厚生年金が月額15万円の女性。天引き後の振込額はさらに深刻に

厚生年金が月額15万円の女性。天引き後の振込額はさらに深刻に

  • LIMO
  • 更新日:2022/11/25

年金は額面と手取りにギャップあり

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2022年度の夫婦のモデル年金は、21万9593円とされています。しかし、夫婦以外の家族形態で老後を迎える方もいるでしょう。

会社員や公務員だった方が加入する厚生年金では、現役当時の収入が受給額を左右します。

賃金そのものが低い、あるいは結婚や出産を理由に加入期間が短い傾向にある女性にとって、特に将来の年金は不安事項ではないでしょうか。

女性でも月平均15万円の厚生年金を見込める方はいますが、実はその手取りは額面に一致しません。

せっかく多くの年金をもらえると思っていても、天引き後の振込額は深刻であるケースもあるのです。

この記事では

女性の厚生年金の受給額

年金から天引きされるお金

天引き後の振込額

などについて解説します。

【注目記事】厚生年金220万円なら「後期高齢の保険料」が10万円天引き!容赦ない手取りに愕然

【グラフ】女性が受給する厚生年金はいくら?まずは額面からチェック

1. 厚生年金を「月平均15万円」受け取れる女性は少数派

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度ベースでの厚生年金の受給額は、月平均で14万4366円です。

一見すると、「厚生年金15万円」は一般的な水準に感じられますね。

しかし、男女別に見ると様子が異なります。実は、男性の平均16万4742円に対し、女性の平均は10万3808円なのです。

では、実際に15万円以上を受給している女性は全体の何割くらいいるのでしょうか。

1.1 女性の厚生年金受給額を1万円刻みで確認

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出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

15万円以上~16万円未満:15万2367人

16万円以上~17万円未満:10万9888人

17万円以上~18万円未満:7万5929人

18万円以上~19万円未満:5万1905人

19万円以上~20万円未満:3万7458人

20万円以上~21万円未満:2万4850人

21万円以上~22万円未満:1万6796人

22万円以上~23万円未満:1万976人

23万円以上~24万円未満:6934人

24万円以上~25万円未満:3951人

25万円以上~26万円未満:2188人

26万円以上~27万円未満:1098人

27万円以上~28万円未満:516人

28万円以上~29万円未満:208人

29万円以上~30万円未満:144人

30万円以上~:375人

1.2 15万円以上の年金を受取る女性の割合

厚生年金を受給できる女性は538万3889人。上記より、厚生年金を受給できる女性はたったの1割程度ということがわかります。

もちろん、こちらの数字には国民年金(基礎年金)部分を含みます。そもそも厚生年金に加入していない専業主婦やパート主婦等も含めると、15万円以上の年金を受け取れる割合はもっと少なくなることでしょう。

女性で厚生年金を15万円受給できている方は、かなりの少数派ということです。ちなみに、男性の場合は約65%が15万円超えでした。

2. 「厚生年金15万だと老後も安泰」とはいえない!天引きされるお金たち

厚生年金加入者の中でも、たった9%しか存在しない15万円超えの女性。持ち家の方や娯楽費が少ない方などは、見込額が15万円であることがわかると、老後は安泰と思えるかもしれません。

しかし、そうとも言い切れない理由があります。

それは「税金や保険料」の支払いが基本的に天引きで行われる点です。

年金から天引きされる金額は所得や住所地によって異なりますが、ここでは八王子市に住む女性(76歳)の例を紹介します。

2.1 年金から天引きされる税金

厚生年金が月額15万円の場合、年間収入は180万円となります。年金しか収入がない女性は、所得税として4623円、住民税として1万6500円が天引きされます。

2.2 年金から天引きされる介護保険料

年金年額が18万円以上の場合、介護保険は強制的に年金から天引きされます。八王子市の場合、年金収入が180万円の方の介護保険料は年額7万9400円です。

2.3 年金から天引きされる健康保険料

年金から天引きされる健康保険料は、76歳の場合後期高齢者医療制度になります。

東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算すると、保険料は年間約4万8800円です。

2.4 厚生年金15万円の女性の手取り額合計

天引きされる税金や保険料を合計すると、年間で約15万円です。180万円-15万円=165万円なので、月額の手取りは13万円台となります。

※概算なので実際の金額とは異なります。また天引きされる金額は年度途中に決まるため、1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。

15万円あると思っていた年金が手取りで13万円台になれば、マネープランが変わってしまう方も多いのではないでしょうか。

3. 老後の支出を把握することから始める

年金には税金や保険料がかかるため、実際の振込額は額面と異なることが通常です。まずは額面と振込額が違うことを認識しておきましょう。

次に、月々の支出額を考えることも大切です。総務省の「家計調査報告(2021年)」によると、65歳以上、無職単身世帯の生活費は月々14万4747円とされています。

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出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」

ただし、ここには住居費が1万円台しか含まれていません。家賃分や介護、医療費なども含めて必要生活費を算出し、足りない分を貯蓄で備える必要が出てくるでしょう。

がむしゃらに貯蓄を始める前に、まずは自分自身の必要額を把握することが幸せな老後の第一歩となるでしょう。

4. まとめにかえて

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出所:Mangostar/shutterstock.com

年金天引きには一定の条件があるため、対象にならない方もいるでしょうが、この場合でも、支払いの義務が免れるわけではありません。

納付書や口座振替等によって納めるため、実際の負担は年金天引きと変わらないのです。

こうした制度を理解した上で、老後のマネープランを練っておきましょう。まずはねんきん定期便やねんきんネットなどで自分自身の年金受給見込額を把握することが必要です。

参考資料

東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の算定方法」

八王子市「令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)の介護保険料(所得段階)」

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

総務省「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」

足立 祐一

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