次世代移動通信システム「5G」とは 第40回 京セラが法人向け5G対応デバイスを本格投入、5GでIoTはどう変わるのか

次世代移動通信システム「5G」とは 第40回 京セラが法人向け5G対応デバイスを本格投入、5GでIoTはどう変わるのか

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/04/08
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京セラは2021年3月23日、法人向けの5G対応デバイス「K5G-C-100A」の本格販売を、2021年5月より開始すると発表しました。法人向けのIoT通信機器に力を入れてきた京セラですが、同社はK5G-C-100Aの開発にあたって、5GによるIoTビジネスがどう変化すると考えているのでしょうか。→過去の回はこちらを参照。

高速通信とスマートフォンではない、「5G」が注目を集める理由

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エッジデバイスとしても活用できる5G端末

コンシューマー向けの5G対応スマートフォンは高価格なものだけでなく、低価格なものも徐々に出揃いつつあるようです。2021年中には都市部を中心に広い範囲での5Gエリアカバーが進むと見られていることから、5Gスマートフォンの投入も今後積極化してくるでしょう。

一方で、ローカル5Gを中心とした法人向けの5G対応デバイスも、徐々にではありますが拡充が進みつつあるようです。すでにFCNT(旧富士通コネクテッドテクノロジー)やシャープがローカル5G対応のスマートフォンやルータなどを投入していますが、新たに法人向け5G対応端末の本格投入を打ち出したのが京セラです。

京セラは、2020年に5Gに対応した法人向けのデバイス「5Gコネクティングデバイス」を発表し、同10月には販売を開始しているのですが、この時はあくまで台数を限定しての販売とされていました。しかし、同社は2021年3月23日に5Gコネクティングデバイスの正式名称「K5G-C-100A」を明らかにするとともに、同5月から本格販売することを明らかにしたのです。

改めてK5G-C-100Aについて説明しますと、これはさまざまな機器を5Gに接続するためのデバイスで、モバイルWi-Fiルータに近しいものなのですが大きな違いは2つあります。1つは多様な接続インタフェースを備えていることで、Wi-FiだけでなくBluetoothや有線(USB Type-C)で機器接続することも可能となっています。

そしてもう1つは、エッジコンピューティング用のデバイスとしても活用できること。実際K5G-C-100Aはチップセットに「Snapdragon 865」を搭載、RAMは8GB、ストレージは128GBとハイエンドスマートフォン並みの性能備えているのに加え、GPSなどによる位置測位にも対応しているというのです。

そうしたことからK5G-C-100Aにさまざまなアプリケーションを組み込んでエッジデバイスとして活用し、例えばカメラの映像を5Gで送信する前にK5G-C-100AでAIによる分析処理をするなどの活用が可能とのことです。別途エッジデバイスを用意する必要がなく、1台ですべての機能をこなせることが大きなメリットにもなっているわけです。

5GでIoTは大容量化、継続的な改善も求められる

京セラは、携帯電話のネットワークを用いたLPWA(セルラーLPWA)を活用したIoTデバイスに以前から力を入れており、これまでにもセルラーLPWAの通信方式の1つである「LTE-M」を活用したデバイスなどを提供してきました。その京セラが、5Gでエッジデバイスの役割も備えるK5G-C-100Aを提供するに至ったのには、どのような理由があるのでしょうか。

そこには5Gの広まりによる、IoTに求められる要素の変化があるようです。セルラーLPWAではメータの計測やセンサ、見守りデバイスなどでの活用が多いことから、通信速度を落とし低消費電力で長期間、なおかつ広範囲で利用できることが重視されてきました。

しかし、2021年3月23日に実施された記者向け説明会で、京セラ 通信事業戦略部 IoT・ビジネスユニットの横田希氏は、5GによるIoTではカメラ映像などのような大容量のデータを扱うソリューションが増えると説明しました。

そこで大容量データをあらかじめ処理するエッジコンピューティングを用い、得られたデータから自律的な実行計画を作成することが求められるほか、運用面でも継続的に改善を加える、アジャイル的なサポートが必要になってくるとのことです。

そうしたことから同社では、5Gデバイスで単に通信ができるだけでなく、エッジデバイスとしても機能し直接アプリケーションを動作させられるK5G-C-100Aの開発に至ったのだそうです。京セラではその活用事例として、ドローンのシステムインテグレーターであるブルーイノベーションと、このデバイスを用いた5Gのコネクテッドドローンのソリューション開発を進めているとのこと。ドローンにK5G-C-100Aを搭載し、ドローンのカメラで撮影した映像をエッジ処理することで、映像分析やドローンの安全な運行などに活用しているそうです。

ただ京セラとしては、法人向けに5Gデバイスだけを販売することはあまり考えておらず、デバイスを起点として無線ネットワークやクラウドなどを活用したソリューションをワンストップで提供する、「京セラコネクティングサービス」に力を入れるとしています。デバイスだけではスマートフォン同様価格競争が激化することは目に見えているので、企業向けのソリューションに重心を置いて安定的な収益を得ることを重視しているのでしょう。

IoTに力を入れてきた京セラが持つデバイスの開発力が、いかに5Gのソリューションビジネス開拓に結び付くかという点は、5Gのビジネス創出を見据える上でも大いに注目される所ではないでしょうか。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら

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