約4分の1に... 街からほとんど消滅する「公衆電話」の行く末

約4分の1に... 街からほとんど消滅する「公衆電話」の行く末

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2021/04/07
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今や、すっかり見かけることの少なくなった「公衆電話」。その公衆電話が、さらに姿を消すことになりそうだ。

総務省は4月5日、「公衆電話のあり方」について検討を進めている有識者会議に、設置基準の緩和についての考え方を提示した。

公衆電話には「第一種公衆電話」「第二種公衆電話」「災害時用公衆電話」の3種があり、第一種公衆電話は、電気通信事業法施行規則で「市街地は概ね500m四方に1台以上、その他の地域は概ね1km四方に1台以上設置」という設置基準が設けられている。

今回提示された考え方は、「市街地は概ね1km四方に1台以上、その他の地域は概ね2km四方に1台以上設置」にするというもの。

公衆電話は携帯電話の普及、人口減少や過疎化の進展などにより利用が減少し続けている。93年には設置台数が93万4903台に達したピークとなった。その後は減少の一途を辿り、19年度末の設置台数は15万1313台とピーク時から83.8%も減少した。一方で、19年度末の携帯電話台数は1865万4109台と公衆電話の約123倍も普及している。

前述のように、第一種公衆電話はユニバーサルサービス(基礎的電気通信役務)として法的に公衆電話の設置が義務付けられているが、第二種公衆電話は利用が多く見込まれる場所にNTT東日本とNTT西日本によって設置されるもので、ユニバーサルサービスの対象外となっているため、設置・撤去の規制はない。このため、おおむね利用額が月額4000円未満のものを随時撤去している。

問題は公衆電話を設置・維持しているためのコストにある。当然、利用回数が減れば、公衆電話事業そのものが赤字になる。料金収受機能や災害時優先通信の機能等など、公衆電話機の保守・運用の費用は多額になるからだ。

月の利用額1000円未満が8万8281台(58.3%)と過半数以上にのぼり、このうちゼロ円が2126台(1.4%)となっている。NTT東・西が第二種で撤去基準としている「月の利用額4000円未満」は13万6317台(90.1%)もあり、公衆電話の90%以上が撤去基準に該当しているのだ。

第一種公衆電話は、110番、118番、119番といった緊急通報が無料で行えるサービスを含めたユニバーサルサービスの提供が法的に義務付けられているが、その提供はNTT東・西が公衆電話の採算地域から不採算地域に地域間の補填を行うことにより赤字の穴埋めを行っていた。

だが、携帯電話の普及と携帯電話事業者の新規参入により、NTT東・西だけで赤字を穴埋めするのは難しくなり、02年に必要なコストの一部をNTT東・西以外の競合事業者も負担する「ユニバーサルサービス制度」が創設され、06年度からスタートした。

この結果、電話事業者のほとんどはこの負担金を利用者に転嫁している。つまり、簡単に言えば、携帯電話の料金には公衆電話の維持費が含まれているということ。21年1月~6月の負担額は1電話番号あたり月3円となっている。

一方で、災害時に設置される公衆電話で、携帯電話などが災害時につながりにくい場合でも、非常時優先電話となる公衆電話や避難所などで利用できる「災害時用公衆電話」など、近年の自然災害の増加とともに非常時用公衆電話の役割が見直されている。

11年の東日本大震災では公衆電話の約5820台が被災し、約620台が流出・損壊した一方で、延べ1202カ所に、延べ3930台の非常時用公衆電話が開設された。19年度には632カ所に1246台、20年には1421カ所に2121台の非常時用公衆電話が開設されている。

特に、役所や避難所などへ災害時用公衆電話の事前配備が急速に増加し、11年の9000台から19年には8万2000台と約9倍となった。

ところが、災害時用公衆電話はユニバーサルサービスに含まれていないため、そのコスト負担が問題となっている。

設置が義務付けられている第一種公衆電話は19年度末で10万8655台。今回、総務省が提示した案が実施に移されると、第一種公衆電話台数は約4分の1にまで減少。ほとんど“消滅”することになる。

一方で災害時用公衆電話について総務省は、「ユニバーサルサービスとして位置づけることが適当」としている。この場合には、コスト負担の解決策が必要になる。コストを利用者に転嫁することになれば、現在、1電話番号あたり月3円の負担が引き上げられることになる。

総務省の情報通信審議会は6月をめどに「公衆電話のあり方」についての答申を出す方針だが、果たして、公衆電話の行く末はどのようになるのだろうか。

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