「上の子を可愛いと思えない」きょうだい育児に悩む親に伝えたいこと

「上の子を可愛いと思えない」きょうだい育児に悩む親に伝えたいこと

  • nobico
  • 更新日:2023/09/19
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子育てには不安や心配がつきものです。でもそんなときこそ、子どもだけでなく自分のがんばりも「そのまま認める」視点が持てたらいいですね。子育てによくある不安がラクになる言葉を、天野ひかりさんがご紹介します。

※本稿は天野ひかり[著]とげとげ。[イラスト]『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋・編集したものです

天野ひかり
NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、フリーアナウンサー。上智大学文学部卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げたNPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、一般社団法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)など。

とげとげ。
元ナースの漫画家でイラストレーター。著書に「夫ですが会社辞めました」(KADOKAWA)。日常を4コマ漫画にするのが得意。
インスタ:togetoge.i

上の子がかわいく思えない! これって親として失格ですか?

・「上の子かわいくない症候群」という言葉もある

下の子のお世話が大変な中、上の子が反抗したり、下の子に対して意地悪したりして、嫌気が差す瞬間、ありませんか?

実はこれ、珍しいことではないのです。「上の子かわいくない症候群」という言葉もあるくらい、多くのお母さんお父さんが悩みます。NGマンガを見てみましょう。

赤ちゃん返りする上の子にイライラしてしまう気持ち、よくわかります。上の子なんだから大丈夫! という期待もあって、つい我慢させてしまいますね。

一般的に、きょうだい育てでは「上の子を優先させるべき」といわれています。でもそれがかえって、うまく優先できないお母さんお父さんを責めてしまいます。

「上の子を優先しなくちゃいけないのに、下の子に手がかかる」
「上の子を優先したら、下の子がかわいそうで、結局イライラしてしまう」

真面目なお母さんお父さんほど、落ち込んでしまう傾向があるように思います。また、この問題が悩ましいのは「上の子をかわいく思えないこと」をなかなか相談できないこと。

でもね。実は、ほとんどのお母さんお父さんが、同じことで悩んでいます。赤ちゃんはちっちゃくてかわいくて、守ってあげたくなるように生まれてきます。

だから、下の子を大切にするのは人間の本能。それを邪魔する存在に思える上の子がかわいくなくなるのは、仕方のないこと。そう思えれば、自分を責める必要はなさそうです。

上の子を優先する育児って何?

ここで大事なのは、「上の子を優先する」をどう捉えるのか? ということ。

例えば、今回のマンガと同じことが起きたら、多くのお母さんお父さんが、弟を歩かせて、姉を抱っこしてあげること、と答えるのではないでしょうか。そしてこれが「上の子を優先する」の正解だと考えているようです。でもこれは間違い。

OKマンガを見てみましょう。

下の子には物理的に手がかかりますが、上の子には言葉が通じますよね。ですから上の子の気持ちを大切にしていることを、言葉と表情で伝える。これが「上の子を優先する」ことの本当の意味です。

けっして下の子をほったらかしにすることではないのです。下の子が泣いたら、もちろん抱っこしてあやします。

その際、上の子をほったらかすのではなく、「お姉ちゃんも、赤ちゃんのときにこんなふうに泣いては抱っこしたなあ。今はこんなに大きくなって、一緒に弟が泣き止むお手伝いしてくれるなんて助かる」というように、上の子の気持ちに寄り添った言葉をかけてください。上の子は「自分も大切にされているんだ」と実感できます。

そして「少しの間、我慢すること」「弟(妹)に譲ること」「お姉(兄)ちゃんとしての行動や振る舞い」「1人で遊ぶこと」「親に頼りにされる喜び」などを学んでさらに成長していけます。

するとイライラの元に思えた上のお子さんが、どんどん頼りになる存在になっていきます。そしてかわいく思えなかった時期も、あっという間に卒業です。

上の子がかわいくない!と思ったらやる5ステップ

①まずは、先輩ママも通った道なのねと受け止める
②上の子の成長を言葉にして伝える(上の子の小さかったときの写真や映像を見て、成長を実感するとより効果的)
③家事の負担やストレスを減らすことで、上の子に余裕をもって接する
④上の子を抱きしめる時間を作る(お風呂や寝る前などでもOK)
⑤お母さんお父さんが一人になれる時間を作って、子育てから離れることも大事(夫婦で交代したり、一時保育などを利用する)

ぜひ試してみてくださいね。

子育てで不安になったときに、気持ちがラクになる考え方のコツは?

・みんな一生懸命に子育てしている

「NGマンガと同じことばかりやっていて、反省することばかりです。もっと早く知りたかったと思い、手遅れ感が否めません。このままでは、わが子は自己肯定感の低い子になってしまうのでしょうか? 私が、これからもっとがんばればいいのでしょうか? 不安です」

こんなお悩みをたくさんいただきます。少しでも子どもとよいコミュニケーションをとりたいと思ってくださっていること、とてもうれしいです。その思いは、お子さんにしっかり伝わっているので問題ないと思いますし、子育てに遅すぎることはないので、今日からでも十分間に合います。

いくつになってもやっぱり「認めてもらえたらがんばれる」と思うことがあります。何歳になっても、誰に対しても、コミュニケーションの基礎は同じだと思いますよ。

一方で、親として、一生懸命すぎると辛くなることがありますね。どう切り替えたらいいのでしょうか。よくあるシーンをマンガで見てみましょう。

忙しい毎日の中で、丁寧に子どもを「認めていく」って大変です。親として、真面目なお母さんお父さんほど、うまくいかないと自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。私は、子どもの前で、怒ることも、泣くことも、大笑いすることも、愚痴を言うこともなんの問題もないと思っています。

ただ、「自分1人で育てているわけではない」と気づけると、楽になるのではないでしょうか。OKマンガを見てみましょう。

親のいないところでも、子どもはちゃんと成長している

お母さんは怒ったことを心配していましたが、親の知らないところで子どもたちはちゃんと認められていましたね。こうして自己肯定感は育っています。

お母さんお父さんも、仕事に、家事に、子育てに、あまりに忙しい日々が続くと、イライラすることもあります。子どもをうまく認められないと、自分を責めてしまうこともあります。

でもね、子どもって、いろいろな人と関わり合って、育っていきます。親が怒ってしまって認められない日があったとしても、先生やお友だちやお友だちのお母さんお父さんに、認めてもらったり、ほめられたりして、自己肯定感を育てているので大丈夫です。

これが、みんなで子どもを育てていく意味だと思っています。夏休みに、おじいちゃんおばあちゃん、親戚のおじさんおばさん、従兄弟と会って、子どもが一回りも二回りも成長するのは、こうしたいろいろな価値観に触れることで、認められる機会や視点が増えるからだと思います。

1人で抱え込んで不安にならなくても、子どもは親が思っているよりずっと賢い! だから大丈夫! と思えると楽になりそうです。

言葉かけを変えるだけで、子育てに自信が持てる

本稿でNGマンガとしているのは、「この言葉かけをしたらダメですよ」と伝えたいのではなく、OKとNGを対比してみることで、「認めることの真意」が明確に伝わればいいなと思って書いています。

実際、「子育てがうまくいかずに、自分が悪いのかと自己嫌悪に陥っていたのですが、言葉かけを変えたら、とてもうまくいって、私が悪いのではなく、言葉かけを間違えていただけだと気づいて、子育てに自信が持てました」という声もたくさんいただきます。みんなで一緒に、子どもを育てていきましょう。

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