巨人の二塁手、中日の捕手...今年こそ“絶対的レギュラー不在”問題は解決?

巨人の二塁手、中日の捕手...今年こそ“絶対的レギュラー不在”問題は解決?

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  • 更新日:2021/02/22
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巨人・吉川尚輝 (c)朝日新聞社

2月1日に始まったキャンプも終盤戦に入り、3月からはオープン戦もスタートする。これまでの紅白戦や練習試合は若手中心となっていたチームも、ここからは主力や合流が遅れていた外国人選手の出場も増え、本格的なレギュラー争いが繰り広げられる時期でもある。

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ただ改めて各球団の状況を見てみると、確固たるレギュラーをなかなか確立することができていないポジションも少なくない。今回はそんな流動的なポジションをピックアップし、今シーズンどうなるかについても展望してみたいと思う。

毎年のように他球団の主力選手をFAで獲得している巨人だが、伝統的になかなか固定できていないのがセカンドだ。1980年代には2度の首位打者を獲得した篠塚和典、1990年代後半からはゴールデングラブ賞4回の名手として知られる仁志敏久が不動の二塁手だったが、それ以降は万全なレギュラーと言える選手は現れていない。2010年に脇谷亮太、2014年には西武から獲得した片岡治大が規定打席に到達したが、いずれもこの1年だけである。

しかしそんな長年の課題もようやく解決が見えてきた。昨年、プロ入り4年目の吉川尚輝が112試合に出場し、自身初となる規定打席到達を果たしたのだ。中京学院大時代からその守備範囲の広さは定評があり、堅実さも向上している。課題はとにかくコンディションを維持できるかにある。過去にも腰を痛めて長期離脱したケースがあり、一昨年はわずか11試合の出場に終わっている。吉川がセカンドに固定されて、常にリードオフマンとして機能するようになれば、巨人の内野陣は一気に将来が明るくなってくるだろう。

昨シーズン、8年ぶりのAクラス入りを果たした中日ではやはり捕手がキーマンとなりそうだ。落合博満監督時代は谷繁元信が不動の正捕手として君臨していたが、よく考えると谷繁も横浜から移籍してきた外様の選手であり、生え抜きの正捕手となると中村武志まで遡ることとなる。谷繁がそれだけ偉大だったという証明でもあるが、2000年以降、前田章宏、田上秀則、田中大輔といった捕手を上位で指名しながらも、正捕手に育てきれなかったツケが7年連続Bクラスに低迷した要因の一つとも言える。2017年オフには大野奨太を日本ハムからFAで獲得したが、期待外れの結果に終わっている。

今シーズンのチーム状況を見ると、正捕手に最も近い存在と言えるのは木下拓哉になるだろう。2015年のドラフト3位でプロ入りし、即戦力として期待されながらなかなか一軍定着を果たすことはできなかったが、5年目の昨年はシーズン終盤に定位置を獲得。盗塁阻止率はリーグトップの.455をマークし、大きな飛躍の年となった。

しかしこのまま木下がレギュラーに収まるかは微妙なところである。ライバルの筆頭候補となるのが今年2年目の郡司裕也だ。昨年は攻守ともにプロのレベルに戸惑うところがあったが、元々持っている能力は高く、キャンプと練習試合でも好プレーを見せている。肩の強さではリーグ有数の力がある加藤匠馬、パワフルな打撃が持ち味のA.マルティネス、高校卒の若手ではスケールの大きさが魅力の石橋康太も控えている。まだしばらくは流動的な状態が続く可能性が高そうだ。

中日と同じく捕手のレギュラーがなかなか固定されないのが日本ハムだ。2004年には高橋信二が規定打席に到達して26本塁打、84打点の大活躍を見せたものの、その後は鶴岡慎也、大野、近藤健介などの併用が続き、大野の退団後は清水優心、宇佐見真吾の起用が多くなっているが、レギュラー獲得には至っていない。

今年も清水と宇佐見の2人がレギュラー争いの中心になりそうだが、ドラフト3位で入団したルーキーの古川裕大も面白い存在だ。意図的にレギュラーを固定せずに戦ってきたという面もありそうだが、低迷から巻き返すためにもそろそろ毎年100試合以上を任せられる大黒柱を確立したいところだ。

オリックスのセンターも流動的なシーズンが続いている。最後に不動のレギュラーとして活躍したのは2011年の坂口智隆で、全試合フルイニング出場を果たし最多安打のタイトルも獲得している。翌年以降、坂口の成績が下がると次代のレギュラーとして後藤駿太が期待されたが、打撃がなかなか安定せずに2015年の78安打をピークに徐々に成績が低下。2018年には宗佑磨が62安打を放ち期待を持たせたが、以降の2年間は頭打ちとなっている。

昨年もスタメンでは7人が起用されており、内野手登録の中川圭太が3番目に多い26試合に先発出場するなど、日替わりセンターという状況だった。これまでのキャンプを見ていると後藤と佐野皓大が中心となりそうだが、内野手の福田周平もセンターの守備に取り組んでおり、誰がレギュラーになるかはなかなか見えてこない。西浦颯大が長期離脱となり、それよりも下の年代となると支配下の選手では高校卒ルーキーの元謙太、来田涼斗しかいないだけに、しばらくは内野手登録の選手も含めて調子の良い選手を見極めながら起用することになりそうだ。

2018年の中日は7人が規定打席に到達していながらも5位に沈んでおり、必ずしもレギュラーが固まっているチームが強いというわけではない。レギュラー争いがチームを活性化させるということもあるだろう。しかし、やはりある程度のポジションは固定して戦える方が計算しやすいことは確かである。今回挙げたポジションも今年固定することはできなかったとしても、将来的な見通しが立ってくることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

西尾典文

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