
どうせロータリーエンジン復活するならCX-5など売れ線モデルに搭載させれば、話題性もハンパないのに……。超厳しい販売台数のMX-30を選んでしまったのか!? いっそのことロードスターやマツダ6、あるいはCX-80なんかに搭載しちゃえばいいのに、コレでいいのかマツダ!!!!
文:小沢コージ/写真:小林岳夫・マツダ
■他に展開予定なし!? もったいなさすぎるぜ

やっと復活したロータリーエンジンながら、ヒットとは言い難いMX-30に載せるとは……
祝ロータリー復活! VIVA新型8C!! それも涙ちょちょ切れそうな浪花節的開発ストーリーであり執念が実っての見事な復活劇なわけですが、いきなり最も大切かつ最も身もフタもないことを言ってしまいましょう。
ヒッジョーに喜ばしい新型MX-30ロータリーEVですが最も残念な点は、それがMX-30であることです。
え、なに言ってるの? じゃなくて、要するに新ロータリーを他のマツダSUVはもちろんロードスターにも載せる予定がないことが凄く残念であり、致命的な問題点なのだ。
■やっぱ動かしたい!! ロータリーサウンドを味わいたいのよ

高回転までよどみなく回るあの独特のロータリーサウンド!! あの音を再び聞きたいファンは世界中にいるハズ
正直、マツダ開発陣はマジメでストイックなあまり、ロータリーの本当の価値を見誤っているのかもしれません。
もちろんロータリーの論理的凄さであり、新型8C1ローターユニットの良さはコンパクトさであり軽量。よって嵩張らない小型発電機として使うのは正しい。
でもね、それ以上にロータリーはほとんどマツダ好きに取っての「ご本尊」であり「経典」なんだから、ぶっちゃけロータリーが味わえりゃクルマはなんでもいいって一面があるんですよ。
確かに新世代ロータリーはEVを補う発電機用として開発されたんだから当然だ!! とか現状マツダのフルバッテリーEVは観音開きドアのMX-30しかないから仕方ないじゃん!! という意見もわからなくはありません。
でもね。人はMX-30じゃなくて、つまるところ新ロータリーを見たいわけだし、動かしたいわけでぶっちゃけ、新ロータリーサウンドを聴きたいんです。どっちが主役かって「完全に8C」。主従は逆転しております。
■観音開きSUVはリスク高!! せっかく復活ならCX-5に載せるべき

デビューから6年経過も未だ人気のCX-5。せっかく復活するならこの人気モデルに載せるのが得策では!?
マツダロータリーはニッポン自動車界の生ける伝説であり、回る国宝なので広くみなに知らしめるべきであり、数多く売られるべき。
なのにマツダ独自のこだわりで、限られた人しか刺さらないマニアックな観音開きドアSUVにのみ載せるなんて宝の持ち腐れもいいとこ。
というか自分のストイックな信念にこだわり過ぎ。ゴッホの名作ひまわりをひとり暮らしの部屋に置くようなものでしょう。
実際問題、ビジネス機会の喪失という意味でも大変もったいない。
確かに新ロータリーを今回直接的動力源ではなく、発電機として使い、独特パワー感を運転中に味わえないのは残念ではありますが、それでも「新型ロータリーが載ってる」ってだけで当該車を買うロータリーマニアは確実にいます。
そのほか同じシリーズハイブリッドSUVなら、他のレシプロエンジンPHEV搭載車ではなく、ロータリーPHEV搭載車に乗りたいという人なんかも少なからずいるはず。
でもそういう人にマニアックすぎるMX-30という壁はデカすぎるんです。ロータリーPHEVに興味は沸くんだけど、MX-30だからやめたわ!って人は確実にいるはずです。
結局のところどう考えてもいま8Cユニットを載せるべきマツダ車は、現在一番売れるマツダSUVたるCX-5であり、MX-30と同じスモールプラットフォームを使っているCX-30であり、もっと言うと多少無理してでもマツダ・ロードスターに乗せるべき。
振り返ればおととしMX-30EVが出た時、マツダが本気かつほぼ初めて世界展開するバッテリーEVを、観音開きで独特のユニークさを持つMX-30をベースに作りたいキモチもちとわかりました。
当時EVは個性的存在であり、ほぼ専用デザインのものがウケていたので変わり種ベースにしたのでしょう。
でもね。今や環境規制もあって1台でも数多く売りたいEVをあんなにマニアックで人を選ぶ観音開きSUVに載せるのはリスクですし、それ以上に現代の新お宝たるロータリーをMX-30だけに載せるのがもったいなさすぎ。
■ほぼ全ての電動車に対応!? ならば将来に期待大
それにね。今回のPHEVシステムは、1ローターロータリー8Cの最大のメリットである、コンパクトさを生かした作り。
だからこそエンジン、発電用ジェネレーター、駆動用モーターを3つ並べて狭いMX-30のエンジンルームに押し込めたわけだし、となったら同じプラットフォームのCX-30はもちろん、もっとデカいCX-5にも必ずや載ると思われます。
もしや今回の新ロータリーはマツダ首脳陣であり開発陣も「出せただけで満足」している部分があるのかもしれません。
それだけロータリーは生み出すだけで大変であり、現在の市販車レギュレーションにその個性であり、存在意義を当てはめるのが大変。商品として成立させるだけでひと苦労なのでしょう。
でも本当は「売れてこそ」ロータリーは光り輝くものであり、今後も長く作られるはずです。
しかも発電機として使うということは、今後出てくる電動車に全方位的に使える可能性があります。
今までロータリーはそのパワー特性もあってスポーツカー専用でしたが、発電機ならば、電動車にはほぼ載せられるでしょう。ぜひマツダのご本尊様を全国各地はもちろん世界中で拝めるようにして欲しいものです。
【画像ギャラリー】FDなんで最強にカッコよかったな……懐かしのロータリー車イッキ見(9枚)
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