世界初。エーザイが共同開発のアルツハイマー治療薬で見えた光明

世界初。エーザイが共同開発のアルツハイマー治療薬で見えた光明

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  • 更新日:2021/06/09
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製薬大手のエーザイが米国企業と共同開発したアルツハイマー病の治療薬が7日、アメリカで承認されました。同薬は、アルツハイマーの根本治療における「切り札」となり得るのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、「非常に明るいニュース」としながらも、この薬に対する評価が割れているであろうことが毎日新聞の記事から読み取れると指摘。さらに今後のアルツハイマーの治療法研究において重要と思われる記事を、東京新聞のデータベースの中からセレクトし、その内容を簡潔に解説しています。

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日本のエーザイが共同開発「アルツハイマー治療薬」米国承認の衝撃

きょうは《毎日》から。

1面にアルツハイマー薬の承認についての記事。「アデュカヌマブ」という舌を噛みそうな名前ですが、米製薬会社と日本のエーザイが共同で開発したものだそうです。

アルツハイマーの薬について、どんな記事が出てきたのか、《東京》のデータベースで「アルツハイマー」と「薬」を掛けて検索すると、38件ほどヒットしました。アルツハイマーの治療法研究上重要と思われる記事を選んで、ポイントをご紹介したいと思います。

【フォーカス・イン】

まずは1面記事の見出しと【セブンNEWS】第5項目の再掲から。

アルツハイマー薬 米承認「アデュカヌマブ」根本治療に光

米食品医薬品局は米バイオジェンと日本のエーザイが共同開発するアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を承認。同病の進行抑制を図る薬の承認は世界初。初期段階の患者に対し、原因物質とされるアミロイドベータを取り除き、認知症の進行抑制を狙う。

以下、記事概要の補足。米バイオジェンと日本のエーザイ両社は、「高齢化で患者が増えている日本での使用に向け薬事申請しており、審査の行方が注目される」という。アルツハイマー病は、発症の約20年前から「アミロイドベータ」と呼ばれるタンパク質の「ごみ」が脳内にたまって神経細胞が死滅し、思考や記憶の機能が損なわれるもので、世界に数千万人の患者がいるという。

これまでの薬はエーザイの「アリセプト」のように進行を遅らせるものが中心で、根本治療には手が届いていなかった。

●uttiiの眼

非常に明るいニュースだと思うが、この薬の開発については、評価が割れているのかもしれない。FDAの「承認」にも留保条件が付けられているし、専門家の捉え方も様々で、「発症抑制の働き」に重きを置いたものから、根本治療につながる期待を読み取るものまで微妙な温度差があるようだ。

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【サーチ&リサーチ】

* 関連する研究で重要と思われるのは、ノーベル賞を受賞した東工大の大隅良典栄誉教授がテーマとしてきた「オートファジー」の研究。

2016年10月4日付
「『オートファジー』は、細胞が自分自身を分解し、再利用するリサイクルシステムだ。細胞にたまる不要な物質を取り除く『掃除機』のような働きをして、細胞のメンテナンスに深くかかわる。このシステムを制御できれば、病気の治療だけではなく、老化を遅らせることもできるかもしれない」という。「オートファジーは、いつも一定のペースで起きていて、たまった『ごみ』を分解していることが分かった。アルツハイマー病やパーキンソン病など細胞に異常なタンパク質がたまる神経系の病気との関連を明らかにした」と。

2017年4月5日付
国立循環器病研究センターや京都大学のチームが、「植物から抽出される『タキシフォリン』にアミロイドベータの凝集を抑制する作用があることに注目」し、「アルツハイマー病のマウスにタキシフォリンを投与したところ、脳内のアミロイドベータの蓄積量は、投与しないマウスに比べて4分の1程度に減少し、脳血流量の測定や、記憶力を測るテストでは、正常なマウスと同等の結果となった」と。

* その他、シソに含まれるロスマリン酸の有用性などについての記事も。

* 明るい話ばかりではない。認知症の進行を遅らせる効果がある「抗認知症薬」の服用で、患者の暴力や暴言がひどくなるケースが多いという。

2018年2月1日付
「わずかな量の血液で、認知症の一種であるアルツハイマー病の原因物質が、脳に蓄積しているかどうかを調べられる検査法」が開発された。

* 「腸と脳の関係では、腸内環境を守る善玉菌のビフィズス菌が、アルツハイマー型認知症の発症を抑える可能性があるとの試験結果を森永乳業が発表している」。

* 「認知症の約6割を占めるアルツハイマー型認知症は、脳梗塞と合併する事例も多いです。『メマンチン』というアルツハイマー型の治療薬は、精神的な安定を図り、怒りっぽい性格を軽減することがあります」と。

2020年8月28日付
「慶応大と愛知医大のチームは、神経細胞をつないで情報をやりとりする『シナプス』が切れても人工的に組み合わせたタンパク質を用いてつなぎ直すことに、マウスの実験で成功したと27日付の科学誌サイエンス電子版で発表した。脊髄損傷によるまひなどを回復させた。人間のアルツハイマー病など精神・神経疾患の多くはシナプスの異常が関係しているとみられ、これらの治療法開発につながる可能性がある」と。

●uttiiの眼

アルツハイマーに限らず、広く認知症一般については、薬を用いない療法(非薬物療法)である「学習療法」の効果が、軽度から重症まで、脳血管型からアルツハイマーまで、広く認められている。対処の仕方の中に、薬物による根本治療的なものが加わるとすれば、この病気の克服に大きな一歩が記されることになるだろう。

現在保険適用されているアルツハイマー治療薬は4種あるそうだが、より根本治療に近い薬剤の候補は色々あるようだ。

タキシフォリンは針葉樹などから抽出され、果物、野菜、ワイン、茶などにも含まれているもの。ロスマリン酸はシソに含まれている。植物は実に様々な化合物を作り出していて、人体にどのような影響があるのか、本当に調査・研究のし甲斐がある世界のようだ。

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image by:Postmodern Studio/ Shutterstock.com

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