「公平性」より「カネ」を選んだチャンピオンズリーグ【世界のサッカーへの責任を果たそうとしない「強欲」なヨーロッパ】(2)

「公平性」より「カネ」を選んだチャンピオンズリーグ【世界のサッカーへの責任を果たそうとしない「強欲」なヨーロッパ】(2)

  • サッカー批評Web
  • 更新日:2022/05/16
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ヨーロッパのサッカーは盛り上がりを増すばかりだが… 撮影/渡辺航滋(Sony α1使用)

サッカーの世界は膨張を続けている。ヒエラルキーの頂点に立つ者たちは、強欲に世界中から搾取を続ける。その姿勢は正しいものなのか、サッカージャーナリスト・大住良之が問いかける。

■チェス発祥の「スイス方式」

欧州のサッカーを統括する欧州サッカー連盟(UEFA)は、最近、UEFAチャンピオンズリーグなど欧州の3つの大会の「改革」案を承認した。出場クラブを増やしたうえに試合方式を変え、試合数を飛躍的に増やす。「グループリーグ」をなくし、出場36クラブが「スイス方式」と呼ばれる大会システムでそれぞれ10試合を行い、順位を決めるという。2024/25シーズンから導入するという。

スイス方式とは、競技者(チーム)数が多すぎて総当たりが不可能な大会で、しかも1試合負けたら終わりという「ノックアウト式」にしたくないときに考案された方法で、それぞれが決められた相手と一定数の試合をして順位を決める方式らしい。サッカーの大会の思想ではない。チェスの大会で考え出されたものだという。

■膨れ上がる放映権料

この方式の「公平度」については、私にはよくわからない。抽選や組み合わせなどでかなりの運不運が生まれるのは必然だが、「試合数増加」の経済的メリットがクラブを黙らせるだろう。なにしろ、これまで32クラブ、4クラブずつ8グループの「グループステージ」では、それぞれのクラブが6試合(ホーム3試合)だったのが、新方式により、これまでどおりの16クラブによる「ノックアウトステージ」に進む前に、各クラブは10試合(ホーム5試合)を戦うことができる。「グループステージ」段階の総試合数も、従来の96から180へと倍近くになる。

その結果として出てくるのが、当然のことながら「放映権料のさらなる高騰」である。現在の欧州チャンピオンズリーグの放映権収入総額はシーズンで軽く4000億円を超えているが、それが倍とはいえなくとも、5000億円、6000億円へとふくらむのは必然だ。すなわち、UEFAもチャンピオンズリーグの主役となるビッグクラブも、これによってさらに「金満度」が増すことになる。

■消えないスーパーリーグ構想

昨年4月、12のビッグクラブで発足が発表され、UEFA、国際サッカー連盟(FIFA)だけでなく世界中のサッカーファンから嵐のような反対を受けてわずか48時間で「沈没」した欧州スーパーリーグ構想。しかしその動きは水面下でその後も続き、多くの専門家が「いずれ誕生するのは避けられない」と見ている。

UEFAによる今回のUEFAチャンピオンズリーグ改革案は、スーパーリーグを結成して強豪同士の対戦だけを増やしたいというビッグクラブの動きにブレーキをかけようという意味合いもあるのだが、この「改革」ではビッグクラブは当然満足しないだろう。もしかすると、新方式は、スーパーリーグ結成の動きを加速させる結果になるかもしれない。

ひとつ明白なのは、UEFAとその傘下にあるリーグ、クラブがさらに「金満化」を増すということだ。UEFAチャンピオンズリーグによって直接的に大きな利益を得るクラブは、欧州の全プロクラブからするとごく少数だが、UEFAはチャンピオンズリーグを中心に得られる収益を加盟55か国の協会に助成金などとしてばらまき、中小国のサッカー振興に務めている。

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