チケット数枚分のお得感!名作オペラ「椿姫」「ラ・ボエーム」の魅力に迫る【パレルモ・マッシモ劇場来日公演】

チケット数枚分のお得感!名作オペラ「椿姫」「ラ・ボエーム」の魅力に迫る【パレルモ・マッシモ劇場来日公演】

  • mi-mollet(ミモレ)
  • 更新日:2023/05/26

海外アーティストの来日が再び活発になってきた今、楽しんでいただきたいのはずばり、「オペラ」。なぜ大人におすすめのエンタメなのか。〔ミモレ編集室〕のゆけったさんが、決して敷居が高くない、歌だけではないお得感満載の魅力をお伝えします。

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〔ミモレ編集室〕私がナビゲート! ゆけったさん

ゆけったさん

「オペラは人生を豊かにする」と信じて、〔ミモレ編集室〕で愛好家目線でオペラについて語ってきました。メンバーの皆さんが共感してくれ、映画版のオペラや実際の公演にもご一緒したりしました。この輪を広げ、オペラにしかない興奮をもっとたくさんの人に知ってほしい。

ようやく舞台などのエンタメの機会が、以前のレベルに戻ってきました。

来月6月には、コロナ渦以降初の海外歌劇場の来日となる、「パレルモ・マッシモ劇場」の公演があります。本場イタリアのオペラが日本で再び観られます。

オペラというと敷居が高そうに思われがちです。でも、「一度観てみて!」と、声を大にしてお伝えしたい。

言葉や文化が異なっても、歌や音楽から伝わってくる感情は、古今東西変わらないもの。筆者は愛好家として、〔ミモレ編集室〕でオペラの魅力を紹介しようと活動してきました。その経験から、人生の酸いも甘いもかみ分けた大人であるミモレ読者は、まさにオペラを楽しみ始める適齢期だと感じました。

確かにチケット代は、他の舞台公演より高くなりがちです。でも、オペラには楽しめるポイントが盛りだくさんなことが魅力です。

歌手だけではないオペラの魅力

第一の魅力はやはりオペラ歌手です。女声のソプラノ、男声のテノールなどのパートの名称はよく知られていますが、実際には同じソプラノでも、「軽やか」だったり、「迫力」があったり様々な声質があって、同じ歌手でも年齢で声の響きが変化して成熟してきます。歌手は各々がその時点で声にぴったり合う役を歌っていて、それぞれの公演は唯一無二のものです。
オペラ歌手は生涯をかけて歌唱の技術や表現力を高めるべく学んでいて、マイクを使用せずに生でホールに響き渡る、その至芸の歌声は人に感動を与えます。

他にもオーケストラ演奏や指揮者に注目することもできるし、演出の面からは演技や豪華な舞台装置・衣装、合唱や、ときにはバレエまであって、一公演で何度もおいしい。お得感満載なのがオペラです。多くの人が関わって、時間をかけて作り上げた贅沢な公演なので、チケット何枚分もの価値があります。そう考えると、チケット代の理由も納得できます。

華やいだ舞台を見に行くためのファッションも楽しみのひとつ。でも、ご安心ください。特に日本の場合、実際の劇場にはカジュアルな服装の観客もいます。着物やドレスなどで思いっきり着飾ってもふさわしい雰囲気です。少しおしゃれして出かけると気分も上がりそうです。

「ラ・ボエーム」 パリが舞台の若い芸術家たちの友情と悲しい恋の物語

パレルモ・マッシモ劇場の来日公演の演目の一つは、プッチーニ作曲の「ラ・ボエーム」です。

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「ラ・ボエーム」あらすじアーティスト仲間とパリの屋根裏アパートで暮らす詩人のロドルフォは、ロウソクの火を借りにきたお針子のミミと一目で恋に落ちます。二人は一緒に暮らし始めますが、貧しい生活のためにミミの病気が悪化。2人は愛し合いながらも別れを決意します。病状が深刻になったミミはパトロンのもとを離れ、愛するロドルフォのところに戻るのですが……

青春真っただ中のアーティストたちの和気あいあいとしたやり取りに笑い、貧しさゆえの若い恋人たちの末路に涙する。ただでさえ昼ドラのように泣かせるオペラですが、さらに今回の公演は「歌手が最高!」です。

ロドルフォ役は、感情がほとばしる激熱イタリアン・テノール、グリゴーロが歌います。オペラと言えばイタリア発祥、そのイタリアで称賛される歌唱力と、ホール全体、観客全員の心を震わせる声を引っ提げて、パヴァロッティからも直接指導を受けた得意のロドルフォ役を日本で初披露します。

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オペラの華であるテノール。その中でも観客を興奮の渦に巻き込むのは、ヴィットリオ・グリゴーロ。

そして、相手役のミミは世界的スター・ソプラノのゲオルギューです。日本の俳優さんで言うと、真矢ミキさんとか天海祐希さんなどにイメージが似ているでしょうか。元祖ビジュアル系オペラ歌手ともいうべき存在ですが、ベテランとして現在も高い人気を誇っています。グリゴーロはゲオルギューをカリスマ性のある歌手と尊敬しており、共演も数多く、カップル役としての相性もバッチリです。

