甲子園スター揃い踏みの“豪華メンバー”も...2軍で圧倒的戦力誇った最強チームは?

甲子園スター揃い踏みの“豪華メンバー”も...2軍で圧倒的戦力誇った最強チームは?

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  • 更新日:2021/07/22
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阪神が2軍で強さを発揮していた時代の主軸・桜井広大 (c)朝日新聞社

プロ野球の最強チームといえば、昨季4年連続日本一になったソフトバンクやV9時代の巨人、1986年以降の7年間で日本一6度の西武などが挙げられる。

それでは、2軍史上最強チームはどこか?この質問に答えるのは、容易ではない。なぜなら、2軍で好成績を挙げた選手は、当然1軍に呼ばれるから、投手のローテーションやオーダーも不動ではなく、結局、1軍で結果を残せなくても、2軍で安定した成績を挙げる“1軍未満”の選手が中心になるパターンが多いからだ。

そんななかで、最強の名にふさわしいチームを挙げると、80年代後半から90年代前半にかけての巨人が該当する。

ファーム日本選手権が始まった87年以降、9年連続イースタンで優勝し(86年も含めると10連覇)、うちファーム日本一になること7度。打の中心になったのは、外国人枠(当時は2人)の都合で2軍暮らしが多かった“アジアの大砲”呂明賜だ。

来日1年目の88年は、5月27日までの2カ月足らずで打率.397、10本塁打と打ちまくり、1軍切符をゲット。2軍が“主戦場”となった翌89年も.333、15本塁打、90年にも.323、10本塁打を記録し、“常勝ヤングジャイアンツ”を支えた。

そして、日本最終年の91年は、シーズンでは.253、9本塁打と成績を落としたものの、ウエスタンの覇者・広島とのファーム日本選手権で、4番の仕事をきっちり果たす。

5対5で7回途中降雨引き分けとなった第1戦で3打数2安打を記録した呂は、3日後の9月21日に行われた再試合でも、初回に秋村謙宏から左越え先制2ラン。2点をリードされた6回にも、3番・後藤孝志のタイムリーで1点差に追い上げた直後、貴重な左越え逆転二塁打を放ち、一人で計4打点を挙げた。

試合は7対7の9回2死からルーキー・元木大介の四球などで一、二塁とチャンスを広げたあと、6回からロングリリーフの橋本清が左翼線にサヨナラタイムリー。二塁上から橋本に球種をサインで伝達するなど、当時から“クセ者”だった元木が日本一決定のホームを踏んだ。

この結果、呂はMVPに選ばれ、有終の美を飾って巨人を退団。ちなみに、惜しくも日本一を逃した広島の4番も、不振で1軍登録を抹消されたバークレオだった。

巨人は16年にもソフトバンクを6対2で下し、21年ぶりの日本一を達成。MVPは、9回のバックスクリーン弾など計3打点を挙げた20歳の4番・岡本和真である。

山本泰寛(現阪神)から始まる打線は、18本塁打、74打点の岡本を挟んで、3番に大田泰示(現日本ハム)、5番にアンダーソンと破壊力十分。投手陣もチーム最多の9勝を挙げた江柄子優樹や各6勝の平良拳太郎(現DeNA)、中川晧太と駒が揃っており、2010年代ではイースタン最強と呼べるだろう。

“東の巨人”に対し、“西の阪神”も、98年から06年までの9年間でウエスタンV7回、ファーム日本一4度の好成績を残した。

岡田彰布2軍監督時代の02年のファーム日本選手権では、帆足和幸、鈴木健、中島裕之、細川亨ら錚々たるメンバーの西武を16対3と粉砕している。

打率.370の4番・関本健太郎をはじめ、10本塁打の梶原康司、9本塁打の桜井広大、8本塁打の喜田剛らの強力打線は、「もともとバッティングを見てきたから」という岡田監督の育成の賜物。そんな強打者たちを差し置いてMVPに輝いたのは、3安打4打点をマークしたドラフト6位のルーキー・藤原通だ。藤原は06年のファーム日本選手権、ロッテ戦でも喜田、桜井とともに3者連続本塁打を記録するなど、“2軍版シリーズ男”だった。

一方、投手陣は、この日の先発・藤田太陽、2番手で勝利投手になった安藤優也のドラ1&自由枠コンビに加え、シーズン9勝のカーライル、6勝の横田久則、さらには、“火の玉ストレート”でブレイクする前の藤川球児も5勝と、ベテランや助っ人も交えて多彩な顔ぶれだった。

この阪神のウエスタン1強にストップをかけたのが、中日だ。04年に土谷鉄平の活躍で4年ぶりの日本一を達成。07年にも、坂本勇人、亀井義行(善行)が3、4番を打つ巨人に7対2と快勝し、11年まで計4度日本一になった。

07年は、5勝を挙げ、チームで唯一規定投球回数に達した吉見一起をエースに、同年の日本シリーズで8回までパーフェクトの快投を演じた山井大介も6勝、当時42歳だった山本昌も3試合で2勝を挙げるなど、1軍の実力者も強力援護していた。

打線も森岡良介、堂上剛裕、平田良介、新井良太、上田佳範の甲子園組がズラリと並び、前出の巨人戦では、堂上剛のソロで1点差に追い上げたあと、森岡の2ランで逆転、平田がダメ押し2ランと効果的な3発でねじ伏せた。MVPは5回からリリーフし、5回を4奪三振無失点に抑えた吉見。投打がガッチリかみ合っての勝利に、辻発彦2軍監督(現西武監督)も「勝つためにどうすればいいか、意識づけしてきたことを、選手が試合で出してくれた」と最大の賛辞を贈っている。

09年の日本ハムも、30本塁打の中田翔、20本塁打の鵜久森淳志、14本塁打の陽仲壽(岱綱)の超重量級打線に加え、エースも吉川光夫とタレント揃いだったが、シーズン成績は49勝55敗のイースタン5位と振るわず。15年の広島も、グスマン、エルドレッド、シアーホルツの年俸総額3億円超のクリーンアップが話題になったが、東浜巨や上林誠知ら投打のバランスの取れたソフトバンクに5.5ゲーム差の2位に終わった。

のちの大物選手や強力助っ人がいたからといって、必ずしも勝てるわけでもないのが、2軍の面白さでもある。(文・久保田龍雄)

●プロフィール

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

久保田龍雄

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