大分トリニータを苦しめる「ケタ違い」の収益の少なさ!浮上の鍵は「収益・選手育成・チームスタイル確立」の「三位一体」向上【J2降格大分、陥落への道】(2)

大分トリニータを苦しめる「ケタ違い」の収益の少なさ!浮上の鍵は「収益・選手育成・チームスタイル確立」の「三位一体」向上【J2降格大分、陥落への道】(2)

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  • 更新日:2021/11/27
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今季の浦和戦で、大分はかつて所属した西川と田中と対戦した 撮影:中地拓也

2021年のJ1リーグは、早々に川崎フロンターレの連覇が決まった。一方で、J2降格チームも2試合を残して決定した。大分トリニータベガルタ仙台横浜FCは、来季をJ1で戦うことはできない。
クラブの行く末を大きく左右するJ2降格は、どうして避けられなかったのか。さまざまな角度から検証する。
今回の対象は、3年ぶり4度目のJ2降格の悔しさを味わった大分トリニータ。

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■人件費を直撃する営業収益の少なさ

3度のJ1昇格とともに繰り返された4度のJ2降格のサイクルには、大きな要素が絡んでいる。主力選手の流出である。今季は昨季のチーム得点王の田中達也岩田智輝鈴木義宜らの移籍が、大きく響いた。

そうした事態がなぜ起こるのか。理由は、Jリーグ発表のクラブ経営状況を見れば明らかだ。

大分の昨年度の営業収益は17億5600万円で、全18チーム中で最下位のサガン鳥栖(16億4900万円)に次ぐ低い数字だった。最下位を免れたのは、鳥栖が前年度比マイナス9億1200万円という大きな落ち込みを計上したことが影響している。10億円以上の前年比マイナスに陥ったクラブも少なくない中、1億1000万円のマイナスにとどめたことは立派に見えるが、これはそもそも2019年の収益が小さかったためだ。2019年度にJ1に所属しながら20億円に届かなかったのは、大分だけである。

ほとんどのクラブで営業収益の大部分を占めるスポンサー収入にも、脆弱さが露呈されている。昨年度のスポンサー収入は8億6200万円で、営業収益と同様に17位。J1全18クラブ平均の19億5600万円には遠く及ばなかった。昨年度のJ1クラブで、3年連続で10億円に達することができなかったのは、大分だけだった。

■クラブで目指す「個よりもグループ」

営業収入が少なければ、世界中のプロサッカークラブで共通して最重要かつ最大の支出となる人件費を下げざるを得ない。その影響が、選手流出として表出するのだ。

J1復帰初年度だった2019年の人件費は、当時のJ1所属18クラブ中で最低の8億6000万円。その年度のJ1平均が25億2400万円だから、まさにケタが違う。昨年度は11億5400万円に増額したものの、やはりJ1平均の半分に届かなかった。

経営状態向上の努力は続けられているのだろうが、一気に状況が改善されるとは考えにくい。そうした環境を認識した上で、西山哲平ゼネラルマネジャー(GM)はあらためて「クラブの予算規模を考えた時に、(戦う舞台が)J1でもJ2でも、グループで相手を上回るということになると思う」と、突出した個の力に頼るのではなく、戦術などチーム力で戦っていく方針を語っている。

■「三位一体」の向上のサイクル

また、西山GMが指摘するのが、アカデミーの強化の重要性だ。かつては梅崎司西川周作清武弘嗣日本代表選手のみならず、多くのタレントを日本サッカー界に輩出してきた。地方都市を拠点とするクラブとして、自前での選手育成は必須である。

そして、クラブが目指すサッカーの、クラブ全体での体現だ。そのためにも、トップチームがアカデミーなどの地元の子どもらの模範となるサッカーを見せる必要がある。同じ九州では、サガン鳥栖が着実に育成機関を充実させており、高体連に所属する高校のチームも強豪が多い。そうしたライバルが多い状況でも、「トップチームに魅力があれば、そこに所属したいと思ってもらえると思う」と、西山GMは語る。

クラブの規模は、日本のトップクラスとは大きな差が開いている。地域性などの環境は一変するものではなく、まずは「収益・選手育成・チームスタイル確立」という三位一体での向上のサイクルを回していくしかない。

早期のJ1復帰も含めて簡単なミッションではないが、この挑戦が成功した暁には、大分トリニータは地方クラブのモデルとなることができるはずだ。

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