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オペラ界のレジェンド、アンジェラ・ゲオルギューが知り尽くしたミミ役で来日を果たします。(c) Simon Fowler

友人の一人であるムゼッタ役には、これぞ本場のイタリアン・ソプラノの歌を聴かせてくれるヌッチオが配されています。「ラ・ボエーム」は貧しい若者の話で、登場人物の衣装が地味なものが多いのですが、パトロンを手玉にとるムゼッタは別。上白石萌音さんを彷彿とさせるような可憐な舞台姿にも期待です。

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ソプラノのお手本のように美しい歌を聴かせてくれる、ジェシカ・ヌッチオ。華やかな衣装にも注目。

「椿姫」はオペラの中のオペラ 娼婦の人生最後の純愛に立ちはだかる「世間」の壁

パレルモ・マッシモ劇場来日公演のもう一つの演目は、世界でも圧倒的な人気を誇る「椿姫」です。

このオペラは、社会の裏側で生きる高級娼婦ヴィオレッタを描いています。体はすでに病魔にむしばまれています。青年アルフレードから思いを寄せられて人生最初で最後の純愛を得たと思ったのも束の間、「世間」が娼婦である彼女の幸せを許しません。
恋愛のオペラだと思われがちですが、娼婦と同棲している息子の世間での評判と家族への影響を気にして2人を別れさせる、アルフレードの父とヴィオレッタの対決がこのオペラの軸といえます。現代にもある女性の生きづらさ、困難な環境から浮上することが難しい格差の問題にも通じる内容で、女性にこそ観てほしい(もちろんそれ以外の方々も)。

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アルバニア出身のソプラノ、ヤオが、大河ドラマ的なこのオペラのヒロインを演じます。ヤオは世界の有名歌劇場でヴィオレッタを歌っており、漫画『ガラスの仮面』の主人公北島マヤのように、役柄に完全に憑依します。迫真の歌と演技に、観客はヴィオレッタの気持ちになりきってしまうことでしょう。

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「千の仮面」を持つ(?)歌う女優エルモネラ・ヤオ

アルフレード役は、こちらもイタリアを代表するテノール、フランチェスコ・メーリが務めます。イタリア・オペラの殿堂ミラノ・スカラ座を始め、世界の有名歌劇場の常連歌手です。先ほどのグリゴーロとはまた全くタイプが違うテノールで、作曲家が意図したような端正な演奏を聴かせてくれます。オペラ公演とは別に、ソロのコンサートも予定されており、本場イタリアのオペラ歌手の美しい歌いまわし、声やテクニックをたっぷりと味わいたい方には、こちらもおすすめです。

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本物のイタリア・オペラの響きを真摯な歌で観客に届ける、フランチェスコ・メーリ

「ラ・ボエーム」も「椿姫」も、原語のイタリア語上演ですが、日本でのオペラ公演にはステージ両脇に字幕が表示されるのでご安心ください。でもせっかくならできるだけ舞台の方に目を向けたいので、お話の展開を事前にネットなどでチェックしておくのが、オペラをより楽しむコツです。オペラは「ネタバレ上等」です。

オペラは初心者こそ本場のものを観てほしい、というのが愛好家としての願いです。
質の高い公演こそ、オペラのさまざまなパーツがカチッとはまったときの大興奮を伝えてくれます。世界で大活躍の歌手たちが集結したパレルモ・マッシモ劇場来日公演は、本当のオペラの魅力を伝えてくれるまたとない機会です。あなたもオペラ体験してみませんか。

公演情報

パレルモ・マッシモ劇場来日公演 東京文化会館大ホールプッチーニ作曲「ラ・ボエーム」
会場:東京文化会館大ホール
公演日:2023年6月15日(木)18 :30開演 6月17日(土)15 :00開演
入場料:S席39000円 A席32000円 B席26000円 C席20000円 D席14000円(すべて税込み)

会場:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
公演日:6月22日(木)18 :30開演
入場料:SS席32000円 S席27000円 A席22000円 B席18000円 C席15000円 D席11000円(すべて税込み)
※びわ湖ホールの出演者は6月15日、17日と異なりますのでご注意ください。
【ミミ】フランチェスカ・マンゾ、【ロドルフォ】イヴァン・マグリ、【ムゼッタ】ジェシカ・ヌッチオ、【マルチェッロ】フランチェスコ・ヴルタッジョ

ヴェルディ作曲「椿姫」
会場:東京文化会館大ホール
公演日:2023年6月16日(金)18 :30開演 6月18日(日)15 :00開演
入場料:S席34000円 A席28000円 B席22000円 C席17000円 D席12000円(すべて税込み)

フランチェスコ・メーリ プレミアムコンサート
会場:東京オペラシティコンサートホール
公演日:2023年6月28日(水)19 :00開演
入場料:S席 16000円 A席12000円 B席 8000円
出演
テノール:フランチェスコ・メーリ
指揮:フランチェスコ・イヴァン・チャンパ
オーケストラ:東京フィルハーモニー管弦楽団

チケットのお問い合わせ先
コンサート・ドアーズ tel. 03‐3544‐4577(平日10時~18時)
www.concertdoors.com

作画/Sumi

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〔ミモレ編集室〕

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