその金額を知ったうえで、民間の保険をどうするかを検討するといいでしょう。
「まず、国の保険について教えてください」はその人が信用できるかどうかのリトマス試験紙
――たしかに、国が助けてくれる〈公的な保険〉でどのくらいもらえるのかを知っておきたいですね。ということは、何も調べずに保険ショップに行くのはやめたほうがいいですか?保険ショップや保険会社の人に相談するのはもちろんOKです。自分で勉強するのも大事ですけど、みんながお金のプロになる必要なんてないのですから。病気になったら自分で治そうとせず病院でみてもらうのと同じことです。ただし、窓口ではこんなふうに聞きましょう。「万が一、夫が亡くなったときのために死亡保障のある保険に入りたいのですが、まず、国の保険について教えていただけますか?」。この質問に対して、「国の保険はこういう仕組みで、死亡した場合にはこんな保障があります」とていねいに説明してくれたり、「具体的な金額をお調べしますので、ねんきん定期便を持ってきていただけますか」と対応してくれたら合格。その人に相談しながら保険を選んで問題ないはずです。「うちで扱ってるのは民間の保険だけなので、わかりません」とか「いえいえ、公的な保険だけじゃどうにもなりませんよ」などと言う人は明らかに勉強不足ですし、不親切です。頼りにならないので、別のところに行きましょう。また、一般的な説明の書かれたパンフレットだけ持ってくる可能性もあります。そうしたら、「うちの場合はいくらもらえるのか、具体的に知りたいんです」と食い下がってみましょう。公的保障の金額は人それぞれ違っていて、しかも民間保険の証書のように「死亡保障○○○円」と書かれたものはどこにもありません。でも、ちゃんと勉強している人なら、ねんきん定期便を見て、その人がだいたいいくらもらえるかを算出できるはずです。「国の保障は〇〇〇円くらいです。また会社に死亡退職金とか弔慰金などの制度があることもありますから、そちらはお客様ご自身で調べて見てください」と教えてくれたら完ぺき。具体的な金額がわかったら、足りない分を民間の保険でカバーできるように設計すればいいので、もう「この保険料は高いのか安いのか」といった答えの出ない問題で悩まずに済みます。「まず、国の保険について教えてください」この質問は、相談するに値する相手かどうかを見極めるためのリトマス試験紙です。ぜひ活用してくださいね。
アドバイスしてくれたのは……
山中伸枝さん

やまなかのぶえ/心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナー(CFP®)、株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役。米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆と幅広く活動中。著書に『書けばわかる!節約・預金だけではもったいない わたしにピッタリなお金の増やし方』など。
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構成/黒澤彩
withonline