Base Ball Bear、ジェニーハイ、Nulbarich......ラッパーとのコラボで拡大するバンドの音楽表現

Base Ball Bear、ジェニーハイ、Nulbarich......ラッパーとのコラボで拡大するバンドの音楽表現

  • Real Sound
  • 更新日:2021/11/25
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Base Ball Bear『DIARY KEY』

時代と共に音楽のトレンドが日々変化しているなかで、2010年代以降の音楽シーンの変遷のひとつとして挙げられるのが、バンドとラッパーのコラボだ。Suchmos×Ryohu、RADWIMPS×Miyachi、SPARK!!SOUND!!SHOW!!×R-指定などがその一例として挙げられるが、バンドの在り方自体も多様化している昨今、シーンを代表する様々なバンドが、今年もラッパーとコラボすることで新たな表現法を見出している。本稿では、そうしたコラボの例をいくつか取り上げながら、拡大していくバンドでの音楽表現について考えてみたい。

(関連:ラッパーとのコラボで表現を拡大するバンド

Base Ball Bear×valknee

バンド結成20周年の集大成となるニューアルバム『DIARY KEY』をリリースしたBase Ball Bear。同作には気鋭の女性ラッパー・valkneeをゲストに迎えた「生活PRISM feat. valknee」が収録されている。

これまでも2013年リリースのミニアルバム『THE CUT』収録の同名曲でRHYMESTERがゲストボーカルとしてラップを入れたり、2019年にリリースしたEP『ポラリス』収録の「PARK」で小出祐介(Vo/Gt)がラップを披露したりと、様々な形でラップを取り入れてきたBase Ball Bearだが、フィーチャリングでラップを入れて、かつ小出自身もラップをするというのは「生活PRISM」が初の試みとなった。

爽やかなイメージも強いBase Ball Bearとギャルラッパーとも呼ばれるvalkneeのコラボは、当初意外な組み合わせだという印象を受けたが、実際に聴いてみるとかなりマッチしている。3ピースのシンプルだが洗練されたBase Ball Bearのバンドサウンドに、軽やかに乗る小出とvalkneeのラップが、なんとも心地よい。Base Ball Bearらしさを残しつつ、valkneeのガールクラッシュ的な魅力もしっかりと感じられる。本曲はコロナ禍の現代社会を様々な角度から描いた作品だが、2人の掛け合いで歌われることにより、会えない時間が続いたが、それでもこの時代で共に生きてきたんだということを改めて認識できた気がした。

バンドを結成してからの20年間、ひとつの型にハマらず様々な表現法に挑んできたBase Ball Bearだが、「生活PRISM feat. valknee」はまたひとつ楽曲の幅をグッと広げた楽曲になったことだろう。

ジェニーハイ×ちゃんみな

川谷絵音、中嶋イッキュウ、くっきー!、新垣隆、小籔千豊で結成されたジェニーハイ。バンドのギタリストであり、プロデュースも担う川谷絵音の書く楽曲の幅広さはもはや言うまでもないが、彼がこの個性の強いバンドに仕掛けた飛び道具がトリリンガルラッパーのちゃんみなだ。

ちゃんみなが参戦した楽曲「華奢なリップ」は女性の強がる心を歌ったポップナンバーで、中嶋とちゃんみなのダブルボーカルにより、女性の弱く脆い一面と強気な二面性を見事に表現している。中嶋の綺麗に伸びる高音と、ちゃんみなの力強い歌声のハーモニーも絶妙で、この曲の持つ色気を最限に引き出していく。

本曲は配信リリースされた後、2ndフルアルバム『ジェニースター』の1曲目に収録されている。歌し出しがゲストボーカルである本曲をアルバムのトップバッターという重要なポジションに持ってくるあたり、本人たちにとってもかなり自信のある1曲に仕上がっているという自負があるのだろう。複数のバンドを掛け持つだけでなく、数多くの楽曲提供もする川谷絵音の引き出しは一体どこまであるのか。彼が出す新曲には毎回ワクワクさせられてばかりだ。

Nulbarich×BASI

Nulbarichもラッパーとコラボした楽曲をリリースしたバンドのひとつだ。NulbarichといえばシンガーソングライターのJQを中心にしたバンド編成で、楽曲や演奏形態によってメンバーを替えているのが特徴。ときにはトリプルギターの9人編成、ときにはツインドラムの7人編成と、固定メンバー制ではないからこその柔軟で自由なアンサンブルを持ち味にしている。そんな彼らがコラボしたのはラッパーのBASI。

「Together feat. BASI」では、スローテンポでメロウなメロディにリズミカルなドラムが合わさるニュージャックスウィング調のサウンドにラップが組み合わさることで、楽曲に緩急がつき、グルーヴ感も増している。「共に楽しむ時間が永遠に続けばいい」と歌った本曲は、彼らの音楽を楽しむありのままの気持ちを率直に表したものだろうし、音楽を愛す両者だからこそ自然とリスナーを引き込む吸引力がある。

デビュー当初より共演の機会もたびたびあった彼らのコラボは、双方のファンにとって待望だったに違いない。もともと親和性のあった彼らだが、コラボによりお互いの持ち味をより浮き上がらせるような1曲になったことだろう。

今回取り上げた3組のように、硬派なギターロックバンド、芸人からクラシックピアニストまでいる個性豊かなバンド、メンバーを固定しない自由な在り方を体現するバンドまで、あらゆる形態のバンドがラッパーとのコラボを取り入れている。もう一歩深掘りをすると、その裏にはヒップホップサウンドの流行が挙げられるだろう。今や誰もが知る存在になったKing Gnu/millennium paradeがその代表例だ。さらにくつろぐことを指す「チル」が普及し、そこに合わせる音楽としてヒップホップサウンドやラップが挙げられることが増えた。バンドがラップを取り入れる流れは、こういったトレンドも背景のひとつにあるのではないか。

バンドとラッパーがコラボすることによって新たな顔を見せるバンドもいれば、もともとの持ち味を増幅させるようなバンドもいたりと、表現法は十人十色。バンドごとに大まかに分類される音楽ジャンルがありつつも、そこを越境していく手法のひとつとしてラップがある。バンドサウンドとラップの融合により、音楽シーンは枠にとらわれず、ますます多様化していくのだろう。(伊藤美咲)

伊藤美咲

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